□無人島
「無人島に持っていくなら、断然この1冊!」
とは、文庫本の帯を飾っている、巻末の解説の瀧井朝世氏の言葉だ。たしかに、テンポもよく、笑いあり、涙あり、何よりも希望がある。そして、無人島でのサバイバルに役立ちそうな工夫が満載されている。
荻原浩の『オイアウエ漂流記』。出張中のサラリーマン一行とその取引先のお坊ちゃん、新婚旅行中の夫婦と家族旅行の祖父と孫・・・こうした日本人の中に外国人一人と犬一匹が加わって、強いられる苦難の連続に色恋も交えて描かれる南の無人島での共同生活。
□荻原浩という作家
荻原はサラリーマンを描くのが非常にうまい。渡辺謙主演の映画で有名な『明日の記憶』をはじめ、デビュー作の『オロロ畑でつかまえて』や、『神様からひと言』『メリーゴーランド』など、サラリーマンが主役となる小説は私のお気に入りだ。今回のオイアウエも無人島での話とはいえ、荻原が描くサラリーマンの習性が私たちサラリーマンの笑いと元気を生み出してくれる。
その荻原が生み出す小説は映像が頭に浮かびやすく、映画化やドラマ化に適していると思う。この本もいずれは映画館でぜひ、観てみたい。
□日本版LOST
無人島でのサバイバルと言えば、私にとってはアメリカのドラマ『LOST』の記憶が強烈に残っている。
そのLOSTは楳図かずおの『漂流教室』が原点ではないかと私は思うが、荻原のオイアウエはLOSTが原点だと思う。前2作に比べれば謎は少ないが、笑いや希望は多い。日本版LOST、この小説のトーンを少し変える脚本として映像化することで、LOSTのパロディ的な売り方もあるんじゃないかな。
ぜひ、通勤のお供にオススメです。しかし、無人島で何度も読み返すような内容ではないかな?と。
オイアウエ漂流記 (新潮文庫) | |
荻原 浩 | |
新潮社 |
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