二つに見えて、世界はひとつ

イメージ画像を織りまぜた哲学や宗教の要約をやっています。

9 天使のひとり言

2022-07-31 21:39:00 | 光の記憶
 その後、わたしは数日にわたって記録していた体験日記、といってもあまりたいしたものではないのですが、それを封印しました。そして「今後3年間はこのことを一切考えまい」と決めました。この件に関しては「何もしないこと」が最善であると判断したからです。

 そうして何事もなかったようにごく平凡な日々を過ごしていたある夜、あの日から1年半くらいたっていたでしょうか、ボンヤリと考えごとをしていたら、なぜか胸が熱くさわぎ出し、私の心の内から女性の声が聞こえてきました。前のことがあるのですぐさまノートと筆記具をさがし、準備しました。

 その女性はハッキリした口調で語りはじめました。以下の詩はその人の言葉を書き留めたものです。題名は私がつけました。

  私はあなた

「生命とはなにか?」と、
疑わないでください。

疑われるとわたしは哀しくなるのです。

「人は何のために生きるのか?
わたしはあなたの目の前に居るのになぜ気が付かないのですか。

考えるのでなく見ることが知ることなのです。

わたしたちの幸福とは互いに見つめあうことなのです。

わたしたちが見つめあうその時、あなたは知るでしょう。

わたしはあなた自身だということを。あなたを包むあたたかさ、それがわたしであることを。


画 パウル•クレー「忘れっぽい天使」