伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

「侍タイムスリッパ―」再び

2024年11月22日 | 映画
「侍タイムスリッパ―」を再び見に行って来た。
この映画は何度も見たくなる映画なのだ。

周到に張られた伏線をああそうか、と確かめたくなるし、
主役も脇役も、
ほんのちょっとの出番の俳優さんたちの演技もそれぞれ素晴らしく、
もう一度隅まで見て、確認して味わいたくなる事もある。



ロードショーが終わってからDVDなどが発売されるかと思うが、
今まさに映画館で上映している映画だし、
2度見るには映画館へ足を運ぶしかない。
でも映画館の大きなスクリーンで見て、そこにいるお客さんと同じ場面で笑い、
泣き、拍手をするのが楽しい映画でもある。

それにパンフレットを入手したかったこともある。





2度目はさすがに客は少なく、3、4割の入り。
2度目となると、見落としていた部分や忘れてしまっていたシーンを、
新たに自分の中で組み立て直したり納得させたりすることが出来る。
とくにこの映画のような伏線が大事な映画は、ああここで、
この次がここに繋がって、と、何度でも楽しみが増えるのだ。


もちろん欠点は沢山あり、
江戸末期の日本語は旧かな旧漢字、
横書きの時は右から左へ読んでいたのに、
タイムスリップして来た侍は苦もなく現代の日本語がすらすら読めたり、
侍に対して現代人が違和感を感じていなかったり。

そこら辺は細かく描写すると説明的になりすぎ長尺になり、
端折ったのだと解釈しているが。


日本では時代劇が下火になって来たと言われるが
(下火というより風前の灯火と言うべきか)、
しかしアメリカの時代劇と言うべき西部劇はもはや作られなくなり、
下火どころか絶滅した。
アメリカ映画はCGというのか(古い?)AIというのか、
ディズニー映画などは実写かと思うほどの
リアルな映像を作ったりする特殊技術が当たり前になって来て、
特撮ばかりの映画が主流になった。

人間同士の戦いというような、技と技のぶつかり合い対決する映画が
アメリカではなくなってしまったのではないだろうか。
一時期流行ったカンフー映画もその後どうなったろうか。


日本では時代劇を惜しむ人が沢山いる。
時代劇は映画以前から、
舞台や歌舞伎で親しんだ時代物が下地にあったからではないだろうか。


アメリカ西部劇には映画以前にそのような伝統がないため、
絶滅しても惜しむ人はあまりいなかったのかも。

時代劇には時代劇を撮る際に培われて来た独自の技術がいっぱい詰まっている。
それを大事に受け継いで来た人たちがいる。
おいそれと廃れさせるわけにはいかないのだ。

そうした時代劇を惜しむ人、愛する人がいて、時代劇職人がいて、
それが時代劇をこれからも繋いでいこうとする力となっているようだ。



何より時代劇には殺陣の面白さがある。
人と人の生身の斬り合い、果し合い、
ぶつかり合いが時代劇にはある。それが醍醐味でもある。

殺陣には型通りの(段取りに則った)斬り合いの様式的な美しさもあるが、
黒澤以降のリアルな殺陣の手に汗握る迫力もある。
ボクシングやプロレスのような人間同士のぶつかり合いは、
それだけで見る者にワクワクする昂揚感をもたらす。
それが「侍タイムスリッパ―」にはあった。


「侍タイムスリッパ―」は笑って泣かせるだけでなく、
特撮に頼らない、人と人との真剣な戦い、
殺陣の面白さ、美しさ、迫力があった。
たとえ段取りがあっても殺陣とはこんなにスリリングなものなのかと、
改めて感じさせる力があった。
それが「侍タイムスリッパ―」の持つ映画としての底力だと感じた。

映画の醍醐味、真剣勝負の醍醐味を是非多くの人に味わってもらいたい。
そんな風に思うのだった。




パンフレットを入手出来たが、
この映画の監督、安田淳一が自らプロダクション・ノート、解説、
スタッフの紹介など、全部自身で書いているのに仰天した(◎_◎;)

安田監督はこの映画でも、脚本、演出、撮影、編集などなど、
一人で11役をこなした人だ。
マメな性格なのかもしれない…
パンフレットの解説も細かい字でびっしり何ページにもわたって書かれている。
監督自らがプロダクションノートを書くなんて前代未聞なので驚いた。
読みごたえがあった。


公式サイト
https://www.samutai.net/



舞台挨拶の映像もYouTubeに上がっている。
役者やスタッフのチームワークの良さというか、
一致団結して映画を盛り上げようという意気込みが感じられる動画となってる。

多少のネタバレ?があるので出来たら映画を見たあとの方が良いかも?


