白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

本日のAQ

2018年08月15日 23時56分22秒 | AI囲碁全般
<本日の一言>
終戦記念日です。
今日の日本が平和で豊かな国になっていることを、先人に感謝したいと思います。


皆様こんばんは。
本日は日本棋院ネット対局で行われていた、AQと棋士の練習対局をご紹介したいと思います。
本日と言いつつ、対局日は2日前ですが・・・。

ちなみに、AIの大会も行われていて、そちらの対局も中継されていますが・・・。
碁の内容に、あまりついていけません。



1図(実戦)
AQの黒番、白はrekia(9P)です。
黒△の切りは、なかなか過激な一手に見えます。
と言うのは・・・。





2図(実戦)
白1の手筋から白5の切りまでの進行が想定できるからです。
黒は大丈夫なのでしょうか?





3図(実戦)
白4までとなって・・・。
これは、黒が攻め合い負けですね。





4図(実戦)
なるほど、捨て石作戦でしたか!
・・・いやいや、これは流石に黒がまずいように見えます。
予定通りとは思えません。

しかし、ここから74手後には白が投了に追い込まれることになりました。
隙を見せるとあっという間にポイントを奪われるので、AIとの対局は気が抜けませんね。

瀬戸ー芝野戦

2018年08月14日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
宇宙エレベーター、夢がありますね。
なんとか私が生きているうちに実現させて欲しいです。


皆様こんばんは。
本日は幽玄の間で中継されていた、阪急囲碁まつりでの瀬戸大樹八段と芝野虎丸七段の対局をご紹介します。



1図(実戦)
瀬戸八段の黒番です。
白△と打たれ、黒×が攻められました。
これをもがいて生きようとするのでは、黒が苦しすぎます。
上手く捨てることを考えたいですが・・・。





2図(実戦)
ここで瀬戸八段の放った黒1、3が上手い連続技ですね。
白を空き三角の愚形に導きました。
さらに、黒Aの切りが生じているので、白6の守りが必要ですが・・・。





3図(実戦)
黒1、3で、次に黒AとBが見合いとなりました。
鮮やかな手作りでしたね。

新布石?

2018年08月13日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
トルコ、大丈夫でしょうか?


皆様こんばんは。
毎年、阪急囲碁まつりというイベントが行われています。
日本棋院ネット対局幽玄の間でも対局の模様が中継されているので、本日はその中の1局をご紹介しましょう。
武宮正樹九段と王銘エン九段の対局です。





1図(実戦)
黒番の武宮九段、初手天元!
初手天元の対局は、何年も見ていなかった気がします。
流石武宮九段、サービス精神旺盛ですね。
こういう時、対局相手もお付き合いしたくなるものですが・・・。





2図(実戦)
ええーっ!
3線、4線に石が1つもありません。
両者共に、ずいぶん突き抜けましたね(笑)。
公開対局ならではの展開です。





3図(実戦)
これは未来の対局か?
と思ってしまいますね。
しかし、考えてみれば、このような布石が当たり前に打たれた時代がありましたね。
そう、新布石時代です。

新布石をご存知ない方は、ぜひ検索してみてください。
本局にそっくり、あるいはもっと突き抜けた布石が沢山見られるでしょう。

新布石そのものは廃れましたが、その精神は現代にまで受け継がれています。
武宮九段の宇宙流も、新布石時代がなければ生まれなかったでしょう。

新布石は勝率の悪い布石ですが、エンターテインメント性は非常に高いと思います。
10手目まで5線以上にしか打ってはいけない棋戦やイベントなどが、あったら面白いかもしれませんね。

四谷大塚こども囲碁教室3日目

2018年08月12日 22時50分27秒 | 仕事・指導碁・講座
<本日の一言>
「3位決定戦に勝って決勝進出」
記事の間違いかと思いました。


皆様こんばんは。
実験的に、冒頭に「本日の一言」コーナーを設けてみます。
日々のニュースなどに、考え無しにコメントするだけのコーナーです。
より日記感が出るかと思いますが、如何でしょうか。

