驚くべきイルカの習性 Ⅱ
イルカは話をすることができるか
この問題に対する科学者たちの答えは様々です。イルカに声帯はありませんが,様々な音を出すことができます。ジョン・リリー博士によれば,人間の話をまねることもできるそうです。
人間が将来イルカと意思の疎通を図れるようになるとして,この発見を非常に高く評価する人々がいます。しかし,この新事実に対して正しい見方を保つのは良いことです。
J・J・バーロイ,J・P・エアハルト共著の「私たちの友イルカ」の中には,イルカの模倣能力は,オウムに比してかなり見劣りがすると記されています。
では,イルカの放つ様々な音についてはどうでしょうか。その音は,イルカが,少なくとも同族の他の動物と知的な交流ができるということを示していますか。
多くの学者はそう考えています。しかし,様々な学説が入り乱れる時期には,楽観的な傾向のある報告を評価するに際して平衡を保つことが必要です。
イルカが放つと科学者の述べる15の信号については広く知られています。しかし,この信号の数が,他の生物の発する信号の数をかなり下回ることを知る人はほとんどいません。
例えば,豚の発する音の数は32で,キツネから放たれる音の数は38です。イルカの15の信号に関して,著者バーロイとエアハルトは,「その意味を正確に理解することは到底できない」と率直に認めています。なぜでしょうか。
「信号と特定な行動との関係を確証することができていない」からです。イルカの意思伝達に関するあらゆる研究にもかかわらず,二人はさらに次のように述べています。
「イルカが,二語から成る正真正銘の文を作れるという証拠はない」。
最近行なわれた英国放送協会のワールド・サービスのインタビューの中で,大英博物館の海生ほ乳動物の管理者は,イルカが知的な交流を行なえるという説に対する強力な反論を展開しました。
営利的なマグロ漁が行なわれた間に,イルカが大量に捕獲された事件(水揚げされたマグロ十匹につき一匹のイルカが殺されたと推定されている)をふまえ,その管理者は次のように述べました。
「『船のスクリューに似た音には近付くな……そこから十分離れていろ』ということをイルカ同士で連絡できたとすれば,それほど大量のイルカが捕獲されるはずはない」。
イルカの将来についてはどうでしょうか。19世紀以上前に弟子ヤコブは次のように記しました。「人間は,あらゆる種類の……海の生き物をならして従わせますし,実際従わせてきました」。
「人間は,あらゆる種類の野獣,および鳥,はうもの,また海の生き物をならして従わせますし,実際従わせてきました」。
(ヤコブ 3:7)
これはイルカにも適用されるに違いありません。誘導弾のノーズコーンのような貴重な物を海底から回収するためにイルカが用いられたということを何かで読んだことがあるかもしれません。
イルカに海岸のパトロールをさせたり,サメに襲われないように泳いでいる人を守らせようとする案もあります。それが実現するかどうかはまだ分かりません。
しかし,聖書は,動物の命が至るところで尊重される時がくることを指摘していますから,わたしたち人間は,驚くべき習性のイルカをも含め,周囲のすばらしい動物について一層よく知ることができるに相違ありません。