“異例の大ヒット”で話題『侍タイムスリッパー』山口馬木也らキャスト集結!
役衣装で名シーン再現も! 
映画『侍タイムスリッパー』応援感謝!舞台挨拶
oricon
https://youtu.be/U4yD7Ct0oiA?si=y4mU77OraolUaDuC



大人気でお気に入りの心配無用之介さんのアップ((´∀`*))


12月に開催される京都ヒストリカ国際映画祭2024で
「侍タイムスリッパ―」が上映される(京都文化博物館にて)。
安田淳一監督とヒロイン、沙倉ゆうのさんのトークもあるというので、
チケットを買い、行くことにした。(^^
楽しみ





美術館・ギャラリーランキング

京都府ランキング

フィギュアスケートランキング


↓ブログ村もよろしくお願いします!

にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へにほんブログ村

にほんブログ村 美術ブログへにほんブログ村

にほんブログ村 その他スポーツブログ スケート・フィギュアスケートへにほんブログ村


「侍タイムスリッパ―」

2024年10月14日 | 映画
話題になっている映画、「侍タイムスリッパ―」という映画を見に行った。

時代劇はとくに好きというほどでもないが、
とても評判が良く、たびたびテレビでも取り上げられていた事もあり、
何より東映京都撮影所が協力しているので是非とも見たくなった。


幕末の侍が時代劇の撮影所にタイムスリップしてしまい、
時代劇の斬られ役として第二の人生をスタートさせ奮闘するというストーリー、
それ以外のことは殆ど知らずに見た。
それが良かったかもしれない。





もう、すごい映画だった。
ものすごい映画だった。
脚本、演出、俳優の熱演、迫真の殺陣の振り付け、
どれをとっても超一級で感動の出来だった。
笑う部分もあるが泣けた泣けた。
映画が終わると異例なことに、拍手が起こった。
私も思わず拍手をしていた。
(観客も入っており6、7割くらいかな?盛況だった)





とにかく脚本が素晴らしい。
良い映画は良い脚本から。

ラストの鮮やかな幕切れには唸ってしまった。
タイムスリップもの、しかも幕末の侍が現代日本へ、という、
きわ物めいた設定だが物語が進むにつれ、
ちゃんと整合性が取れて来る。
見事としか言いようがない。

脚本を書いたのは監督も務めた安田淳一という、
京都で農業も営む兼業監督だということだ。


「侍タイムスリッパー」予告編
未来映画社
https://youtu.be/k4MF2zREJ5o?si=ohUKCccBVuKHblcE


監督・脚本・撮影・編集 安田淳一
出演 山口馬木也



主人公の侍が現代でショートケーキを食べる時、
慣れた手つきになってるとか、
周囲に自分の素性を知らせることなく周囲も違和感なく
侍を受け入れている、とか
突っ込めばいろいろおかしい部分があるにはあるにせよ、
全体のストーリー展開のうまさに引き込まれた。

「侍タイムスリッパ―」は低予算の自主制作映画で、
始め1館だけの上映だったものが、
口コミやSNSなどで評判を呼び、
全国で130館以上に拡大したという。


安田監督は普段は兼業している農業で生計を立てているようだ。

低予算にも関わらず東映京都撮影所で撮影しているのは、
安田監督の脚本に感銘を受けた東映京都撮影所の面々が、
脚本が面白いからと全面協力したもので、
安田監督によると、
かなり安い予算でセットや小道具を借りられたという。
やはり脚本がものを言ったのだ。

それでも時代劇であるので衣装やセットにかなりの予算がかかるから、
監督は自費で賄い、映画が完成すると貯金が7,000円しかなかったとか。

というわけで、東映京都の全面協力の元に制作されたので、
自主制作にも関わらず本格的な時代劇そのままの風格が漂っているのだ。
自主制作で時代劇を撮るという発想がまず大胆だ。






【異例ヒット】上映1館でスタートの自主制作映画
「侍タイムスリッパー」クチコミとSNSで人気拡大“カメ止め”の再来か?
めざまし8チャンネル
https://youtu.be/GUwExN60QMg?si=ovuE5UxTLyTMxhJP


