R2年3月定例会が5日に開会し、昨日の17日に閉会しました。いつものように初日に町長から行われた行政報告をお知らせします。
なお、先月の臨時会及び今定例会については、まとまり次第お知らせします。
本日ここに、令和2年浪江町議会3月定例会を招集しましたところ、議員各位におかれましては、ご多用の折にもかかわらず、ご参集を賜り誠にありがとうございます。
行政報告に先立ち、あらためて東日本大震災によりお亡くなりになられた方々、過酷な避難生活の中で命を落とされた方々の、ご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族に対し深く哀悼の意を表します。
さて、東日本大震災発生からまもなく9年、一部地域を除く避難指示解除から3年が経過しようとしております。
1月末現在の町内の居住人口は、787世帯、1,227人となっており、避難指示解除以降、徐々にではありますが、町内で暮らしを再開する町民が増え続けています。
先般公表されました住民意向調査においては、「すでに浪江町に戻っている」と答えた方と「戻りたいと考えている」と答えた方の割合が、
17.9パーセントと前年の調査に比べ、1.2パーセント増加する結果となりました。また、「判断がつかない」と答えた方が26.1パーセントとなっており、その要因として、「医療・介護の復旧時期のめど」や「商業やサービス業などの施設の復旧時期のめど」など生活環境に関するニーズが挙げられております。
令和2年度当初予算につきましては、そうした町民の皆様の想いに応えるべく、また、より多くの町民の皆様が帰ろうと思える生活環境の整備に向けた編成を行いましたので、その一端を述べさせていただきます。
来たる令和2年度は、東日本大震災及び原発事故から10年目の節目を迎え、浪江町復興計画【第二次】の「本格復興期」の最終年度であり、また、政府が定める「復興創生期間」の最終年度となり、これまで進めてきた「町のこし」の取組みの一つの節目を迎えることとなります。
一般会計当初予算は、総額340億9,300万円で前年度と比較し13.8パーセントの減と規模は縮小したものの、生活環境の充実、医療介護環境の改善及び雇用の場の確保等とともに、帰還や移住定住促進に関しても新たな種を蒔く予算編成といたしました。
歳入におきましては、持続可能な町づくりを進めるうえで重要な自主財源の確保を図るため、町税、使用料・手数料等の確保に努めました。
一方、普通交付税や臨時財政対策債等の大幅な増額が見込めず、一般財源総額では前年度より減少するなど、依然として厳しい財政状況となっています。
こうした状況ではありますが、福島再生加速化交付金及び原子力災害避難区域等帰還再生加速事業委託金等の復興財源を最大限活用しつつ、過疎債等の有利な町債の発行や、財政調整基金及び復旧・復興基金等の取り崩しにより、復興関連事業の財源確保を図りました。
歳出におきましては、浪江町復興計画【第三次】の策定費用を計上するとともに、交流・情報発信拠点の運営に必要な経費を計上したほか、請戸住宅団地整備事業をはじめ、健康関連施設整備事業、震災遺構整備事業、棚塩産業団地への木材製品生産拠点整備事業、乾燥調製貯蔵施設整備事業など、生活環境の整備を中心とした大規模なプロジェクトを予算化しております。また、帰還困難区域においては、室原地区への防災拠点施設整備事業や、陶芸の杜おおぼり復旧整備事業など、除染等の進捗に合わせて整備を進めてまいります。
このほかに、町内への引越し費用や住宅清掃・リフォーム費用への補助、新規就農者への補助、町内での子育て世帯等への育児支援などの各種支援により、町内への帰還及び移住定住を推進してまいります。
こうした様々な施策の推進に向けて、4月より一部事務組織を見直し、企画財政課内に「定住推進係」、農林水産課内に「農業土木係」、教育委員会事務局内に「郷土文化係」をそれぞれ新設し、推進体制を強化することといたしました。
当町の復興は、これまで蒔いてきた復興の種が芽を出し、着実に成長を続けています。
3月7日には、我が町の復興の象徴の一つである「福島水素エネルギー研究フィールド」がいよいよ開所いたします。
当施設の開所に先立ち、本日、「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ」、いわゆるゼロカーボンシティを目指すことを、ここに宣言させていただきたいと存じます。
この宣言は、復興計画【第二次】に掲げる「エネルギーの地産地消」のまちづくりに加え、二酸化炭素排出の削減も進めていくことで「持続可能なまちづくり」を環境面から実現していくための宣言となります。
これまで推進してきました、メガソーラー発電や風力発電、バイオマス発電などの再生可能エネルギーの導入推進、スマートコミュニティ事業における電気自動車の導入、個人住宅への太陽光発電設備導入支援などに加え、今回開所となる福島水素エネルギー研究フィールドにおいて製造された、再エネ由来の水素を今後のまちづくりに活かしていくことで「エネルギー地産地消のまちづくり」、「水素社会実現の先駆けのまちづくり」、「二酸化炭素排出実質ゼロのまちづくり」を進め、「持続可能なまちづくり」の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。
本宣言により、今後、環境省や福島県、また県内で同宣言を表明している郡山市、大熊町との連携を深めながら、2050年までのロードマップ等を策定し、二酸化炭素排出実質ゼロを目指してまいりますので、議会及び町民の皆様には、引き続き特段のご理解とご協力をお願いいたします。
今日はここまで。