「宗教は消滅する? Ⅱ」
【なぜ宗教離れが進んでいるのか】
人々は宗教組織に幻滅するようになっています。その理由としては,宗教的信念に基づく,
あるいは宗教の支持を受けた暴力やテロ,宗教指導者による性的なスキャンダルなどがあります。
そして,それほど取りざたされない理由でも,宗教離れにいっそうの拍車がかかっています。幾つか取り上げてみましょう。
● 物質的な繁栄: 「人は富めば富むほど,自分は信仰のあつい人間だ,と言わなくなる」と,
「宗教と無神論に関する国際指標」という資料は述べています。意味深い観察です。多くの国では物質的繁栄が急速に
進んできたからです。経済学教授ジョン・V・C・ナイによると,場所によっては,人々が
「200年ほど前なら世界一の王でさえひどくねたんだであろう生活水準」を享受しているところもあります。
● 聖書は何と述べているか: 聖書は,【終わりの日】には,金銭や快楽に対する愛が神や隣人に対する愛に取って
代わるということを予告していました。
【しかし、終わりの時には困難な時期が来ることを悟りなさい。
そのとき,人々は自分自身を愛し,金銭を愛し,ほらを吹き,高慢になり,神をあざけり,両親に従わず,恩を知らず,神を畏れなくなります。
また,情けを知らず,和解せず,中傷し,節度がなく,残忍になり,善を好まず,人を裏切り,軽率になり,思い上がり,神よりも快楽を愛し,
信心を装いながら,その実,信心の力を否定するようになります。こういう人々を避けなさい】
(テモテ第二 3:1‐5)
富が神との絆を弱めかねないことを知っていた聖書筆者は,神(ヤハウェ,エホバ)に,
【不信実と偽りとを私から遠ざけてください。貧しさも富も私に与えず、ただ、私に定められた分の食物で私を養ってください】
と願いました。 どうしてそう願ったのでしょうか。
【私が食べ飽きて,あなたを否み,「主(神)とはだれだ】と言わないために。また,私が貧しくて,盗みをし,私の神の御名を汚すことのないために】と述べています。
(箴言 30:8,9)
● 宗教上の伝統と道徳: 多くの人,特に若者は,宗教など自分には関係ない,時代後れだ,と考えています。
宗教に対する信頼を失った人もいます。スコットランドのヒューマニスト協会の広報担当者ティム・マグワイアはこう言います。
「諸教会が何世紀にもわたって行なってきたことを見れば,人々が諸教会に背を向けて来たのもうなずける。
それらをもはや道徳の権威とみなしていないからだ」。
● 聖書は何と述べているか: 偽教師に関して,イエス・キリストはこう警告しました。
【あなたがたは、その実で彼らを見分ける。……善い木はすべて良い実を結び,腐った木は悪い実を結ぶ】
(マタイ 7:15‐18)
【悪い実】には,政治に干渉することや,神を不快にさせる,同性愛のような行ないを是認することが含まれます。
【れらの者たちは,神の真理を虚偽に変え,すべてを創造した方に抗(あらが)って被造物を畏敬し,そして礼拝したのである。
しかし創造した方こそ、永遠に賞讃されるべき方である。アーメン。
このことのゆえに,神は彼らを恥ずべき情欲へと引き渡された。実際,彼らのうちの女性たちは,自然な性的交わりを自然に反するものに変え,
同様に男性たちも,女性との自然な性的交わりを捨てて,互いに対する渇望を燃やしたのである。
そして男性たちは彼ら同士で見苦しいことを行ない,彼らの迷いのしかるべき報いを,己れのうちに受けたのである】
(ヨハネ 15:19。ローマ 1:25‐27)
また,聖書の健全な教えの代わりに,形だけの儀式や伝統を持ち込むことも含まれます。
【そこで,イエスは彼らに答えて言われた。「なぜ,あなたがたも,自分たちの言い伝えのために神の戒めを犯すのですか】
【彼らが,わたしを拝んでも,むだなことである。人間の教えを,教えとして教えるだけだから】
(マタイ 15:3,9)
【わたしの小さな羊たちを養いなさい】とイエスは述べました。
(ヨハネ 21:17)
しかし今日,多くの人は神からの導きを得る面で飢えを感じています。
● 宗教とお金: ピュー・リサーチ・センターによると,多くの人は,宗教がお金に重きを置き過ぎている,と感じています。
それに加えて,一部の宗教の幹部たちは,一般の信者とは違い,贅沢な生活を送っています。
例えば,ドイツのある都市では,多くの教会員が苦労して生計を立てているのに,司教はひどく贅沢な暮らしをしている,
との非難の声が上がっており,そうした生活の仕方に地元の多くのカトリック教徒が腹を立てています。
また,ジェオ誌(フランス語)によると,「1億人の人が毎日1ユーロ未満で暮らしている」ナイジェリアでは,
「一部の牧師たちのきらびやかな生活が問題になりつつあり」ます。
● 聖書は何と述べているか: 聖書筆者パウロは,
【わたしたちは、多くの人々のように神の言葉を売り物にせず、誠実に、また神に属する者・・・】と書いています。
(コリント第二 2:17)
パウロは,初期のクリスチャンの会衆で著名な奉仕者であったにもかかわらず,しばしば肉体労働に携わり,他の人に経済的な負担を負わせないようにしました。
使徒 20:34)
【あなたがたは、ただで受けたのだから、ただで与えなさい】というイエスの命令に従っていたのです。
(マタイ 10:7,8)
そうした教えと調和して,真の宗教はは聖書に基づく出版物や教育活動の費用を取りません。
集会で,十分の一税や寄付を集めたりもしません。必要な資金は,個人による自発的な寄付によって賄われます。
【 だから、あなたは施しをするときには、偽善者たちが人からほめられようと会堂や街角でするように、自分の前でラッパを吹き鳴らしてはならない。
はっきりあなたがたに言っておく。彼らは既に報いを受けている。施しをするときは、右の手のすることを左の手に知らせてはならない】
(マタイ 6:2,3)
【聖なる者たちのための募金については、わたしがガラテヤの諸教会に指示したように、あなたがたも実行しなさい。
わたしがそちらに着いてから初めて募金が行われることのないように、週の初めの日にはいつも、各自収入に応じて、幾らかずつでも手もとに取って置きなさい】
(コリント第一16:1,2)