幕末の動乱の時、会津藩のお侍さんがタイムスリップしたのは、
現代の京都の時代劇撮影所。

「太秦ライムライト」のような楽屋オチ的なものかなと思っていたが、
時代劇づくりの舞台裏はあまりなく、
むしろ武士の苦悩や生きざまを描いたもののようにも思えた。



この作品中に登場する撮影所の殺陣師の役は、
始め福本清三さんに演じてもらう予定で、脚本も渡していたそうだが、
福本さんが22年に亡くなってしまった。
そのため実際の殺陣師の方(峰蘭太郎さん)が演じた。
(渋い演技で素晴らしい。代役とは思えないほどはまり役)
それでも随所に福本さんへのオマージュが見られたのがうれしい。




福本清三と言えば、日本一斬られた男、とか
5万回斬られた男、と言われた名脇役・斬られ役であった。
だから劇中劇の侍たちが斬られる場面の斬られ方も、
福本さんの斬られ方を踏襲したものになっていて、
それも時代劇ファンには見逃せない楽しみになってる。

そして映画の中盤に出て来る
「一生懸命やっていれば
誰かがどこかで見ていてくれる」
というセリフには不意を突かれて思わず涙が…。
エンドロールには英語で福本さんへ捧げた字幕も。


クライマックスはエフェクトを一切使わない真っ当な、そして伝統的な、
というか、時代劇というものの底力を感じさせるものだった。
時代劇の醍醐味を見ることが出来た。


主演の山口馬木也の熱演はもちろん、ライバル役の冨家ノリマサ始め、
脇役の俳優たちに至るまで適材適所でそれぞれ良い演技をしていて、
良い味を出していて、この映画の見どころの一つでもある。


先に上げた撮影所の殺陣師、
主人公・高坂新左衛門を助ける住職夫妻、
劇中で撮影している時代劇の主人公・無用之介役の人のオーバー気味の演技、
その斬られ役、
ほんのちょっとだけ登場する劇中劇での坂本龍馬、
劇中での映画監督(雰囲気がよく出ていた)、
ゾンビまで、etc,etc...
そして助監督のヒロイン

それぞれが個性的で、見終わったあと強く印象に残る役者ばかりだった。
役者の使い方が上手いということなんだろう。

舞台が京都撮影所なので、俳優はみな関西弁を喋るが、
それがごく自然で違和感はなく、温かみがあって、
よりほのぽのした手作り感が出ていたような気がした。


隅から隅まで楽しめる。
そして泣ける。笑えて泣ける。
それが「侍タイムスリッパ―」だ



侍タイムスリッパ―公式サイト
https://www.samutai.net/



何度も見に行くリピーターがいるそうだ。
気持が分かる。
私もまた、見に行きたい。



美術館・ギャラリーランキング

京都府ランキング

フィギュアスケートランキング


↓ブログ村もよろしくお願いします!

にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へにほんブログ村

にほんブログ村 美術ブログへにほんブログ村

にほんブログ村 その他スポーツブログ スケート・フィギュアスケートへにほんブログ村


映画 東京物語

2023年12月13日 | 映画



2023年、今年は小津安二郎の生誕120周年で、
没後60年だったそうだ。
新聞でもテレビでもたびたび特集を組まれていたのはそのせいだった。
12月12日の誕生日にはNHK BSで「東京物語」の放送があった。


小津の映画は今まで見たことがなかった。
チャンスがなかった。

が、もちろん小津の評判は知っていたし、
世界中の映画人がリスペクトをしていることも、
今でも世界中で小津の映画が公開されていることも知っていた。
一度はしっかりと心して小津映画を見たいとも思っていた。

「東京物語」は世界の映画ベストワンになったこともある。
ちょうどNHKで放送されたので、念願の小津映画を見ることが出来た。
初めて見る小津映画である。
感想を書こうと思うが、小津安二郎に関しては素人なので、
かなり的外れなものかもしれないが・・。




「東京物語」は1953年の作品で戦後まもなく制作された。
モノクロだし、退屈だろうかと思っていたが、
そんなことはなく、どんどん物語が進んで行き、
最後まで一気に見ることが出来た。
家族に関する普遍的な問題を扱っているからだろう。


