不定形な文字が空を這う路地裏




砂浜に 落としたピアス 「もう探せないから構わない」
あの頃は ふとした歌が 運命のように聞こえてたよ

「あなたのシャツをはおるのが好き」そう言って
華奢な身体を静かに並べ 寒そうに
何度も僕にくちづけをせがんだ
まるでさみしすぎる子猫のように

夜をすべるほうき星のような長い髪が
僕の頬をくすぐっては消えてしまいそうで
ひとりになることがとても怖くて 何度も君の名を呼んだ
愛が寄せてくる渚の片隅で

遥か沖 霞んだ帆影 子守唄ばかり繰返してる
夢ばかり さらわれてゆく もうどんな足跡も残らず

焦れてるカモメが餌を探して 円を描く
綺麗な記憶が切り刻んでく 僕の頬
港に泊まる鮮やかなフェリー
秋の光をいたずらに遮る

どんな夜の中に居ても君は少女だった
怯える僕を諭すようなやさしい微笑み
どんな願いなら君を救えた 運命を変えられたのか
君は天使だとずっと思っていた

君が消えた海の側に僕は独り残り
水平線を見つめただ子守唄歌う
命を紡ぐリールがひとつ消えて 空回りする僕の傷
面影がずっと心を掻き乱す

ひとりになることがとても怖くて 何度も君の名を呼んだ
愛が寄せてくる渚の片隅で

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