今日の午前、私が事務局長を務めている「電子書籍と出版文化の振興に関する議員連盟」が2013年度第2回総会を開催し、20名超の衆参国会議員の参加の下で、電子書籍に対応した出版権の整備に向けた著作権法の改正について議論し、議連としての検討方針案を確認しました。
すでにこのブログでも、これまでの議論の経過についてはその都度ご報告しているので、ここでは繰り返しませんが、電子書籍に対応した出版権の整備については文化審議会の著作権分科会出版関連小委員会で議論が進められていて、9月に出された「中間とりまとめ」に基づいてパブリックコメントが行われています。先週、パブコメが締め切られて、これから意見集約、さらなる検討と進められていきますが、私たち議員連盟としてもこの流れに歩調を合わせ、あるべき出版権整備の方向性について国民を代表する立場から積極的に研究を重ねて、方向性を示していこうという考えです。
今日の総会では、これまでの議論の経過を踏まえた上で、参加議員からの提言もいただきながら、以下のような対応方針を確認しました。しかし、まだまだ整理すべき論点も多いため、今後、関係団体等とも丁寧に意見交換を積み重ねながらさらなる検討を進めて、議連としての最終的な考え方をこの臨時国会中にとりめとめていくことも併せて確認しています。
すでに先週、著作者団体の方々と最初の意見交換を行い、そこでいただいたご意見も早速この方針に取り込んでいます。著作者団体の方々とはこの叩き台をベースに更なる意見交換を行う予定ですし、中小零細出版社を代表する団体の方々ともお会いする予定です。
議連としては、新しい時代の中で、日本の素晴らしい出版・印刷・活字文化を護り、育てていくことで、国民の皆さんの一層の利益につなげていく視点で、しっかりこの問題に取り組んでいきたいと思います。
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出版者への権利付与のあり方に関する今後の議連対応方針について
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当議連として、私たちがめざす「電子書籍の流通促進」と「有効な海賊版対策の整備」を実現するための出版者への権利付与に関する著作権法改正案について、これまでの中川勉強会における議論の経過、中山研究会の提言、および、文化審議会出版関連小委員会の「中間とりまとめ」等を踏まえ、以下の通りの基本方針をもってさらなる具体的検討を行っていくこととする。
出版者への権利付与に関する基本方針
◎電子書籍に対応した出版権の整備
- 現行の出版権を電子出版にも拡張する方法(総合出版権)によること。
- なお、その際、出版者側の出版義務を再確認するとともに、義務不履行の際の著作者側の消滅請求権を明確にすること。
- 加えて、契約によって紙のみの出版権を設定した場合の「みなし侵害」のあり方について、さらなる検討を加えること。
◎出版権者による再許諾
- 原則不可とし、著作権者の承諾を得た場合に限り再許諾可とすること。
- なお、その際、紙のみ、電子のみの再許諾も契約によって可能とするが、いずれの場合においても、再許諾のみをもって出版義務の履行とせず、原出版権を保持する出版者が一貫して出版義務を負うことを明確にすること。
◎特定版面権(特定の出版物に限定した出版権=特定出版物権)
- 版面に依拠するのではなく、特定の出版物に限定した出版権(特定出版物権)を総合出版権の一類型として設定可能とし、著作者側により高い柔軟性を付与しつつ、出版者側が雑誌等の海賊版に対しても有効に対抗することを可能にすること。
- なお、対象は頒布目的の出版物に限り、企業内複製は対象としないこと。
◎その他
- 出版者への権利付与については、紙の出版物に関するデジタル海賊版に対して法的に対抗できるだけでなく、実務上も広く利用されるものでなければならないこと。
- 加えて、本権利付与は、著作者の権利と利益を保護し、さらに国民の利益を最大限に確保するものでなければならないことから、権利の所在を明確化し、出版物の利活用を一層促進するための「登録制度」の確立が必要不可欠であり、そのための具体的検討を行っていくこと。
(以 上)