小津映画といえばローアングルと家族のテーマが有名だ。
「東京物語」もその典型だ。


まず昭和の中ほどの風俗が懐かしいというか。
女性の着ている衣服までが昭和初期のもので、
今見るとエレガントだったり、
(フレンチスリーブに長めのフレアースカートが素敵)
瓦屋根が連なる尾道の風景も昭和を反映していて、
今見ると、今はもう見られない風景かもしれないと思うと、
昭和の時代は良かったと思ったり。

会話も魔法瓶だの、汽車だの昭和の言葉が出て来て、
時代を感じさせる。
女性の服装も、寝る時は寝間着(着物)だったり。
念入りに結われた髪型も時代を反映していた。
制作された時はそれらが普通の情景だったのだろうが、
今となっては昭和中期の風俗描写として貴重なものになってると思った。

ローアングルの画面作りはモンドリアンの絵画のようで、
静謐さを演出していた。


小津は原節子を気に入っていたと思う。
「東京物語」でも唯一良心のある人物を演じていた。

尾道に住む老夫婦が思い立って東京に住む息子や娘に会いに行く。
が、それぞれが独立して自分の生活がある。
小児科医の長男、美容室を経営する長女は忙しくしていて、
両親にかまう暇がない。
戦死した次男のお嫁さんである原節子が老夫婦を厭わず面倒を見る。
しかし・・・
これはどこの家庭でも起こる問題でもある。

子どもが大きくなり、自分の家庭を持ち
そうすると親より自身の家庭や仕事の方が大事になってしまう。
そうした誰もが抱える家族の問題を描いているから、
支持者というか小津ファン?も多いのだろう。


老母の葬儀の場面で、長女が大泣きしたかと思うと、
すぐに母の形見が欲しい、とか、
こう言っては何だけど、と言いつつ、
お父さんの方が先に亡くなった方が良かった、だの言う。
この長女、杉村春子の演技も良いが、
現実主義的というか、ずいぶん薄情なと感じるが、
親の葬儀ではこのような会話はいつの時代でもつきものだ。
死を嘆きつつ、現実の段取りも同時に考える。

こうした身内のいやらしさを生々しく冷徹に描いているからこそ、
この作品が今に通ずる、決して古びない映画である所以だろう。

老父(笠智衆)は次男の未亡人の嫁、原節子の優しさに触れ、
救われる設定で、そこに理想主義的な明るさも見出せる。


老夫婦が東京から尾道に帰って来た時の会話が印象的だった。
「(私たちは)幸せなほうでしたよ」

次男が戦死するという不幸はあったものの、
おおむねよい人生だった、と。
そうした小市民的な幸福、
それは誰もが持ちたいものかもしれないし、
誰もが持っているものでもある。
結局そこに行きつくのだと。

裕福ではなく、仕事をし、働き、そして老いてゆく。
子は自分の思うようには行動してくれない。
家庭に不満はあるが、それでも人生はおおむねそうしたものであると。

極めて日本的で、
日本人にしか理解できない感覚かと思われたこの作品が、
日本国内のみでなく、世界中で受け入れられるようになったのは、
ひとつの家族の問題を描いているものの、
それがしかし誰もが思い当たる、誰もが経験する、
普遍的なテーマであるからだろう。


この作品は小津が48歳の時の作品だそうである。
48歳にしてこれほど家庭の機敏、
様々な年代のキャラクターを描ききれることを脅威に思った。

家族のありよう、庶民の思いや心情、
それは昭和であれ、平成であれ令和であれ、違いはなくて、
根本には変わらないものであって、
だからこそ小津安二郎映画はこれからも世界中で見られ、
評価されてゆくだろう。




美術館・ギャラリーランキング


京都府ランキング


フィギュアスケートランキング


↓ブログ村もよろしくお願いします!

にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ
にほんブログ村

にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他スポーツブログ スケート・フィギュアスケートへ
にほんブログ村


ビートルズ・Get Back

2023年10月03日 | 映画
ディズニープラスで「ビートルズ/ゲットバック」が配信されている。
ついそれを最近知って、ちょっとずつ見ている。

全部見れば8時間くらい(!)の長さのあるドキュメンタリーである。
噂になっていて気になっていたが、
ディズニープラスで見られることをやっと知って、
それで喜んで見ることにした。
でもパート1だけで2時間以上あり、
ちょっとずつしか見られない。
8時間分、全部は見ていないので、見た分だけの感想を書いてみる。




「ザ・ビートルズGet Back」は誰もが知っている通り、
1970年に公開された映画、「ビートルズ/レット・イット・ビー」の
ロングバージョンというべきものだ。

映画、「ビートルズ/レット・イット・ビー」は
マイケル・リンゼイ・ホッグという人が監督で、
アルバム「レット・イット・ビー」制作のため
スタジオにこもって楽曲を演奏・セッションし、
録音しているビートルズのありのままを描いたドキュメンタリーだった。

解散寸前のビートルズのぎくしゃくした関係性や、
不気味なオノヨーコの存在など、
いろいろ複雑な気持ちになる映画だった。


これも衆知のとおり、
ビートルズが最後に録音したアルバムは「アビーロード」で、
レコードの発売は「レット・イット・ビー」が最後だった。
つまり「レット・イット・ビー」は「アビーロード」より前に録音された。
映画「レット・イット・ビー」では、
「アビーロード」の楽曲を練習している所も出て来るので
この説が確定した。

もともと「レット・イット・ビー」はゲットバックセッションとして計画され、
1ヶ月にわたりセッションをして作曲して、アルバムを作る。
と同時にライブ(演奏)が
テレビの特番として放送される予定だったという。


映画「レット・イット・ビー」はドキュメンタリーなので、
筋はなく、始めから終いまでセッションしているビートルズを
そのまま撮影した(そして編集した)だけのものだ。
それだけで映画になってしまう。
そのころのビートルズはすでにそれくらいの存在になっていた。
ビートルズの映画が公開されると聞くと、
世界中がその話題で持ち切りになるといったふうな…。

演奏活動を辞めてしまい、
滅多に聴衆の前に出なくなったビートルズの姿が
久しぶりに見られるというので、
ファンはワクワクして沸き立った感があった。
けれども、ビートルズの良くない噂(仲が悪い、
解散するのではないか、など)も流れて来たころでもあった。
みんなはそれを確かめに映画館へ走った、
という感じだったのではなかったかな。

でも多くの人はビートルズの「今」が見られるというだけで、
ビートルズのセッションの様子が見られるというだけで、
ありがたく映画を見ていたと思う。
ジョンがそこいるというだけで、ポールが歌っているだけで、
彼らが演奏をしているというだけで、それが見られてありがたい、
という状況だった。


ただ映画「レット・イット・ビー」は1時間半ほどに編集されたもので、
アルバム「レット・イット・ビー」には収録されなかった曲も演奏したり、
貴重なドキュメントではあったものの、
かなりはしょってあり、すべてを記録したものではなかった。

58時間分の映像があったというから、
1時間半では収まり切らないのも当然だった。


近年、そのゲットバックセッションの時に撮影されたフィルムを
蔵出ししようという試みが50年の時を経て現実化したようだ。

そこで58時間あったフィルムを8時間に編集して公開したのが、
今回の「ビートルズ Get Back」ということのようだ。
監督は「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン。

「レット・イット・ビー」では不穏な雰囲気も漂っていたが、
それだけではなく、演奏家としてのビートルズの卓越した部分も、
屋上ライブで見て取れた。


今回、新たに編集されて公開された「ビートルズ ゲットバック」は、
その彼らのセッションや練習の中から曲が生まれる過程を
丁寧に描いていて、ビートルズがいかに優れた音楽家であるか、
演奏家であるか、いかに優れた作曲能力があるかを
余すことなく描き切っている。




↓予告編

「ザ・ビートルズ:Get Back」|予告編
|Disney+ (ディズニープラス)
ディズニープラス
https://youtu.be/xYv2CHasyJM?si=6gTfk6J13UqfuuEG



↓ディズニープラス 配信期間なら何度でも
https://www.disneyplus.com/ja-jp/home



冬の寒い時期だったようで、
メンバー全員が毛皮の高価そうなコートを着ているのが、
いかにも金持ちらしい。
彼らはこの時まだ20代だったはず。
一番若いジョージは26歳くらいだったはずだ。




空気は必ずしも良くなくて、やはりピリピリした緊張感が漂っている。
ポールが主導しているが、それにメンバーが不満を持っていたり、
やる気がなさそうだったり。
ヨーコが何をするでもないのにいつもジョンのすぐ脇にいて不気味だったり。


