何の自慢話にもならないが、最近まであまり本を読むという習慣がなく、周りからは「もっと本を読むように」と言われていた。そんなボクが、最近たまに読む本は、毎回購入しているバイク雑誌に寄稿されている著者が書かれている本。毎回購入している雑誌というのは「アウトライダー」という2ヶ月に1度発刊されるツーリング雑誌だが、他誌と違って小説家による紀行文など人生経験の豊富な著者による、読みごたえのある記事が多いのが特徴。今回紹介する本の著者も、この雑誌にバイクに関わる短編小説を毎号投稿されており、たまに巻頭特集のツーリング記事に登場されたりして、その関係で、もう5年ほど前に購入した本である。
「銀輪の覇者」、斎藤 純著、早川書房発行
昭和9年に山口県下関から青森県三厩までの賞金をかけた前代未聞の本州縦断自転車レースが行われたというのが、この小説のストーリー。ただ、大戦前夜に行われただけあって、影で軍が加わっており、使われた自転車は、レース用ではなく、大戦で使用する目的で製作された実用自転車(今で言うママチャリでレースみたいなものか?)。その耐久性を実証するためのレースだった。経験の積んだ企業チームの他、賞金がかかっているから、個人参加でわけあり者や素人も多数参加し、序盤から荒れたレース展開となる。その中で、この小説の主人公は、個人参加から、1日目のレース中に計4人からなるチームを作り上げ、経験の積んだ企業チームに挑戦を挑む。宝島社が選ぶ「このミステリーがすごい!2005年版」で、第5位に選ばれただけあって、その後のレース展開は、最後まで読まないと分からない。
決して時代背景からハッピーエンドにはならないが、戦前にこのような自転車レースが行われた意外性と数年前からボク自身、クローズドコースながら自転車レースに参加して、例えば7月のレースの記事にも書いたように「先頭の後ろに、ピッタリとくっついて走ると風の抵抗が少なくなり、体力の消耗が少なくなる」など、なるほどと思わせる戦略が書いてあって面白い。これ1冊読めば、自転車レースの運び方がうまくなると思う。集団で走ることの重要性がよく分かった。
ちなみに5年前に購入した時は、4分の1ほど読んで置いてあったのだが、その間自転車レースをするようになって、改めて読んでみたら、涼しくなった気候も手伝って、一気に読むことができた。
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