皆様こんばんは。
昨日から2日間に渡り、阪急電鉄納涼囲碁まつりが開催されました。
井山七冠をはじめとした人気棋士が勢揃いのイベントで、参加された方々は間違いなくお楽しみ頂けた事でしょう。
イベントの目玉としては公開対局によるトーナメントが行われました。
本日はその中から2日目の決勝、余正麒七段(黒)対伊田篤史八段戦をご紹介しましょう。
なお、対局の模様は囲碁プレミアムや幽玄の間で中継されました。
黒は目外しと高目、白は大高目2つ!
こういうのはプロの対局では滅多に見られません。
公開対局ならではのサービス精神ですね。
さらにいきなりの黒1ツケ!
序盤早々ツケて行くのは普通は相手を固めて良くないのですが、大高目対策として開発された手です。
黒4と根拠の要点である三々を押さえられるというのが黒の主張です。
ここで黒Aと切りを防ぐ一手かと思っていましたが、なんと黒6!
下辺に先行して足早ですが、白Aと切られたらどうするのでしょうか?
白1の切りには緩まず黒6までダメを詰めて行くのがポイントです。
白7で両当たりですが、黒8と要石の方を逃げ出して・・・
白1(Aの所)の抜きには黒2と当て返し、白5まで2子を取り合う振り替わりになります。
この分かれは厚みが外側を向いている黒が有利です。
実戦、白は前図を嫌って白1と技を飛ばしました。
もし黒Aと受ければそこで白Bと切り、今度は黒が困ります。
よって黒は2と切りを防ぎながら受ける事になりました。
お互いに相手の注文を外し合う面白い分かれでした。
黒は右下でも黒1とツケ!
今度は白が6と変化して戦いが始まりました。
おや?この形はどこかで見た事がありますね。
出発地点は違いますが、小目の小ナダレ定石と全く同じ形になっています。
小目と大高目は3路も離れていますが、同じ形が出来るというのは面白いですね。
手順が進み、中央で模様の境界線を巡って戦いになった場面です。
黒△のノゾキは白を攻めるための手続きです。
白Aと繋がせて黒Bと進出し、白を攻めながら周辺の白模様を消す作戦です。
しかし相手の言いなりにはならないのがプロです。
ノゾキに繋がず、白1とツケコシの手筋で反発しました。
黒の中央進出を止める狙いです。
結果黒は白△を取り、白は黒△を切り離しながら中央を止める事になりました。
鮮やかな振り替わりです。
白は6とさらに模様を拡大しながら黒の薄みを狙い、黒は7と切断に備えながら左辺の白模様を制限しました。
ここで白は右辺から上辺にかけての模様を拡大するのが普通の発想ですが・・・
なんと黒が備えた所を白1からごりごり切断!
これは凄い!
何が凄いかと言うと・・・
白△4子は空き三角の一種、「陣笠」と呼ばれる悪形です。
それが同時に2つ!
さらにダメが詰まったので黒Aからの出切りも心配しなければいけません。
いくら黒を切るためとは言え、非常に大きな代償です。
力自慢の棋士は沢山いますが、これは伊田八段にしか打てないでしょうね。
尤もいくら伊田八段でも公式対局では打たないでしょう。
戦いに持ち込んで面白い碁にしようという、これまたサービス精神の表れでした。
なお結果は余七段の黒番5目半勝ちでした。
伊田八段、ちょっとサービスし過ぎたでしょうか(笑)
昨日から2日間に渡り、阪急電鉄納涼囲碁まつりが開催されました。
井山七冠をはじめとした人気棋士が勢揃いのイベントで、参加された方々は間違いなくお楽しみ頂けた事でしょう。
イベントの目玉としては公開対局によるトーナメントが行われました。
本日はその中から2日目の決勝、余正麒七段(黒)対伊田篤史八段戦をご紹介しましょう。
なお、対局の模様は囲碁プレミアムや幽玄の間で中継されました。
黒は目外しと高目、白は大高目2つ!
こういうのはプロの対局では滅多に見られません。
公開対局ならではのサービス精神ですね。
さらにいきなりの黒1ツケ!
序盤早々ツケて行くのは普通は相手を固めて良くないのですが、大高目対策として開発された手です。
黒4と根拠の要点である三々を押さえられるというのが黒の主張です。
ここで黒Aと切りを防ぐ一手かと思っていましたが、なんと黒6!
下辺に先行して足早ですが、白Aと切られたらどうするのでしょうか?
白1の切りには緩まず黒6までダメを詰めて行くのがポイントです。
白7で両当たりですが、黒8と要石の方を逃げ出して・・・
白1(Aの所)の抜きには黒2と当て返し、白5まで2子を取り合う振り替わりになります。
この分かれは厚みが外側を向いている黒が有利です。
実戦、白は前図を嫌って白1と技を飛ばしました。
もし黒Aと受ければそこで白Bと切り、今度は黒が困ります。
よって黒は2と切りを防ぎながら受ける事になりました。
お互いに相手の注文を外し合う面白い分かれでした。
黒は右下でも黒1とツケ!
今度は白が6と変化して戦いが始まりました。
おや?この形はどこかで見た事がありますね。
出発地点は違いますが、小目の小ナダレ定石と全く同じ形になっています。
小目と大高目は3路も離れていますが、同じ形が出来るというのは面白いですね。
手順が進み、中央で模様の境界線を巡って戦いになった場面です。
黒△のノゾキは白を攻めるための手続きです。
白Aと繋がせて黒Bと進出し、白を攻めながら周辺の白模様を消す作戦です。
しかし相手の言いなりにはならないのがプロです。
ノゾキに繋がず、白1とツケコシの手筋で反発しました。
黒の中央進出を止める狙いです。
結果黒は白△を取り、白は黒△を切り離しながら中央を止める事になりました。
鮮やかな振り替わりです。
白は6とさらに模様を拡大しながら黒の薄みを狙い、黒は7と切断に備えながら左辺の白模様を制限しました。
ここで白は右辺から上辺にかけての模様を拡大するのが普通の発想ですが・・・
なんと黒が備えた所を白1からごりごり切断!
これは凄い!
何が凄いかと言うと・・・
白△4子は空き三角の一種、「陣笠」と呼ばれる悪形です。
それが同時に2つ!
さらにダメが詰まったので黒Aからの出切りも心配しなければいけません。
いくら黒を切るためとは言え、非常に大きな代償です。
力自慢の棋士は沢山いますが、これは伊田八段にしか打てないでしょうね。
尤もいくら伊田八段でも公式対局では打たないでしょう。
戦いに持ち込んで面白い碁にしようという、これまたサービス精神の表れでした。
なお結果は余七段の黒番5目半勝ちでした。
伊田八段、ちょっとサービスし過ぎたでしょうか(笑)