ただ、それまで冗談や雑談をしていたのが、
いざ誰かが楽器を触り、楽器を弾き始め、歌を歌い出すと、
自然とハモりが始まり、ドラムが合わせ、
即座にセッションが始まる。
それが見事なハモリになっている。

どんなに仲が良くなくても、
いざ音楽になると急に彼らは超一流の演奏と歌とを奏で始める。
ひとりが歌い出すと、自然とギターがそこに加わり、ドラムが加わり、
ハーモニーを重ねる。それが超一流の曲になってしまってる。
まだセッションの段階で、歌詞も決まっていないのに。
さすがにプロの集団だと思う瞬間だ。

そして「ゲットバック」の曲が生まれる瞬間もカメラが捉えている。
まだ歌詞があやふやでポールが考えあぐねている中、
演奏が進んでいく中でだんだん歌詞が作られてゆく。

ビートルズの曲作りが垣間見られる瞬間に立ち会っているという、
とても貴重なドキュメントにもなっている。


-------


現在では映画「レット・イット・ビー」のクライマックスは
ルーフトップコンサートで、
ビートルズがアビーロードスタジオの屋上で演奏するのが
カメラに収められているが、
当初は海外へ行き、そこでライブを行う予定だったらしい。
それを相談する様子も長く撮影されている。

ギリシャかイタリア?の円形劇場を使ってライブをするとか、
客船を借り切って、そこまで船で行くとか、
いろんなアイデアが出る。
しかしジョージとリンゴが海外へは行きたくないと言い、
それならスタジオにセットを作り、そこに客を入れてライブをする、
というアイデアが出される。
実際にライブで使うスタジオセットのデザイン画が
ビートルズのメンバーに渡されたりする。

ルーフトップコンサートに至るまで、
いろんなアイデアが出されたことが分かる。

------------------


新しいアルバム制作に一番熱心というか、
名曲を持って来ていたのがポールだ。

このころのポールの曲は名曲ぞろいで、
「レット・イット・ビー」や「ゲットバック」、
「ロング・アンド・ワインディング・ロード」、
どの曲も完成度が高い。
自然とポールがセッションの主導権を取るようになる。

ギターのコード進行を指図されたり、
ポールがリーダーシップを取るのに嫌気がさしたのか、
とうとうジョージが辞めると言い出す。
ビートルズを脱退すると言って、
セッションスタジオから飛び出してしまう。

ここでパート1が終わる。

あまりにも生々しくて、
ビートルズの楽曲の生まれる場面を体験したという
貴重なドキュメントとなっている。

あとパート3まであるらしいが、焦らずゆっくり見て行こうと思う。
クライマックスはもちろんルーフトップコンサートだと思うので、
それが楽しみ。




↓もう一つディズニープラスから

「ザ・ビートルズ:Get Back」|先行特別映像|
Disney+ (ディズニープラス)
ディズニープラス
https://youtu.be/MlYi6F7604k?si=63-C_8E4QLAKxMj7



ゲットバック、最高だ。



美術館・ギャラリーランキング

京都府ランキング

フィギュアスケートランキング


↓ブログ村もよろしくお願いします!

にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へにほんブログ村

にほんブログ村 美術ブログへにほんブログ村

にほんブログ村 その他スポーツブログ スケート・フィギュアスケートへにほんブログ村


ジャン=リュック・ゴダール監督、死去

2022年09月14日 | 映画


わあ・・・(T_T)ああ・・・
ジャン=リュック・ゴダール監督が死去。
91歳だったというから、もうそんな年だったのなら仕方ないのか…。
自殺幇助により死去と伝えられたが、
自身の死期を悟ったというなのだろうか・・。


京都新聞
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/879427
映画監督ゴダール氏が死去
「勝手にしやがれ」最後の巨匠

フランス紙リベラシオンによると、スイスで認められている、
死を選んだ人が医師処方の薬物を自ら使用する
「自殺ほう助」により亡くなった。
関係者は「病気ではなく、疲れ切っていた」と説明した。


毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20220913/k00/00m/030/177000c
ジャンリュック・ゴダール氏死去 「勝手にしやがれ」監督 91歳

ロイター編集
https://jp.reuters.com/article/france-people-godard-idJPKBN2QE106?feedType=RSS&feedName=entertainmentNews
仏映画監督ゴダール氏死去、91歳 ヌーベルバーグの旗手

