手 ―『最も優雅で器用な器官』
私は,エホバの証人ではありませんが,時々,
エホバの証人より配布いただいてる,「目ざめよ」誌・「ものみの塔」誌,パンフレット等
より引用の記事もあります。
(どこの宗教,宗派にも属していません)
*いろんな宗教にも交わりました(立正佼成会,創価学会,キリスト教のカトリック,
プロテスタント等)
その中で,聖書に忠実に教えてるのは,エホバの証人と思います。
目ざめよ! 1988
緊急事態が発生しました。一人の年若い少女が,オートバイによる事故で右足の大動脈を切り,病院の入り口に横たえられています。
傷口から流れ出る血を止めるのに外科用器具は手元にありません。居合わせた医師には何ができるでしょうか。
ネイピア教授は,自分の著した「手」という本の中で,こう回想しています。「わたしはどうにかその動脈を親指と人さし指で挟み,自分の手を鉗子代わりにした。
ほかに何もなかったので,やっとのことで少しの糸を手に取り,その糸を動脈に巻きつけて縛った。
血液の流出は止まった。……あの緊急事態をあれほど素早く効果的に処理できるものは手以外になかっただろう。……手術中に適切に当てられた指一本で命が助かった,
ということを悟る患者はまずいない」。
そのような動作は,親指の関節が鞍関節でなかったなら不可能だったでしょう。
親指の鞍関節は,その造りからして肩の球関節と大体同じような動きが可能ですが,肩とは違い,関節を周囲の筋肉の塊に支えてもらう必要がありません。
ですから,親指を他の指先と合わせるような繊細な動きができるのです。
親指を使わずに小さな物体を拾い上げるか,あるいはこの雑誌のページをめくってみてください。
南アフリカのある医師は,「わたしは親指の怪我をした人を何人も,親指に添え木を当てて治療してきたが,患者たちは再びやって来ると大抵,親指がどれほど必要なものか
十分悟っていなかったと言う」と語りました。
親指が他の指と向かい合うようになっている人間の手は,極めて多様な働きをする道具です。
手がなかったら,どのようにして手紙を書き,写真を撮り,釘を打ち,電話を使い,針に糸を通すことができるでしょうか。
手のおかげで,ピアニストは絶妙な音楽を演奏し,画家は美しい絵をかき,外科医は細心の注意を要する手術を行なうことができます。
「親指が短く他の指が長いサルは,手先の器用さの点で不利な立場にある」と,新ブリタニカ百科事典(英文)は述べています。
人の手とサルの手とでは,もう一つ重要な違いがあります。人間の脳の運動領の約4分の1は専ら手の筋肉のために用いられています。
ガイトン教授の「内科生理学教本」の説明によると,人間の脳の運動領は「下等動物のそれとはかなり異なっており」,その結果,「手や指を使ってたいへん器用に手作業を
行なう並外れた能力」を発揮することができます。
なおその上に,神経外科医たちは,「手の技能のための領野」と呼ぶ,人間の脳にあるもう一つの領域を発見しました。
手が器用な働きをするには,感覚受容器がなくてはなりません。人間の手,特に親指には,そういう微小な神経終末が沢山あります。
「目ざめよ!」誌のインタビューに答えたある医師は,「人々は親指の先からほんの少しでも感覚を失うと,ねじのような小さな物の位置を定めることが難しくなる」と語りました。
人の腕には,真っ暗やみの中でも自分の手を正しい位置に動かせるようにする,他の型の感覚受容器があります。ですから,夜,床に就いている時に,自分の顔にパンチを食らわせる
ことなく鼻の頭をかくことができるのです。
水の入ったガラスのコップを持ち上げるために手を伸ばすといった単純な動作でさえ,不思議なことです。
もしつかむ力が弱すぎるなら,コップを落としてしまうかもしれません。力が強すぎるなら,コップは割れて指に怪我をするかもしれません。どのようにしてちょうどよい圧力でそれ
を持つのでしょうか。
手にある圧覚受容器が脳にメッセージを送り,その脳が,伸ばされた腕と手の筋肉に適切な指示を送り返すのです。
すぐにコップは,見守るまでもなく,静かに唇に触れます。その間,注意はテレビ番組か友人との会話に向けられているかもしれません。ミラー博士は自著「体の不思議」の中で
こう述べています。
「コップが顔にたたきつけられることなく唇のところへ持ち上げられるという事実は,伸ばされた手の鋭敏な計量能力のすばらしさを物語る。
しかも,水がなくなるにつれて軽くなってもコップが口元にとどまっているという事実は,その情報が刻々と更新されていることを示している」。
考え深い人々が人間の手に驚嘆してきたのも不思議ではありません。有名な科学者アイザック・ニュートン卿は,「ほかに証拠が全くなかったとしても,わたしは親指だけで神の存在
を確信できる」と書きました。
ネイピア教授は,「我々は人間を月面に着陸させたが,その機械的また電子的妙技すべてをもってしても,手招きできる,感覚をも備えた人工的な人さし指を作ることはできない」と述べています。
新ブリタニカ百科事典(英文)によれば,人の手は,恐らく「最も優雅で器用な生物器官」であり,「人間を現存する他のすべての霊長類と区別する」ものなのです。