gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/business/toyokeizai-387737
一部引用
「仕事で成長したい!」と思ったときに、MBA取得は1つの選択肢でしょう。
しかし、東京・目黒にあるミシュラン一つ星イタリアン「ラッセ」のオーナーシェフ・村山太一氏は、「MBAよりバイトのほうが成長できる」と断言しています。
『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?』より、その理由とバイトするときの鉄則をお伝えします。
鉄則① 自分を消して歯車になれ
働いている最中は完全に歯車になるべきです。なぜなら、そうしないと自分の知識や経験をその場でひけらかしてしまうからです。考えてもみてください。
昨日今日入ったばかりのバイトが、「俺だったら、この作業はこうします」なんて言ってきたら、誰でも「何も知らないくせに大きなお世話だ」と思うでしょう。
バイト先にはその会社なりの仕組みやルールが出来上がっているので、そこに完全に組み込まれるほうがいい。
それができない人にバイトはオススメしません。自分の社会経験を生かそうと思っているなら、やめたほうがいいです。
鉄則② 完全にマニュアルに従え
飲食店や接客業では、たいていどこでもマニュアルがあります。
口角を上げる角度まで決まっていて、目尻を下げる笑いをしなきゃいけないとか、相手の目を一瞬見てニコっと笑って安心させるとか、いろいろと細かいことが書いてありますが、僕だったら誰よりも一生懸命にそれをやってみます。
マニュアルと一体化するほど没入すると、雑念がなくなりどんどん楽しくなってきます。
鉄則③ たくさん失敗しろ
バイトを徹底的に楽しむためには、全力で取り組むのと同時に、怒られるときは本当に怒られなきゃいけないと、僕は思います。
たとえ学生に怒られても、自分より経験が浅い社会人に叱られても、その場で自分が一番下っ端なら、上の人の言葉は謙虚に受け止めなきゃいけません。僕は、僕以外は全員先輩だと思いながら働いています。
こういう場面でこそ、バカであることは大事です。自分は何もわからないからと素直に教えを受ける心を持ち、人のために無心で働けることが、僕の考えるバカです。
バカになるには、これまでの経験や実績を脇に置いておくこと。自分が気持ちよく働くためにも、真剣勝負でなきゃいけません。そのためにはプライドを脱ぎ捨てて、たくさん失敗して、たくさん怒られる覚悟を持っておくことです。
人は努力して何かを達成し、成功体験を積み重ねていくと、それが自信になります。けれども、それは傲慢や思い上がりという副作用があることを忘れてはいけません。
人は、「これでいい」と思ったところから衰退は始まります。現状維持なんてもってのほか。だから学びのチャンスを最大限に生かさなくてはなりません。
それに、社会人になってそれなりに経験を積むと、怒ってくれる人はいなくなります。誰かに怒られる経験は初心に返れて、「自分は新入社員にもっと丁寧に教えよう」と気づくこともあるので貴重な体験になります。
バイトって、実はリーダーとしての修業に最適なんですよ。
「先輩」と呼ばれるようになったら、それだけで自分は立場が上のように思えますし、「課長」なんて肩書で呼ばれたら、自分は人間的にも特別なんだという勘違いが生まれそうです。
「先生」などと呼ばれたら、自分を見失わないほうが難しい。そうならないようにしていても、気が付かない間に慢心や過信は、心に巣くっています。
実はこれ、思考停止なんです。おごり高ぶらず、思考停止しないためにも、何でもいいから自分が一番下っ端になれる場をつくっておくのは大事です。
例えばゼネコンの社員は、孫請けの作業員に仕事を発注しますよね。もしその孫請け会社でバイトをしたら、そこで働く人の気持ちがわかるし、実際に現場がどう動いているのか体感として理解できるので、きっとよいリーダーになれると思います。
社会人として自分はベテランだと思っている人ほど、バイトをしておごりや固定観念を捨ててみてはいかがでしょうか。きっと新たな成長のステージに踏み出せます。