時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022091300915&g=int
巨匠ゴダール監督死去 「ヌーベルバーグ」主導、91歳

【パリ時事】
1950年代末にフランスで始まった映画運動
「ヌーベルバーグ(新しい波)」を主導した
映画界の巨匠ジャンリュック・ゴダール監督が13日、死去した。
91歳だった。仏メディアが伝えた。死因などは不明。

 30年、パリで生まれた。
パリ大学中退後、映画誌の創刊に参加し、
批評家として活動。

ヌーベルバーグの記念碑的作品となった
59年の「勝手にしやがれ」で長編映画デビューし、
「気狂いピエロ」(65年)や「中国女」(67年)
などの代表作を相次いで発表して高い評価を得た。
「カルメンという名の女」(83年)は
ベネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を獲得した。

 即興的な演出や関連性が薄いシーンをつなぎ合わせる大胆な編集で、
伝統にとらわれない自由さを映画界にもたらした。
商業主義に批判的な立場を取り、
反体制運動「5月革命」が起きた68年には、
故フランソワ・トリュフォー監督ら数人の映画監督と共に
カンヌ国際映画祭の会場に乗り込み、
上映を妨害するなど物議を醸した。

 2014年には自身初の3D映画
「さらば、愛の言葉よ」を制作し、
カンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞。
晩年まで意欲的に映画の可能性を追求し続け、
18年の「イメージの本」が遺作となった。

 私生活では、
61年に女優の故アンナ・カリーナさんと結婚したが、4年後に離婚。
再婚した女優の故アンヌ・ビアゼムスキーさんとの生活も長く続かなかった。



ゴダール監督はヌーベルバーグ映画でデビューしたが、
世界的な学生運動の勃興にしたがって、
政治に傾倒してゆき、毛沢東思想にかぶれていった。

映画も、訳の分からないプロパガンダ映画を製作するようになった。

あの頃、ゴダールは学生運動家の神だった。
大学の学生会館でゴダールの「中国女」や「東風」を見たように思う。
全然、意味が分からなかったし、覚えてもいないが、
ゴダールが学生に崇拝されていたことは分かった。

なつかしい・・・。


しかしその政治の時代も
ゴダール史の中の一つのエピソードにすぎなかった。

あの時代以降も映画の可能性を追求した映画監督として
その映画人生を全うしたのだ・・・



ジャン・ポール・ベルモンドが亡くなった時、
「勝手にしやがれ」が追悼放送され、録画した。

ああ…、また「気狂いピエロ」が見たくなった。

「勝手にしやがれ」も「気狂いピエロ」も、
かつてはテレビで放映されていたことがあるのだ。
そのころは衛星放送も有料放送もないので、
もちろん地上波で放送されていた。

思えばよい時代だった・・。

「気狂いピエロ」は映画館の特別上映で見たと思う。
ミュージカルまがいの斬新な手法で、
アンナ・カリーナが突然歌い出し、驚いたことがある。


ゴダール映画のアンナ・カリーナには憧れたことがあった。
アンヌ・ヴィアゼムスキーはアンニュイな雰囲気のある美少女で…
やっぱり憧れていた。

ゴダールは女の趣味も良かった。
今は二人とも鬼籍に入っている・・・。




かつて見ていた映画人たちがどんどん死んでゆく。
時代がどんどん進んでゆくのだもの。
仕方ないよね・・。

世代交代、というか、
年を取れば、次の世代に変ってゆくのが常だから。
それにしても私たちの青春がどんどん・・・
遠のいてゆく・・・
仕方ないよね・・。


-----------



スポニチから知らせがあったので、
またスポプリをやってみた。


スポニチ面担さん
https://twitter.com/Sponichi_Editor/status/1569531114313891841



機械音痴の私みたいな者でもトライしたら出来た。
大きい方がいいのでA3にしてみた。
A4は光沢紙できれいだけど小さい。
A3でも新聞のぺらぺな紙質よりはきれいなので、
これで満足。
とってもカッコいい




今日、届いたキスクラはまた次に─




美術館・ギャラリーランキング

京都府ランキング

フィギュアスケートランキング


↓ブログ村もよろしくお願いします!

にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へにほんブログ村

にほんブログ村 その他スポーツブログ スケート・フィギュアスケートへにほんブログ村