厚生労働省は、9月27日(金)、事務連絡を発出して、9月11日付けの事務連絡で全国の事業実施自治体に対して通知をしていた「セーフティネット支援対策等事業費補助金(以下、セーフティネット補助金)の3割カット」を事実上、撤回しました。これは、私たち民主党が、この間、継続的に部門会議などでこの問題を取り上げ、一部の心あるマスコミの皆さんがそれを取り上げてくれた結果です。
応援をいただいた皆さん、本当にありがとうございました!
この「セーフティネット補助金」というのは、地域の生活保護受給世帯や生活困窮者の生活・自立支援など、自治体が行う取り組みを国が支援するための補助金で、まさに、憲法上保障された最低限度の生活を国民に確保するための大変重要な施策として行われているものです。今年度、250億円の予算が付いて、すでに多くの自治体が、独自に、またはNPOなどに委託をして事業を実施していました。
ところが厚労省は、年度の途中、つまり、多くの事業がまさに進行している中で、突然、補助金の3割カットを通知したわけです。事業を行っていた自治体、そして受託して事業を実施していた地域のNPOの皆さんたちがひっくり返ったのも当然ですね。
- 「生活保護減額で厚労省迷走 予算不足 補助金3割減要求」(東京新聞 9月27日)
- 「厚労省:社会的弱者支援補助金を3割減へ 自治体は反発」(毎日新聞 9月28日)
- 「生活困窮者補助金 予算不足で厚労相釈明」(東京新聞 9月28日)(←この記事に部門会議での私の発言が!)
ではなぜ、厚労省が突如、補助金の3割カットを決定したかというと、予算が60数億円程度オーバーしてしまったことが判明したからなのです。そして、その理由の一つが、今年度、政府が生活保護費の切り下げを決定したために、システムの改修費が大幅に予算をオーバーしてしまった、というものでした。保護費(=最後のセーフティネット)を切り下げたことで予算が足らなくなって、そのためにさらにセーフティネットを守るのための補助金をカットしようとしたわけですから、全くもって本末転倒です。
そして実は、この3割カットの通知、「ひっそり」と行われていたために、私たちも最初は気づいていなかったのです。
ではどうやって気づいたかというと、この事業を受託して実施していたあるNPOが、「何とかならないでしょうか?」と悲鳴にも近い声を、私のところに届けてくれたからなんです。そのNPOは、以下のメッセージを伝えてくれました:
「この度の(厚労省からの)都道府県、政令市、中核市にあてられた9月11日付けのセーフティネット対策事業予算の3割カットの通達文書に対して、驚きと不安、そして今後、どの様に対応すべきか頭を悩ましています.... 県の担当課も急な通達に、戸惑い、頭をかかえています....... 今回の通達では、各自治体で自主財源を確保するか、9か月で事業を終了するか、自治体内で調整をするかの選択をうながしていますが、正直、乱暴です...... この事業予算の多くは人件費であるため、(3割カットで事業に優先順位をつけるのは)生命に優先順位をつけることに等しく、従って(県でも)優先順位をつけることはできないと話をしています。志をもって事業に取り組んでいるものとして、今回の決定を大変悲しく思うとともに、一方で、何としても当法人内で人員調整をはかりつつ、かつ支援の質を落とさないかたちで対応しなければならないと思っているところですが、ぜひとも今回の通達を撤回していただきたく......年度途中の減額調整についてだけは、本当にご勘弁いただきたくお願いするところです。」
実際、事業費のほとんどは人件費なので、3割カットは、事業を実施している自治体やNPOに「支援員を雇い止めしろ」と指令しているに等しく、それはまた、その支援員たちが今まさに支援している対象者の方々の命や生活を「切り捨てろ」と言っているのと同じなのです。だからこそ、私もすぐに厚生労働省の担当者を呼んで事情を聞き、抗議しつつ、民主党の厚生労働部門の山井座長や、社会保障調査会の長妻座長にこの問題への対応を訴えて、それぞれの会合で取り上げてもらいました。その結果、冒頭の9月27日付け通知へとつながったわけですね。
「本当に良かった!」というのが、撤回の報を聞いたときの私の素直な感想でした。と同時に、生活困窮者の命や生活を支えるために頑張ってくれている現場の皆さんを混乱させてしまった今回の政府の対応については、改めて猛省を促したいと思います。厚労省は今後、不足分の予算の財源を探してきちんと手当しないといけないわけですが、この点は私たちも引き続きウォッチしていきます。