FPの受講者様から限定承認についてのご質問を
いただきましたので、限定承認について整理した
いと思います。
被相続人(財産を残して亡くなる方)の相続財産に
はプラス財産もあれば、当然、負債などのマイナス
財産もあります。
限定承認は、プラス財産-マイナス財産でプラス
財産が残った時だけ、その財産を相続するという
ものです。
被相続人の財産総額がわからない場合などにこの
手続きは大きな効果を発揮します。
限定承認をする場合には、共同相続人全員で行う必要
があり(民法923条)、相続の開始があったことを
知った時から3ヶ月以内に、相続財産の目録を作成の上、
家庭裁判所に限定承認をする旨を申述しなければ
なりません(民法924条)。
相続人の財産が調査してもわからない場合には、申述書
にその旨を付記すれば足りると考えられています。
限定承認を行った場合、限定承認者は、相続財産の管理
を継続する必要があります(民法926条1項)。
相続人が数人ある場合には、家庭裁判所により、相続人
の中から相続財産管理人が選任され(民法936条1項)、
相続財産管理人が、相続財産の管理及び債務の弁済に必要
な一切の行為を行うことになります(民法936条2項)。
限定承認では、限定承認者による精算手続きが行われます。
限定承認者は限定承認をした後5日以内に(相続財産
管理人が選任された場合には、選任後10日以内に)、
すべての相続債権者及び受遺者(被相続人により被相続
財産の遺贈を指名された者)に対し、限定承認をした
こと及び一定期間(最低2ヶ月)以内にその請求の申出を
すべき旨を官報に公告しなければなりません
(民法927条1項、4項)。
また、知れている相続債権者及び受遺者には、各別にその
申出の催告をしなければなりません(民法927条3項)。
上記公告期間内に申し出を行わず、かつ限定承認者に知れて
いない相続債権者及び受遺者は、残余財産についてしかその
権利を行使することができなくなります(民法935条)。
限定承認者は、上記期間満了前は、弁済を拒むことができま
すが(民法928条)、上記期間経過後は、相続財産をもっ
て、相続債権者および受遺者に弁済することになります。
弁済順位としては、
①優先権を有する債権者、
②相続債権者、
③受遺者
・・・・・の順になります。そして、次に
④公告期間内に申し出を行わず、限定承認者に知れていない
相続債権者及び受遺者
・・・・の順になります(民法929条、931条)。
相続債権者等に対して弁済をするにつき、相続財産を売却する
必要があるときは、競売によって換価する必要があります
(民法933条)。
昨今、高齢社会の影響で相続に関するトラブルも増えつつあり
ます。身近な問題だけでに知っておくと得する制度もあります。
しかし、ここまでの詳細についてFP試験で問われることは
ございません。