今晩は19時上がりの日。まぁ19時に退社できるといっても、何やかんやで10分や15分遅れることの方が多いのだが、今晩は珍しく19時きっちりに上がることができた。なので、久しぶりに人生最初に働いたガソリンスタンドを訪れることにした。実は、５月のＧ．Ｗ．明けに車を点検に出したのだが、空気圧をかなり高めに入れられたのだ。せっかく距離を重ねるに連れて、しなやかな走りとなっていたのに、走り出してすぐに分かる突き上げ感・・・高速を走るとただ硬いだけの乗り味になって、乗り心地の悪い車になっていた。まぁ空気圧を計るのは、どこのガススタでもやってくれるが、余計な勧誘(？)が始まるのが嫌で、出来るかぎり空気圧はここのガススタで自分で入れることにしていた。
19時上がりで夕食も取らずにここへ来たのは、営業時間が20時まで、しかもボクの唯一の休みである日曜日がここの定休日に当たるから、夕食を惜しんでも来る必要があった。ここへ来れば、馴染みの店員もいるし、何せここへ来るのも今年に入って２度目。たまにはこういう日もあっていいだろう。と、勝手知った店なので、カードを店員に渡した後、いつものようにエアゲージを取りに行くと、壁に貼り紙があって、なんと「長い間お世話になりました」の文字・・・しかも「明日で閉店」とある。半ば信じられない心境だったが、馴染みの店員に聞くと「明日の17時で終わり」と言う。これはショックだった。
以前はこの前の交差点が市内どころか、奈良県南部で一番ややこしい交差点でにぎわっていたが、数年前に大和高田バイパスの高架が通るようになり、単なる側道になってしまった。ボクの働いていた時は、この時間帯なら３人で客をさばいていていても、給油する車が途切れず、すべての給油機の前に車が並ぶということも時々あったのに、今や２人でも手持ち無沙汰の状況だったから、閉店は無理のない話。それでもボクが最初に働いた所として、閉店は残念でならない。
閉店の時間までわずかの間だったが、フォアコートの中を歩かさせてもらった。
ここで初めてバイトとして働き出したのは、18歳の夏、今から12年前になる。当時は24時間営業の店で、昼夜関係なく賑わっていた。それがちょうどボクの入り始めたころから、いわゆる自由化の波がやってきて、ガソリンの価格は急降下。一気に儲けの少ない不況業種になってしまった。ちょうどセルフ式のガススタが出来始めた頃である。それでも、ここのガススタは持ちこたえ、ボクも大学卒業まで４年間、ここで働くことができた。その間には、色々な出会い、別れ、笑い、怒りがあった。２４時間営業の店とあって、色々な人の応対ができたし、金を稼ぐことが大変なことであることも知った。閉店の知らせがあまりにも急だったので、気持ちの整理ができないが、↑の画像が人生初めての職場。大学生の時は下手するとほとんどここで過ごしていた時もあったので、これが普通の景色だったが、もう見ることはないだろう。
フォアコートにも色々思い出が詰まっているが、↑のピットにも色々思い出が詰まっている。当時の水準としてもこのピットはかなり狭い部類でセルシオくらいの車が入庫すれば身動きできない状態だったが、ここで、ボクは当時灯油運搬車として働いていた「サニートラック」(通称サニトラ)を教材にオイル交換やらバッテリー交換、タイヤ交換など、日常の車の整備を社員の人から教わった。今では、バイクのオイル交換ですらショップに頼んでいるが、当時はほとんどすべての作業をここでやっていた。もちろん他のバイト仲間も一緒で、よく夜に集まってはマフラーの交換とか、色々整備(？)をやっていたのが懐かしい。そういや当時の若者は車好きの者が多かったから、夜、みんな集まってきて、楽しんでいたものだった。
店員によると、ここは一応ガススタとしては残るが、ノンブランドのガススタになるとの事。残念ながら馴染みの店員は残らないし、ボクはノンブランドのガススタでは給油しないので、もうここには立ち寄ることがないだろう。それにしても、偶然、閉店の日の前夜に来れたのは良かった。明日は17時までの営業らしいから、水銀灯の下での営業は今日で最後だろう。できればもう少しゆっくりしたかったが、閉店の時間が迫ってきたので、後にした。
車の方は本来のしなやかな乗り心地になった。今後は空気圧を計れるところを探さなければならない。
何にでも誰にでも歴史があるものですからね。