昨日(2010/11/21)の日経新聞の記事が、なかなか興味深かったです。
1面から社会面まで、人事的なネタの多い日だったと思います。
まずは、社説。
「商社の提言を機に採用活動を見直せ」
「日航の整理解雇 やむをえぬ」
という二つの内容。
まさに、日本的雇用制度における入口と出口の問題の典型的な問題かもしれません。
本来、自由で多様であるべき「採用活動」が不思議と硬直化して、偏っている現状。
新卒よりも、他社での社会人経験があったほうが、基礎的なトレーニングをする必要がない分、中途採用のほうが企業としては効率的なはずが、それがあまり望まれない・・・
それを裏付けるのは、厚生労働省の「既卒3年以内は新卒扱いで」なんていう、本末転倒な指針。
そもそも官庁自体が中途採用を受け入れにくい環境なんですから無理もないところかもしれません。
ここで話題になっている商社の提言(採用活動を8月にする)という話も、意味があるのか?と個人的には思います。
思い切って、高校卒業時から解禁にしてみては?
大学全入時代の大きな波紋になる気がします。
社会人を2~3年経験してから大学に入るほうが、より本気で勉強する気になる人も多いのではないでしょうか。
そして「整理解雇」を特別視する論調。
ネガティブに報道すればするほど、会社への依存度が高まる気がします。
大事なのは、「こういうこともあるよ」という社会の許容と、そういう事態に対して、生活に困らないような公的な支援をするセーフティネット。
かわいそうだ、非人道的だ、と言えばいうほど、本当にそうならざるを得ない会社の人が困ります。
会社がつぶれる可能性がある以上は、「整理解雇」もありうるわけで。
ここで話題になっている日本航空の社員なら採りたい!という会社はないものでしょうか?
パイロットだったら自衛隊?
乗務員だったらサービス業?
どこか積極的に採用すると、名乗り出ないものでしょうか?
こういう「一流」企業の社員さんが、他社から引っ張られるくらいの状況にならないものでしょうか。
やっぱり、採用にしろ、退職にしろ、何かがずれているような気がします。
実はここまでの話よりも、もっと気になったのは社会面の下のほうの小さな記事。
『トヨタ労組が「婚活」支援』
トヨタ自動車労働組合は社員の「婚活」支援に乗り出す。30歳以上の男女の独身組合員を対象に「婚活」をはっきりうたったイベントを定期的に開催、出会いの場として利用してもらう。社員の晩婚化が進むなか、トヨタ労組は「社員の暮らしを豊かにするため婚活を支援する」と狙いを話している。
いよいよ労組もここまで来たのかと。
ここまでというのは、「婚活支援」という活動自体もそうですが、こうして新聞記事にしてもらう必然性。
採用はまだまだ硬直的ですが、社員の志向や会社からの処遇は多様化していますよね。
個人的には、誰もが一律のベースアップや、誰もが喜ぶ施策は、もうすでになくなってしまっている???気もしています。
そんな中での労働組合は、一致団結の旗として何を掲げるのか?
非常に悩ましい時代になっていると思います。
だからといって、労組は労組の存在を否定できません。
どうしたら、組織を維持する方向に話を進めることが出来るのか。
そんな活動の一案であり、そんな活動のPRなんですよね。たぶん。
昔から組合活動として、若手の懇親会や旅行、家族ぐるみでのイベントなどもあったんですが、
社員旅行と同様に下火になっていったのが、これまでで・・・
こうした「つながり」を再度求めるような動きになっていくんでしょう。
それが、労働組合。手と手を取り合って一致団結。
個人的には、こういう流れは悪くないと思うんですが、「いらない」という人もきっと多いんでしょうね。
日本的雇用制度・・・どんな方向に進んでいくのでしょうか???
これから、いろいろな動きを目にすることになるんでしょうね。
しばらく、注視しておく必要がありそうです。
>失われた世代が繰り返され
ホント、そうですよね。
たまたま生まれた年などで、差が出てくるのは、やっぱり変ですし、
そんな風に優秀な人材が埋もれてしまうのは日本の損失だと思います。
ボクらに出来ることは何なのか???
いろいろと考えさせられます。