女性の直面する厳しい現実 Ⅴ
種々の権利を保護されていた
神は,聖書の中でご自身を「父なし子の父,やもめの裁き主」と描写しておられます。つまり,父親または夫の庇護を受けられなくなった人たちの権利を守られたのです。
「孤児の父,やもめを保護する方,それは聖なる住まいにいる神」。
(詩編 68:5)
「あなたがたの神である主は,神の神,主の主,大いにして力ある恐るべき神にましまし,人をかたより見ず,また,まいない(賄賂)を取らず,みなし子とやもめのために正しいさばきを行い、また寄留の他国人を愛して,食物と着物を与えられるからである」。
(申命記 10:17,18)
ですから,ある預言者のやもめが債権者から不当な扱いを受けていた時など神(エホバ,ヤハウェ)は奇跡をもって介入し,そのやもめが生き延びて尊厳を保てるようにされました。
『預言者の子たちの妻の1人がエリシャに訴えるように言った。「私の夫が死にました。よくご存じのように,夫は神(エホバ,ヤハウェ)をずっと畏れていました。でも,債権者が来て,私の2人の子供を連れ去って奴隷にしようとしています」。 エリシャは彼女に言った。「そうでしたか。何かしましょう。あなたの家には何があるか,教えてください」。彼女は答えた。「私の家には,油のつぼ以外,何もありません」。エリシャは言った。「外に行って,近所の人たちみんなからつぼを借りてきてください。空のつぼを,できるだけ多くです。それから家に入り,戸を閉じてあなたと息子たちだけになり,全てのつぼに油を注いでください。いっぱいになったものは脇に置いてください」。それで彼女は去っていった。彼女が戸を閉じて自分と息子たちだけになると,息子たちはつぼを手渡し,彼女は油を注いでいった。つぼがどれもいっぱいになると,彼女は息子の1人に,「つぼを持ってきて」と言った。しかし息子は,「つぼはもうないよ」と言った。すると油は止まった。彼女が真の神に遣わされた人の所に行って報告すると,こう告げられた。「その油を売りに行き,負債を返済しなさい。その残りであなたと息子たちは生活していけます」』。
(列王第二 4:1~7)
イスラエル人が約束の地に入る前,家族の頭であったツェロフハドは,息子を一人も残さずに死にました。それで,5人の娘たちはモーセに,『わたしたちにも約束の地での「所有地」をお与えください』と訴えました。それに対して神(エホバ,ヤハウェ)は,この女性たちにも公平な扱いをするようモーセに命じ,『その者たちに,父の兄弟たちの中にあって相続分としての所有地を得させなさい。その父の相続分を彼女たちに渡すように』とお告げになりました。
以来,イスラエルの女性たちは,父親から相続分を受けて自分の子孫に継がせることができるようになりました。
『ヨセフの子マナセの氏族であるツェロフハドの娘たちが進み出た。ツェロフハドはマナセの子,マキルの子,ギレアドの子ヘフェルの子であった。娘たちの名はマフラ,ノア,ホグラ, ミルカ,ティルツァといった。彼女らは会見の幕屋の入り口で,モーセ,祭司エルアザル,指導者たちおよび全会衆の前に立って言った,「わたしたちの父は荒れ野で死にましたが,主(神)に逆らって結束したコラの仲間たちではありませんでした。自分の罪によって死にましたが,父には息子がありませんでした。父に息子がなかったからといって,なぜ,わたしたちの父の名がその氏族の中から除かれなければならないのですか。父の兄弟たちと同じように,わたしたちにも所有地を与えてください」。モーセは彼女らの訴えを主の前に出した。すると主(神)はモーセに次のように告げられた,「ツェロフハドの娘たちの言い分は正しい。お前は彼女たちに,その父の兄弟たちと同じように,相続する所有地を必ず与えよ。彼女らにその父の相続地を譲与せよ。そして,イスラエルの子らに次のように言え,『人が死に,その者に息子がない時は,その相続地を娘に譲与せよ』。
(民数記 27:1~8)