漫画の思い出
花輪和一(22)
『護法童子・巻之(二)』(双葉社)
「旅之壱 ひろひろへえ」
「ひろひろへえ」が何か、わからない。
「征夷大将軍」が「蝦夷」を滅ぼしにやって来る。
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蝦夷(えぞ)とよばれる人々は 貴族などよりも一段と 神に近い精神を持っていたのだった
それゆえ草木の生命力 大地の 生命力 宇宙の生命力と自由にとけこみ また それからの「ぷらあな」を あつめることもできた
朝廷はこの力をおそれ ほろぼさずにはおられなかった
(「ひろひろへえ」)
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「ぷらあな」は「インド哲学で、宇宙にみなぎる生命力としての気」(『広辞苑』「プラーナ」)だろう。意味不明なんだけど。
「ガマ人(びと)」というのが「蝦夷」といる。頭部は遮光器土偶に似ている。
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遮光器とはイヌイットなどの極北民族が用いる雪眼鏡ので、目の表現がこれに似ることから命名。
(『山川日本史小辞典』「遮光器土偶」)
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怪しい。
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この目なども、雪眼鏡をかけたものではなくて、大きく見ひらいた目と一条に閉じた目を組み合わせた目をもって、邪視に対抗させたものではなかろうか。
(国分直一「呪術‐その役割」)
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「邪視に対抗させたもの」とは「僻邪」(同前)のことだろうが、この言葉は「心がねじけて、よこしまなこと」(『広辞苑』「僻邪」)とは違って、「邪鬼を退治する」(『日本歴史大事典』「僻邪絵」)という意味らしい。
「征夷大将軍」に従う「箱入り陰陽師」が「ガマ人」を怪しむ。護法童子は合体しないまま、それぞれが「ガマ人」や「蝦夷」と力を合わせ、「箱入り陰陽師」をやっつける。
(22終)