白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

スピード違反

2016年08月12日 23時03分12秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
8/10~12の3日間、子供入門教室の講師を務めさせて頂きました。
学習塾の四谷大塚と日本棋院の共催という形で行われ、参加者は全会場合わせて1500人以上!
大勢の子供たちに囲碁を楽しんで貰う事が出来ました。
私は横浜校舎を担当し、参加者は3日間合わせて約450人!
夜は五反田で指導碁も行うハードスケジュールでしたが、なんとか頑張り切れました。
子供たちからエネルギーを貰った気がします

さて、本日は指導碁を題材にします。
先日の3子局の続きのような内容ですね。



2子局です。
白1と守りながら渡りを見せましたが、構わず黒2と大所に先行しました。
このスピード感は良いですね。
2子ともなると石数が1つしか違わず、ちょっと遅れるとすぐ互先と変わらない碁形になってしまいます。
頑張って走らなければいけません。





少し手順が進み、白△と渡りました。
さて、ここで黒はどうしますか?





黒は左上に手をかけたくないという発想を持っていました。
しかしここで手を抜いたのはまだ早く、スピード違反になってしまいました。
白4、6の出切りが強烈です。
黒2子を持っていかれるのは悔しいので・・・





黒1と逃げ出しましたが、白8まで黒は左右に弱石を抱える事になってしまいました。
置碁で白有利な戦いになっては到底勝ち目が無く、この後は一方的な展開になりました。





切られては危険なので、まず黒1と受けておく所です。
白2を待ってから他に向かえば厳しい攻めはありません。
黒7までとなれば黒のリードがはっきりしています。
ただ、この図はスピードという点ではもう一つで・・・





白は前図のようには渡らず、白6と中央に進出するかもしれません。
すると左上の黒が心配になって来るので黒7と逃げるぐらいですが、白8に先行されてしまいます。
こうなると黒のリードがぼやけてしまった印象です。
右上の守り方にスピード感がありませんでした。





黒3がスピード感のある手です。
中央を制しながら上辺の白にプレッシャーをかけています。
今度は渡りを止める手が攻めになるので白4と渡るぐらいですが、黒5と大場に先行します。
盤上黒石だらけになった感じがしませんか?
今後どこで戦いが起こっても黒は有利に戦えるでしょう。


布石のスピードはとても大切です。
しかし止まるべき所もあります。
石の強弱には気を付けましょう。

最近はちょっと高度な題材が多過ぎるかもしれません。
棋戦、大会等多かったので止むを得ない部分もありますが・・・
級位者の方に分かりやすい記事も書いていきたいですね。