その男は女性が好きだった。大学を卒業し、就職した関東での一人暮らしにも慣れてきていた。帰宅すればコンビニ弁当を食べるような毎日で、時々彼女が欲しいと思ったりはしたが、実際はどうでもよかった。顔は男っぽい普通顔にそこそこ鍛えた体は、25歳でありながら童顔にも見えた。ゲイからしてみたらそこそこモテる容姿だが、女性にはあまりモテてはいなかった。学生時代からイケメンとは言い難い自分の容姿のことは理解していた。女性とデートするよりも男友達とゲームやったりカラオケ行ったりしている方が圧倒的に多い学生生活は気付けば終わっていた。
その女はSMには興味がなかったが、性的嗜好を辿っていくうちにSMサイトに辿り着いた。彼氏がどうのとか恋愛がどうとか、そういう普通の事とは全然別のところでMの男をいじめたいと思っていた。いじめる、と言ってもやはりSMとは違った。ちょっと触ったり脱がしたり、そういう事がしたいと思っていた。それを問題なく実施する為には、相手もそうされたい側でなくてはならない。過激な書き込みや気持ちの悪い投稿に辟易しながらも、その日もまたお気に入りのSMサイトを閲覧していた。
男は、自分の性欲が異常に強くドMであることに気付いていた。女性に命令されてオナニーを強要されたいと常々妄想していた。SEXをしたいというよりも、女性に管理されたかった。検索サイトで調べるうちにSMサイトに辿り着き、そこで自分の同志のような書き込みを目にしてホっとしたのを覚えている。自分だけじゃないんだ、とか、自分の頭がおかしい訳ではなかったんだ、とか、そんな安心感を得られた。それからはそのサイトに頻繁に書き込み、年上の痴女に勝手にチ〇コをしごかれて射精を楽しんでもらうだけの「出会い」を繰り返してきた。自分のチ〇コがデカいと喜ばれ、何回もイカされたりバイブ扱いされて跨られ、チ〇コにしか用がないと言わんばかりの扱いを受けるのがドMの男には快感だった。動画もよく強要された。知らない女性に勃起した性器の画像や自宅でオナニーをした時に撮った動画を送るのが日常だった。見ず知らずの女性達に自分のチ〇コのサイズやチン毛の生え方、射精する様子を閲覧されると思うと興奮した。
女が帰宅すると、音楽を聴きながらコーヒーを淹れた。いつもの習慣で見ているYoutubeを一時停止すると、別タブでSMサイトを開いていた。
「私も好きね」
にやにやしながら投稿を見ていると、1人の男性の書き込みが目に入った。デカいチ〇コを好きにしていい、そんな内容の書き込みだった。SEXをしたいというのなら理解ができるが、自分のチ〇コを女性に弄ばれたい男性というのはどういった心境なのだろう。実際にいじらせてもらいたいという興味もあったのでメッセージを送信することにした。すぐに返事が来る類のものではないので、またYoutubeの動画を再開した。そのうちメッセージしたことも忘れてお風呂に入ることにした。髪を拭いていると知らない相手からメッセージが届いていた。彼からだった。
「連絡ありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ」
SMサイトには似つかわしくない挨拶のやり取りだったかもしれない。ちょっとした他愛もない話をした後本題に入ると、相手は気さくに返事をくれた。「ちょっと待ってね」そう言うと動画が届いた。ボクサーパンツ一枚で顔は見えない男性が全裸になっていく30秒もない動画だった。「どうだった?」と聞かれたので、大きいですね、と言ったような返事をした。実際に勃起した彼のチ〇コは自慢するだけあって本当に大きかった。これを知らない女性に触らせているのかと思うと興奮した。ダメ元でオナニーしてと送ると、しごくだけならいいよ、射精は直接見て欲しいんだ、と返事が来た。たまたま一人でオナニーした時の動画なら送れるけど、とも。送ってと言うとすぐに動画が届いた。顔は分からないが体はそこそこ良くてあそこが大きい彼。女性限定とはいえ人前で射精ができるのだからノリも良さそうだ。良い人かどうかは分からないが、こうして毎晩やり取りをしていると良い人に思えてくる。好きにはならないが、こうして毎晩やり取りができる相手というのは人生に何人いるのだろう。この日も全裸の動画を進んで送ってくれた。彼の性器の細部まで私は把握できているのだと思うと自尊心みたいなものがくすぐられた。
オレはどうしたのだろう。最近やり取りしている変態の女のコから返事が遅いと催促してしまうことが多くなった。今までそんなことはなかった。こんなSMサイトを信用しているわけではない。都合よく会って射精できればそれでよかった。動画だけ送らされて無視されることもよくあったがそれはそれでいい。そんな事を気にしない者が楽しめるのだ。だから返事がこなければ次に行けばいいし、やった女のコとはそれっきりでも構わない。そう理解できている自分は頭のいい男だと思っていたが、そうでもなかったのかもしれない。なぜかこのコからの返事が待ち遠しい。チ〇コを見せてと言われるのが嬉しいし、いっぱい見て欲しかった。こんな男でも突然にやってくるのだ。誰かを好きになるという事が。好きというにはまだ遠い感情だったが、それでも好きには違いなかった。