さて、本日は四谷大塚での囲碁入門教室の最終日でした。
四谷大塚は主に中学受験のための指導を行っている学習塾ですが、学力強化だけでなく、
「独立自尊の、社会や世界で活躍できる人材を育てる」ことを理念としているそうです。
そのためにも、囲碁の持つゲーム性が役立つと評価して頂いているようです。

また、私以外にも日本棋院のスタッフが何人か参加しているのですが、さらに四谷大塚の先生方もサポートしてくださっています。
子供達の案内などを担当して頂いているのですが、今年で3回目ということもあって、練習中の子供たちにヒントを出してくださる方もちらほらと。
流石先生ですね。

それでは、本日も入門指導についてお話ししていきましょう。



<1図>
「相手の石を囲むと捕まえられます。
では、この黒石を捕まえてくれる人!」
入門教室での定番中の定番ですね。
実際には、黒ではなく赤だったり、石ではなく「おうまさん」であったりしますが・・・(笑)。





<2図>
ともあれ、それで出てきてくれた子供達は必ず白1~4とポン抜きを作ってくれます。
もちろん、最初は白a~dに置いてしまう子もいますが、石を4つだけ渡しておくとすぐにミスに気が付きます。
ポン抜きは簡単なルールなのですね。






<3図>
ところが、実際に練習していると、白1と打って黒△を取ろうとしてしまうような子を沢山見かけます。






<4図>
最初に「グループ」の概念を説明していて、それ自体は理解できているのです。
ですから、黒△は1つのグループであり、それを取るためには×の所を全て囲わなければならないということも理解しています。
それでも、実際に打っていると忘れたり見落としたりしてしまうのですね。
何事も、理解と体得には大きな差があるでしょう。
これは囲碁も例外ではありません。

ですが、私はこうも思います。
理解できるものは、いつか必ず体得できるはずだと。
そこで、今回の入門教室では、とにかく粘り強く教えるということを意識しました。
4歳の子供でも、ポン抜きとグループの概念を理解できるなら、必ず囲碁も理解、体得できるはずです。
子供たちが理解、体得できるまで何度でも説明する、そんなスタンスで臨みました。

3年前に比べれば、私の入門指導のレベルは格段に上がったでしょう。
しかし、それによって今まで見えていなかったダメなところも沢山見えるようになりました。
まだまだ上級者には程遠いですね。
囲碁の棋力が上がる度に味わっていた感覚を思い出しました(笑)。
今後も精進を続けたいと思います。

ともあれ、素晴らしい3日間でした。
今後もぜひ続いて欲しいですね!

四谷大塚こども囲碁教室2日目

2018年08月11日 23時43分44秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日も四谷大塚での囲碁入門教室の講師を務めました。
受講者が毎回変わるので、全体の雰囲気も少しずつ違ったものになりますね。
ですから、様子を見ながら多少のアドリブも利かせることにしています。

また、教え方そのものも3年前とはだいぶ変わりました。
今回は入門指導で最も難しい、終局の処理についてお話ししたいと思います。



<1図>
まず、丸印の相手が入ってこれないところが陣地になりますよ、といったニュアンスの説明をします。
これはすぐに理解してくれますね。





<2図>
次に、
「白1と打っても陣地が減るだけなので損になりますね。
こういう時はパスしましょう」
以前は大体こんな説明の仕方をしていました。
ただ、陣地が減るというだけでは、着手を放棄することへの説得力が弱いのです。
大勢の子が、構わずに自陣に石を埋め続けてしまいます。
まあ、実際陣地が減るだけならそれはそれで構いませんが・・・。






<3図>
埋め続けると、最終的にはこうなってしまうのですね・・・。





<4図>
悲劇!
こういう取られ方をすると、ショックを受けてしまう子も多いですね。

ということで、最近は大盤でこのことを解説するようにしました。
心なしか、以前より子供達の終局処理がスムーズになった気がします。

明日は最終日です。
最後まで子供たちがしっかり楽しめるような指導を心がけたいと思います。