白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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藤沢三段、女流本因坊挑戦!

2016年08月08日 20時32分24秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日第35期女流本因坊戦の挑戦者決定戦が行われました。
結果は藤沢里菜三段鈴木歩七段に白番中押し勝ちを収め、挑戦権を獲得しました。
それでは対局の模様を振り返ってみましょう。
なお棋譜は幽玄の間でご覧頂けます。



白1と右辺にツケながら黒2、4には手抜き・・・ちょっと意味の分からない打ち方でしょうね。
黒に沢山手をかけてもらい、なお白AやBの手段を残しています。
黒は手をかけた割に効率が良くないのではないか・・・というのが白の主張です。
とはいえ動き出しのタイミングは難しく、早過ぎるといっぺんに形勢を損ないます。
アマの方にはお薦めできません(笑)





黒1の潜り込みに対して白2から堂々と対応しました。
黒に2線を這わせて十分だと思います。
この打ち方はアマの方にもお薦めですね。





白1は黒2とボウシされて問題ではないかと感じました。
黒6に白Aと打つようでは黒Bで苦しい戦いになります。
しかし白は・・・





星下の白石には拘らず、白1、3と軽快に進出しました。
こうなってみると白△との連携が良いのが分かります。
藤沢三段らしい明るい構想でした。





白1、3は黒Aと受けさせれば打ち得とみました。
しかし黒は受けずに4、6と切断!
穏やかな展開から一転、激しい戦いに突入しました。





白は攻められているので、2あたりに守っておけば自然な発想です。
しかしなんと手抜きで白1!
攻められるものなら攻めてみろと言っているかのようです。
黒2が攻めの急所ですが、白3でなんとかなると見ています。





戦いの結果、黒が右辺を取って白は隅を荒らす振り替わりになりました。
黒地もかなりの大きさです。
さらに黒1と追及、白としてはAなどのまず逃げる手を考えそうな場面ですが・・・





白1、3とさらなる踏み込み!
下辺を破りながら白A(右辺黒に対して先手)からBの反撃を狙っています。
藤沢三段渾身の勝負手でした。





下辺は白AとBが見合いで完全に生きました。
白の頑張りが成功し、形勢も白が良くなったでしょう。





黒△とハネた場面です。
白Aと受ければ黒Bを利かして中の白3子を取り込む狙いです。
そうなれば白良しとは言えなくなるでしょう。
しかし・・・





白1が強烈な反撃!
これがこの碁の決め手になりました。
利かしに来た黒△の生還を許さないと言っています。





黒1と頑張るしかありませんが、白2と切られて脱出出来ません。
藤沢三段が力強く勝負を決め、挑戦権を獲得しました。

本局は藤沢三段の思い切った打ち回しが光りました。
鈴木七段にもチャンスはあったでしょうが、藤沢三段の勢いが勝った印象です。

謝女流本因坊との五番勝負は9月13日(火)に岩手県花巻市「佳松園」で開幕します。
藤沢三段、昨年は2勝3敗で惜しくも敗れましたが、今年は一回り強くなっていると思います。
好勝負を期待しましょう!