心をリラックスさせたり、清めたり、思考を制御したり、不快感を即解決することではない
「マインドフルネス」は、心の筋トレ。
メンタルを疲れにくくする瞑想法です。
ストレスや情報が多いこの時代に、心を整え、脳を休めるには「マインドフルネス」が有効です。
マインドフルネスは、瞑想(めいそう)を利用し、今この瞬間起こっていることに注意を向けてネガティブ感情から心を離し、さまよっていた心を意識的に「今ここ」に戻して落ち着けるなどの効果があります。
近年では科学的な実証が進み、うつ病や不安障害などの治療として医療分野での活用はもちろん、集中力を高めるとして世界的なIT企業でも採用されています。
さらに、習慣的に行うことで、様々な思考や感情に振り回されにくくなり、自律神経が整いやすくなるといった効果も!
そもそも、ストレスに強い人とは心や体の声に敏感で、自分のキャパシティを越えないようにセルフケア&調整ができる人のこと。
自然とマインドフルネスが出来る人が、ストレスに強い傾向にあるのです。
猫のように生きる…医師が勧める「大脳のリセット」法
猫には現在しかありません。未来のことは一切考えません。だから自分の死についても考えません。一瞬一瞬を懸命に生きているのが、猫なのです。
人間も猫のように生きられないものでしょうか。そこで私が勧めているのが、生活の中に「マインドフルネス」を取り入れることです。マインドフルネスとは、座禅などの仏教の瞑想法から生まれたもので、「今、この瞬間を大切にする生き方」のことを言います。
マインドフルネスには2つの重要な要素があります。1つは、今の自分がどのような状態にあっても一切「判断をしない」こと。もう1つは、「今この瞬間に意識を向ける」ことです。判断しないことで、自分がありのままでいることができるようになるのです。
今この瞬間に意識を向けることで、周囲のことに気をとられなくなり、心が穏やかになると言われています。がん患者さんは、時間のことばかり気にしていますから、時間にとらわれない生活が必要です。それで私は患者さんにもマインドフルネスを勧めています。
マインドフルネスな状態になるためには、大脳の働きを一時的に遮断する時間が必要です。養老先生の言うように、都市は大脳が作り出したものですから、都会に住んでいる人は、あえて自然の中に足を運ぶなどすることで、今だけを意識する時間が持ちやすくなるのではないでしょうか(※)。
※ 養老先生は、大脳にとって最も忌避すべきものが死であり、大脳も死と同様に自然の一部であることを忘れるため、都市という人工物を作り出したのだと語ります。
養老先生も現代版の「参勤交代」といって、都会と田舎を行き来することを勧めています。具体的にいうと、都会に住む人は、1年のうち3ヵ月を田舎で暮らし、そのあと都会に戻って9ヵ月を過ごすというライフスタイルです。3ヵ月は無理でも、ときどき自然のある場所に出かけることで、時間に囚われている大脳をリセットできるかもしれません。