白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

農心杯第4戦

2018年10月20日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
ここに何を書くべきか、しばらく考え込んでしまうことがあります。
何を書いても良いのですが、それゆえに悩みます。
囲碁みたいですね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は農心杯第4戦、本木克弥八段(23)と范廷鈺九段(22)の対局を振り返ってみたいと思います。



1図(実戦)
本木八段の黒番です。
黒△と仕掛けました。
白×を大きく飲み込むぞと言っていますね。
白が逃げ出してくれれば有利な戦いに持ち込めるというわけです。





2図(実戦)
しかし、范九段は冷静でしたね。
白×を小さく捨てて、白△の好点に回りました。





3図(実戦)
黒は左辺に踏み込まざるを得なくなりましたね。
しかし、白△となって苦しい戦いに・・・。





4図(実戦)
結局、黒×が取られてしまいました。
こうなっては黒が大変でしょう。

本局は本木八段の剛力を発揮しづらい碁に持ち込まれてしまいましたね。
范九段の試合巧者ぶりが表れた1局だったと思います。

天元戦五番勝負、開幕!

2018年10月19日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
農心杯第4戦は残念な結果でした。
それにしても、范廷鈺九段の安定感は流石のものですね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日、天元戦五番勝負第1局が行われました。
井山裕太天元に挑戦するのは山下敬吾九段です。
早速振り返っていきましょう。



1図(実戦)
山下挑戦者の黒番です。
井山天元の白△の打ち込みには驚きました。
序盤早々、狭い所に入っていくとは・・・。
一見すると焼き餅のようですが、黒×への攻めを狙っているのでしょうね。





2図(実戦)
黒△と切り、戦いが激しくなってきました。
いわゆる四天王(羽根直樹九段、高尾紳路九段、山下九段、張栩九段)は皆力が強いですが、タイプはそれぞれ違います。
山下挑戦者は常に全力で戦うタイプですね。





3図(実戦)
切れる所は全部切る!
山下挑戦者なら全く迷わなかったでしょうね。





4図(実戦)
途中は黒が苦しいのかと思って見ていたのですが、しっかりと形ができていますね。
このような激しい戦いでも、山下挑戦者はなかなか崩れません。

途中黒が優勢になったかと思いましたが、結果は井山天元が勝ちましたね。
過密スケジュールにも動じない、井山天元の体力も驚異的です。

農心杯第1戦

2018年10月18日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
昨日はお休みしました。
最近休みが多くていけませんね。
ほぼ毎日更新を謳っている以上、頑張っていきましょう。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は10月16日に行われた、第20回農心杯の第1戦をご紹介しましょう。
黒は日本の芝野虎丸七段(18)、白は韓国の安国鉉八段(26)です。



1図(実戦)
白1の挟みに対して、黒2、4と動き出して戦いを求めました。
黒2でAとかわすこともできますが、それでは右上でポン抜いた厚みが働きませんし、なにより芝野七段らしくありません。





2図(実戦)
張栩九段のコウ好きは有名ですが、芝野七段の碁にもよくコウが現れます。
複雑な戦いは芝野七段が得意とするところです。
本局もコウ絡みでの大変化が起こりました。





3図(実戦)
黒が右下に侵入してきた白を攻めている場面です。
取るのは難しそうに見えますが・・・。





4図(実戦)
そっちですか!
白×に猛然と襲い掛かりました。





5図(終局図)
結局、白の大石はなんとか生きましたが、周囲がぼろぼろに・・・。
黒×の復活と白×の殲滅が見合いになっては勝負ありました。


芝野七段は農心杯初出場でしたが、見事に勝利を収めました。
今後も国際棋戦で活躍してくれるでしょう。
ただ、残念ながら第2戦では中国の范廷鈺九段に敗れました。
仇はぜひ日本選手に取ってほしいですね。

名人戦第5局感想

2018年10月16日 20時08分24秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
本日、第20回農心杯が開幕しました。
日本の先鋒、芝野虎丸七段は見事に勝利!
大舞台でも普段どおりに打てるメンタルは素晴らしいですね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は名人戦第5局の2日目が行われました。
早速振り返っていきましょう。



1図(封じ手)
封じ手は黒△でした!
ようやく当たりましたね!





2図(実戦)
白△と下辺の黒模様を消しにいった場面です。
お互いに大きな地ができそうもありませんね。
このような碁は6目半のコミがものをいうことが多いです。
白のペースが続いているかと思いました。





3図(実戦)
しかし、黒△とは強烈!
このパンチを食らっては、白がぐらついたかと思いました。





4図(実戦)
とは言え、命の心配が生じるほどではありません。
白△まで進み、平和が訪れました。
お互いに弱い石が1つもありません。
形勢も細かそうで、どう見てもヨセ勝負になりそうですね。
展開の予想まで当たって、今回の私は冴えていますね!





5図(終局図)
と思っていたのですが、なんということでしょう・・・。
突如第三次世界大戦が始まってしまいました!
その結果、×印の石が全て死に石という、死屍累々の終局図に・・・。
碁は何が起こるか分かりませんね。


ともあれ、結果は張栩挑戦者が2勝目を上げて望みをつなぎました。
これで井山名人にもプレッシャーがかかってくるでしょう。
第6局はどのような戦いになるのでしょうか?
10月22日、23日を楽しみに待ちましょう!

封じ手予想

2018年10月15日 23時42分04秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
おかげ杯国際精鋭囲碁対抗戦は残念な結果になりました。
まだ中韓の壁は厚いですね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は名人戦第5局の1日目が行われました。
早速振り返っていきましょう。



1図(実戦)
井山名人の黒番です。
星とカカリばかり・・・。
AIの影響もあるでしょうが、両者のサービス精神も感じます。
張栩挑戦者も、NHK杯でブラックホール布石を打つような人ですからね(笑)。





2図(実戦)
このあたりの黒の打ち方、「地が気になる病」にも見えますね(笑)。
一生懸命地を囲っているようですが・・・。





3図(実戦)
ただ、力を溜めて白に迫る手を狙っていたのですね。
名人の打つ手の価値は長い目で見ないと判断できません。





4図(打ち掛け局面)
白△と当てたところで打ち掛けとなりました。
現在、弱い石は白×と黒×です。
そのあたりを中心に考えることになるでしょうが・・・。





5図(封じ手予想)
封じ手予想は黒△にします。
上辺白への攻めを狙う手ですね。
ここは選択肢の多い場面なので、正直言って当たる気がしませんが・・・。


本局は生きるか死ぬかといった勝負にはなりにくそうですね。
細かいヨセ勝負に進むことを予想します。

明日で名人防衛が決まるってしまうのでしょうか?
それとも挑戦者が望みをつなぐのでしょうか?
明日もぜひご覧ください。