ノアの箱舟
「第二の月」
出エジプトの際,神(エホバ,ヤハウェ)はイスラエル人に宗教上の暦を与え,以後この月は,「ブル」として知られる第8の月となった。10月の後半から11月の前半に当たる。
「それはノアの六百歳の二月十七日であって,その日に大いなる淵の源は,ことごとく破れ,天の窓が開けて,雨は四十日四十夜,地に降り注いだ。その同じ日に,ノアと,ノアの子セム,ハム,ヤペテと,ノアの妻と,その子らの三人の妻とは共に箱舟にはいった」。
聖書(創世記 7:11~13)
「ノアの生涯の六百年目,第二の月,その月の十七日,その日に広大な水の深みのすべての泉が破られ,天の水門が開かれた。そして,地に注ぐ豪雨は四十日四十夜続いた。まさにその日,ノア,そしてノアの息子たちセム,ハム,ヤペテ,またノアの妻と息子たちの三人の妻が彼と共に箱船に入った」。
聖書(創世記 7:11~13)
「洪水前のそれらの日,ノアが箱船に入る日まで,人々は食べたり飲んだり,めとったり嫁いだりしていました。そして,洪水が来て彼らすべてを流し去るまで注意しませんでしたが,人の子(イエス・キリスト)の臨在の時もそのようになるのです」。
(マタイ書 24:37~39)
「ノアの日に起きたとおり,人の子の日にもまたそうなるでしょう。人々は食べたり,飲んだり,めとったり,嫁いだりしていて,ついにノアが箱船の中に入る日となり,洪水が来て彼らをみな滅ぼしました。また同じように,ちょうどロトの日に起きたとおりです。人々は食べたり,飲んだり,買ったり,売ったり,植えたり,建てたりしていました。しかし,ロトがソドムから出た日に天から火と硫黄が降って,彼らをみな滅ぼしたのです。人の子(イエス・キリスト)が表わし示されようとしている日も同様でしょう」。
(ルカ書 17:26~30)
確かに,食べたり,飲んだり,結婚したり,買ったり,売ったりするのは悪いことではありません。
それらの事柄に夢中になり,今がいかに緊急な時代であるかに注意を払わないことが危険なのです。
ノアの日の大洪水
人々の言うこと: 「ノアとその家族以外の人々すべてを滅ぼすような洪水を引き起こすなんて,神は残酷だ」。
聖書の教え: 神はこう言われました。
「わたしは,邪悪な者の死ではなく,邪悪な者がその道から立ち返って,実際に生きつづけることを喜ぶ」。
(エゼキエル 33:11)
ですから,神はノアの日の邪悪な人々の滅びを少しも喜ばれませんでした。では,なぜ滅ぼしたのでしょうか。
「また,神は昔の人々を容赦しないで,不信心な者たちの世界に洪水を引き起こし,義を説いていたノアたち八人を保護なさったのです。また,神はソドムとゴモラの町を灰にし,滅ぼし尽くして罰し,それから後の不信心な者たちへの見せしめとなさいました」。
(ペテロ第二 2:5,6)
神はどんな型を示されたのでしょうか。
第一に,苦難を引き起こしている残酷な人々に必ず目を留めてその行ないの言い開きを求める,という型を確立されました。
人々を滅ぼすのがご自分にとって苦痛であるとしても,必ず言い開きをお求めになるのです。ですから,いずれは不公正と苦難すべてを終わらせてくださいます。
第二に,裁きを執行する前には愛の動機から人々に警告を与える,という型をご自分の行動パターンによって確立されました。
義の伝道者ノアを通して人々に警告をお与えになりましたが,ほとんどの人々はノアの言うことを無視しました。
「洪水が来て彼らすべてを流し去るまで注意しませんでした」と聖書は述べています。
(マタイ 24:39)
神はその型を,確かに守ってこられました。
例えば,ご自分の民イスラエルに対して,もし周りの諸国民と同じように悪を行なうなら,敵たちがその地を侵略し,首都エルサレムを滅ぼし,民を流刑にすることになる,と警告なさいました。
イスラエルは実際に悪を行ない,子どもを生贄にすることまでしました。
神は行動を起こされたでしょうか。
確かに,起こされました。とはいえそれは,何度も何度も預言者たちを遣わして,手後れにならないうちに歩みを改めるよう民に警告した後のことでした。
「まことに,主なる神はその定められたことを,僕なる預言者に示さずには,何事もなされない」。
(アモス 3:7)
あなたにも関係がある: 神のかつての裁きに見られるそのような型を知れば,希望を抱くことができます。
そして,苦難を引き起こしている残酷な者たちに対する神の裁きを,確信を抱いて待ち望めます。
聖書には,「悪を行なう者たちは断ち滅ぼされる……。しかし柔和な者たちは地を所有し,豊かな平和にまさに無上の喜びを見いだすであろう」と述べられています。
(詩編 37:9‐11)
あなたは,人類を苦難から解放する裁きのことを,残酷なものだと思いますか。それとも,憐れみ深いものだと思いますか。