言葉
2009年05月27日 | 詩
「ある」
は
「ない」
で
「すき」
は
「きらい」
「ほんとう」
は
「うそ」
言葉は
もう私が識ったときの
言葉ではなくなった
だから
もう
話さない
私だけが識ってゐる
秘密の場所に
戻す
小さな芽生えたばかりの
葉のやふに
口を「きゅっ」
と
閉じて
深い
海の底へ
ゆっくりと
沈める
そうすれば
いつか言葉は
醇醇と醗酵して
まろやかな
優しい
言葉に
還る
私が愛した
父が
愛した
琥珀の色の
ウイスキーの
ように
その日まで
口を噤んで
私は
暗く
生温かい
女の胎内のような
地下の部屋で
黙って
眠る
は
「ない」
で
「すき」
は
「きらい」
「ほんとう」
は
「うそ」
言葉は
もう私が識ったときの
言葉ではなくなった
だから
もう
話さない
私だけが識ってゐる
秘密の場所に
戻す
小さな芽生えたばかりの
葉のやふに
口を「きゅっ」
と
閉じて
深い
海の底へ
ゆっくりと
沈める
そうすれば
いつか言葉は
醇醇と醗酵して
まろやかな
優しい
言葉に
還る
私が愛した
父が
愛した
琥珀の色の
ウイスキーの
ように
その日まで
口を噤んで
私は
暗く
生温かい
女の胎内のような
地下の部屋で
黙って
眠る