毎年楽しみにしている伝統工芸の展示会である「京の名工展」。
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例年は11月の下旬の秋頃に開かれるが、
今年はどういうわけでか年が明けた1月末に開かれた。
毎回、京都文化博物館の5階であり、なんと無料である。
こんなすごく贅沢な展覧会が無料なのは勿体ないくらいだ。
府が協力しているから(京都府の西脇知事が挨拶を寄せている)
料金がいらないのだとは思うが、なんとも太っ腹だ。
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わずか5日間の展示であり
展示はもう終わってしまったが─
京都文化博物館
https://www.bunpaku.or.jp/
https://www.bunpaku.or.jp/gallery_hall/20250129-0202/
京の名工展
会期2025.1.29(水) 〜 2.2(日)
会場: 5階
京都府 令和6年度京の名工展
https://www.pref.kyoto.jp/senshoku/news/r6meikouten.html
令和6年度京の名工展~京の伝統工芸品、匠の技にふれる5日間~
―京都府伝統産業優秀技術者作品展―
―京の若手職人「京もの認定工芸士」作品展―
京都の伝統工芸士の腕によりをかけた作品たちが惜しげもなく、
ずらりと並んでいる。
「京の名工」というのは称号で、
正確には京都府伝統産業優秀技術者と称し、
テストを受けて受かったものが京都府知事より「名工」の称号と盾を送られる。
「京の名工展」はこの展示会のために名工たちが一点ものを作り
(販売もしていた)、
京に根付く伝統工芸士たちの作品が一堂に会する展覧会だ。
京都の伝統工芸士たちの腕の見せ所、という感じだ。
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作品は多岐にわたり、展示品を見ているだけで毎回驚きがある。
現代でもこんなものを作っているのか、
どうやって手作りするのか、
展示品を見ていると、そんな風に毎回新鮮である。
それが楽しみで毎回、名工展へ行くのだ。
京都ではこんなに伝統工芸が現代にも息づいている。
その技術や実力には驚かされるばかりだ。
もっと全国の人にも知ってほしいと思う。
会場は注意書きしてあるもの以外は撮影可能だった。
作家によって技術の流出を嫌う人がいるのだろう。
どれもこれも写真に撮りたいものばかりで、
片っ端から写して行ったがそれでもあまりにも多すぎて全部は撮影出来なかった。
まず展示室に入ると正倉院の御物を写した鏡があった。
現在でもこのような古代鏡が作られていることに驚嘆した。
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次に京都らしい仏像の十一面観音像があった。
立派な観音立像に拝みたくなった。
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そして仏像の背面にある、「仏像用後背」というのもあった。
錺金具師という職人が仏像の後背のみを作っているらしい。
あまりにも細かい細工が見事なので思わず撮影した。
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陶器を集めたテーブルにも面白い作品が沢山あった。
後ろにも作品が映り込んでいるが…
紅葉や桜を模様に描き込んだティーカップセットはとても美しくて、
欲しいと思ってしまった。(高そうだけど💦)
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「南蛮船 南蛮人」という南蛮人を描いた作品はとても面白かった。
南蛮船の形をしているのだ。
陶画師という、陶器に絵付けをする職人が作成した香炉だという。
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もうひとつ、
「海の中のジムノペディ」とタイトルがつけられている色絵置物は、
サンゴを背景に泳ぐ熱帯魚がかわいかった。
陶磁器成形・陶画師という名称の職人の作品で置物らしい。
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同じテーブルには蒔絵作品や漆塗作品が並んでいた。
その中から一つ、
美しい蒔絵の茶入れ。
小さな茶入れに蒔絵技術が詰まっている。
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漆塗り師の茶箱・三点揃えは、模様がとてもモダンでしゃれていたので
思わず写す。
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京人形、雛人形作品も毎年並んでいる。
京人形・雛人形は分業制であるので、この立ち雛は京人形着付師の作品で、
着付を担当したという。
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また京人形頭師のユニークな作品は御所人形で、
人形の頭を作っている職人の作品であった。
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そして京扇子があった。
写真では分かりづらいが、普通の扇子の倍くらいの大きさがある。
30間ということだ。
京扇子も分業制で、
この作品は扇子折師と扇子地紙師の共同作品として出品されていた。
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京扇子からもうひとつ、扇子仕立て師作品として出品されていたが、
絵柄が北斎の春画を元にしていたのが(+ボッティチェリ)あぶな絵のようだった。
でも少しもいやらしくない。
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純銀製の湯沸かし(薬缶)の光沢はあまりにも美しいので、
思わず写真に撮る。
「鎚起師」という名称の工芸士だが何と読むのか最早分からない💦
が、加工のすべてが手作業だということは分かる。
まさに匠の技と言えるだろう。
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燈籠にも驚いた。「六角置燈籠」という作品。
鄙びていて新作とは思われない。
石工芸士、という伝統工芸士が現代にもいるのに驚く💦。
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「写経」というタイトルの掛け軸は刺繍で般若心経を刺したものだった。
刺繍師という工芸士がいるのだ。
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毎年楽しみにしているのが染色補正師の作品で、
今年は抜染画「しみぬき屋さん」というタイトルのものだった。
染色補正とは、汚れた生地をしみ抜きする技術で、
その技術を使ってひとつの作品に仕上げているのだ。
モデルはきっと自分自身だろう。
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一番多いのは友禅や西陣織の着物や帯の展示で、
最後の部屋にずらりと並んでいた。きりがないのであまり撮影しなかった。
けれどもどれも斬新なモチーフ、細かい作業(総絞りの着物)、
見たことのないようなものなどが沢山で見応えがあり、力作揃いだった。
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展示の最後は別室に作られた造園作品だ。
毎年心づくしの造園が展示されているが、
展示期間が終わったらどうやって解体し、持って帰るのだろう?
ちょっと疑問に思ってしまった。
多分トラックで上手に運んでいくのだろう。
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会場にはもっとたくさんの作品が展示されていて、
どれも見事な作品ばかりで毎回感嘆しきりの「京の名工展」だ。
もっと撮影したが、きりがないので─
「京の名工展」を見に行くたび、
京都にはこんなに優れた技術者・技能保持者が多くいることに、
誇らしい気持ちになる。
京都はこんなに優れた伝統工芸品を今も、現在進行形で生み出している。
しかも多彩である。
いろんな職種の名工がいる。
技術が受け継がれて、
これからも京の伝統工芸が発展してゆくことを願っている。
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