ゲイは出会いの総数が少ない。だからノンケは恵まれていると皆思っている。だが、ノンケはノンケで出会いの総数が多いだけで幸せにはほど遠い。選択肢が多ければ多い程、人は迷い幸せを選べなくなっていくのかもしれない。そう思うと、こうした出会いも大切なように思う。
その女はSMには興味がなかったが、性的嗜好を辿っていくうちにSMサイトに辿り着いた。彼氏がどうのとか恋愛がどうとか、そういう普通の事とは全然別のところでMの男をいじめたいと思っていた。いじめる、と言ってもやはりSMとは違った。ちょっと触ったり脱がしたり、そういう事がしたいと思っていた。それを問題なく実施する為には、相手もそうされたい側でなくてはならない。過激な書き込みや気持ちの悪い投稿に辟易しながらも、その日もまたお気に入りのSMサイトを閲覧していた。
男は、自分の性欲が異常に強くドMであることに気付いていた。女性に命令されてオナニーを強要されたいと常々妄想していた。SEXをしたいというよりも、女性に管理されたかった。検索サイトで調べるうちにSMサイトに辿り着き、そこで自分の同志のような書き込みを目にしてホっとしたのを覚えている。自分だけじゃないんだ、とか、自分の頭がおかしい訳ではなかったんだ、とか、そんな安心感を得られた。それからはそのサイトに頻繁に書き込み、年上の痴女に勝手にチ〇コをしごかれて射精を楽しんでもらうだけの「出会い」を繰り返してきた。自分のチ〇コがデカいと喜ばれ、何回もイカされたりバイブ扱いされて跨られ、チ〇コにしか用がないと言わんばかりの扱いを受けるのがドMの男には快感だった。動画もよく強要された。知らない女性に勃起した性器の画像や自宅でオナニーをした時に撮った動画を送るのが日常だった。見ず知らずの女性達に自分のチ〇コのサイズやチン毛の生え方、射精する様子を閲覧されると思うと興奮した。
女が帰宅すると、音楽を聴きながらコーヒーを淹れた。いつもの習慣で見ているYoutubeを一時停止すると、別タブでSMサイトを開いていた。
「私も好きね」
にやにやしながら投稿を見ていると、1人の男性の書き込みが目に入った。デカいチ〇コを好きにしていい、そんな内容の書き込みだった。SEXをしたいというのなら理解ができるが、自分のチ〇コを女性に弄ばれたい男性というのはどういった心境なのだろう。実際にいじらせてもらいたいという興味もあったのでメッセージを送信することにした。すぐに返事が来る類のものではないので、またYoutubeの動画を再開した。そのうちメッセージしたことも忘れてお風呂に入ることにした。髪を拭いていると知らない相手からメッセージが届いていた。彼からだった。
「連絡ありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ」
SMサイトには似つかわしくない挨拶のやり取りだったかもしれない。ちょっとした他愛もない話をした後本題に入ると、相手は気さくに返事をくれた。「ちょっと待ってね」そう言うと動画が届いた。ボクサーパンツ一枚で顔は見えない男性が全裸になっていく30秒もない動画だった。「どうだった?」と聞かれたので、大きいですね、と言ったような返事をした。実際に勃起した彼のチ〇コは自慢するだけあって本当に大きかった。これを知らない女性に触らせているのかと思うと興奮した。ダメ元でオナニーしてと送ると、しごくだけならいいよ、射精は直接見て欲しいんだ、と返事が来た。たまたま一人でオナニーした時の動画なら送れるけど、とも。送ってと言うとすぐに動画が届いた。顔は分からないが体はそこそこ良くてあそこが大きい彼。女性限定とはいえ人前で射精ができるのだからノリも良さそうだ。良い人かどうかは分からないが、こうして毎晩やり取りをしていると良い人に思えてくる。好きにはならないが、こうして毎晩やり取りができる相手というのは人生に何人いるのだろう。この日も全裸の動画を進んで送ってくれた。彼の性器の細部まで私は把握できているのだと思うと自尊心みたいなものがくすぐられた。
オレはどうしたのだろう。最近やり取りしている変態の女のコから返事が遅いと催促してしまうことが多くなった。今までそんなことはなかった。こんなSMサイトを信用しているわけではない。都合よく会って射精できればそれでよかった。動画だけ送らされて無視されることもよくあったがそれはそれでいい。そんな事を気にしない者が楽しめるのだ。だから返事がこなければ次に行けばいいし、やった女のコとはそれっきりでも構わない。そう理解できている自分は頭のいい男だと思っていたが、そうでもなかったのかもしれない。なぜかこのコからの返事が待ち遠しい。チ〇コを見せてと言われるのが嬉しいし、いっぱい見て欲しかった。こんな男でも突然にやってくるのだ。誰かを好きになるという事が。好きというにはまだ遠い感情だったが、それでも好きには違いなかった。
ゲイは出会いの総数が少ない。だからノンケは恵まれていると皆思っている。だが、ノンケはノンケで出会いの総数が多いだけで幸せにはほど遠い。選択肢が多ければ多い程、人は迷い幸せを選べなくなっていくのかもしれない。そう思うと、こうした出会いも大切なように思う。