井真井のちょっと一言。。

人気国家資格の『井真井アカデミー』
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#管業主任者 #FP #行政書士 他

世界に誇るメイド イン ジャパンのすごさがこんなところにも。

2015-04-06 00:37:17 | 日記

東京郊外の閑静な住宅街に存する我が家だが、殊更、日曜の夜は静寂な空間に包まれている。独りで過ごす夕食のひとときは、「大人の男」を決め込む時間だ。

照度を抑えたライティングに心地よいジャズの調べ。グラスを駆け上るビールの気泡を一気に喉に流し込み、口元に残った泡を親指でさっとぬぐう。今夜はダイニングテーブルにカセットコンロを設置し、焼きたての「お好み焼き」を酒のあてにすることにした。

夕食にジャンクフードは本来、我が家では禁じ手だが、独りならこれもアリだ。お好みの焼きの片面がほどよい色合いになったところで裏返し、残りの面を焼く。既に焼けた面には、濃口ソースを塗り、かつお節をかけて、焼き上がるのを待った。


聞こえるのはピアノが奏でる甘く切ないメロディとお好み焼きの
Sizzling・・・・・これぞ、幼き頃に憧れていた「大人の男の時間」だ。

さて、フライパンに顔を近づけ、最後の焼き具合をチェック。あれっ!?

ちょっとだけ、ひっくり返すのが早かったのか、どうやら半分よりやや上の部分が生焼きのようで火が通っていない。既にソースをかけてしまったが、問題は無いだろうと思い、再びお好み焼きをひっくり返した。

ところが・・・・これが大きな悲劇を招くトリガーだった。

ひっくり返して10秒後。ピピピ・・。目覚ましのような音が聞こえたように感じた。「はあん?今、携帯鳴ったか?」自問するも束の間、再びピピピ・・・。ピピピ・・・。ピピピ・・・・ピピピ・・・次第に音が大きくなっていく。その音の出所を探すべく視線を巡らせた時、天井で赤い小さな光が点滅しているのに気付いた。<えっ、うそでしょ!?!ヤバい・・・・>

鳴っていたのは火災警報器だった。どうやら、ソースのかかった面を下にしたため、ソースが焦げ、焦げて立ち上った煙を感知してしまったようだ。

日本製品は本当に優れている。一カ所で火災を感知すると、そこから各部屋に設置されている警報器へ無線電波が飛び、全警報器が一斉に鳴り出すのだ。いや、実際、鳴り出してしまったのだ。こういう時、大人の男であってもパニクる。そこに大人も子ども関係ない。静寂な日曜日の夜を切り裂く音の出所が我が家だと気付いた瞬間、きっと誰でもパニクると思う。

だから、俺もパニクった。あまりに突然の事すぎて、音の止め方がわからない。電気製品なんだから電源を断てば止まるに違いないと思い、慌てて洗面所へ駆けつけ家のメインブレーカーを落とした。次の瞬間、家中が真っ暗になった。

しかし・・・音は鳴り止まない。鳴り止まないどころか、とんでもない事態になった。これぞ世界に誇るメイド イン ジャパンの技術のすごさ。

生身の女性の声で警報器がしゃべり出したのだ。

ピピピ・・・「火事です!」、ピピピ・・・・「火事です!」

ピピピだけなら、まだしも、「火事です」と大声で断定された暁には、もはや近所に言い訳もできない。全身から冷や汗が一気に吹き出した。人は窮地に追い込まれると何をしでかすかわからない生き物だ。それを我が身をもって俺は体験した。

警報器の女性が「火事です」と言った次の瞬間、俺は大きな声で、「おい、やめろって!近所の人が勘違いするじゃん!」と、あたかも「夫婦の会話」のように、フェイクしたのだ。

ピピピ「火事です」「違うって、どう見ても火事じゃないでしょ」
ピピピ「火事です」「まあ、見ようによってはそう見えなくもないけどさ」
ピピピ「火事です」「いやいや、やっぱり、火事じゃないと、俺は思う」

俺はメインブレーカを戻して部屋の電気をつけると、夫婦の会話を装いながら、火災警報器を凝視した。すると、「警報停止ボタン」と書かれた文字が見えた。何のことはない。そのボタンを押せば止まったのだ。

事態は収束したが、一応、明日から2日間は家から一歩も出ないことに決めた。