白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

Master対棋士 第44局

2017年06月06日 22時21分58秒 | Master対棋士シリーズ(完結)
皆様こんばんは。
本日はMasterと安成浚七段(韓国)の対局をご紹介します。



1図(テーマ図)
安七段の黒番です。
次に白は、Aあたりに向かえば普通でしょうか?
また、もし左上が大きいとみれば、ほとんどの棋士は白Bあたりを考えるでしょう。
次にC方面とD方面を見合いにします。





2図(実戦)
しかし、実戦は何と白1!
大ゲイマ締まりには薄みがありますが、それを守らせるお手伝いしているようにしか見えません。
上辺に向かえるメリットはありますが、黒△が良い所にあり、白模様を作るようなことはできません。





3図(実戦)
白1~7まで、がっちり守りました。
こんなに手をかけて、一体何が得られるのでしょうか?





4図(実戦)
白1の打ち込みを見ていました。
地を荒らすことよりも、上辺黒の攻めを狙っています。
こうなってみると、どうやら一貫した作戦だったと分かります。





5図(実戦)
しかし、白1以下にまた疑問符です。
黒10まで応じて何も手が無く、白が手を出す意味は全く無かったように思えます。
やはりMasterは、部分戦が苦手なのでは?

と思いましたが、結局この碁はMasterが問題無く勝っているのです。
ということは、これも計算のうちなのでしょうか?
うーん、AIの思考回路はよく分かりません。