こんにちは、永井です。
前回の「障害のある方の心のケア3」では、
【見せかけの行動】の中には、【本音の心】があると説明しました。
「でもうちの子の問題行動は、どう見ても本当は頑張りたいなんて、思ってないのでは…?」
と、お考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は、どんなに重い障がいを持っていても、
たとえ言葉が話せなくても、
『年相応のことがしたい、頑張りたい』という向上心を、
皆さん持っているんですよ。
ただ、障がいを持つ人はその向上心をなかなか見せれない方が多いのです。
そのことを、次のお話しのAさんでご紹介しますね。
障がいを持つ成人のAさんのお話ですが、
Aさんは、よくものを投げてしまうことがあります。
大きな物音を聞いたり、イライラしたり、緊張すると
そばにあるものを投げたり、蹴ったりしてしまいます。
私たちは、Aさんは怖い気持ちになった時、
物を投げて気持ちを発散する技を身に着けてしまったんだね…
彼はそれですっきりすんだ。
困った問題行動だね…
と感じていました。
ですが、体のお話しや筆談で彼の心を聞いていくと、
我々の考えとは少し違っていました。
彼は、『本当は、ものなんか投げたくない。
皆を困らせたいんじゃないのに、
困ったとき、勝手に体が動いてしまう。
どうか、僕を止めてください』と伝えてきました。
Aさんは、見かけは物を投げることで発散しているように見えますが、
実は、「こんなことやりたくない、誰か助けて」
と思ってたんですね。
障がいを持つ方は、時に、このように、
心で思っていることと、全く別の行動をとってしまうことがあります。
それはとても不自由なことで、
そのとってしまった行動でまた自分を責めてしまい、
どんどん自己否定(自分はダメだ・・自分なんて生まれてこなきゃよ方・・と思うこと)してしまうことがあります。
その自己否定の感情は、
本来持っているその方の頑張りたい気持ちを、くじいてしまうこともあります。
Aさんもその不自由な体で、みんなに誤解されながら、
ずっと生きてきたんだなと思うと、
切なくなります。
その後、Aさんに、「やりたくない行動をとろうとするときは、しっかりとめていくね。」
と約束して、それを実行していきました。
イライラしているなと感じたときはそばに寄り添い、
投げようとしたときにその手を持ち、「ドキドキするね、イライラするね」と、
Aさんの心の中を代弁することを繰り返しました。
その結果、今ではすべての時ではありませんが、
イライラしてきたら、自分から私たちの手を取って、
持っていてほしいと伝えてきてくれるようになりました。
Aさんの心には、ちゃんと頑張りたい、
物を投げないで立派に過ごしたいという向上心がありました。
ただ、自分一人では、どうしてもその向上心を前面に出すことが難しかったんです。
そんな時こそ、『心のケア』が重要になってくるんだと思います。
誰かにお手伝いしてもらいながら、
立派に向上心を立たせれたら、とてもいいですね。
我々も、そんな風に、障がいを持つ方のお手伝いをしたいと思っています。
心のケアについては、こちらのホームページもご覧ください⇒ホワイエ