白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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石の強弱その2

2016年08月28日 23時14分42秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日も昨日に引き続いて指導碁を題材にします。
本日は3子局です。



黒番です。
どこに目を向けますか?





実戦は黒1でした。
右辺の黒模様を広げたもので、素直な手ではあります。
しかし石の強弱という観点ではどうでしょうか。
黒の右辺一帯は強い石ですし、右上と左上の白もまた強い石です。
そう考えるともっと優先するべき所がありました。
白4、4がそれで、白の根拠を作りつつ左辺黒の根拠を脅かす要点です。





黒1、3と止めたものの、白AやBの嫌味が残りました。
何より大きいのは左辺白に根拠が出来てしまった事で、黒は攻めのチャンスを逃しています。





黒1が左辺黒の根拠を万全にしつつ、白の根拠を奪う要点です。
まずはお互いの石の強弱を第一に考えればいけません。





白1は打てましたが、これだけでは根拠は出来ません。
白3から逃げ出すしかありませんが、黒8まで進出を止めながら攻めます。





白がただ逃げている間に黒模様はどんどん盛り上がって行きます。
黒理想的な展開です。





上辺の白地は全く気にする事はありません。
白1以下囲っても、左右の強い石から15目ほど増やしたに過ぎません。
その間に黒模様はますます固まりますし、左辺白も弱くなって行きます。


如何でしたか?
昨日の題材、本日のタイトルによるネタバレによって正解率は高かったと思います(笑)
常に石の強弱を第一に考えていれば、実戦でも正しい場所に石が向かうのです。
ちなみに執筆中の本もこんな感じの内容になると思います