今回は、バイオ(生物学的製剤)を使って治療しているリウマチ患者さんが、バイオの量を減らしたりバイオ治療を止めたりできるのかを見た最近の臨床研究を紹介します。
Brahe CH et al.
Dose tapering and discontinuation of biological therapy in rheumatoid arthritis patients in routine care - 2-year outcomes and predictors.
Rheumatology (Oxford). 2019 Jan 1;58(1):110-119. doi: 10.1093/rheumatology/key244.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30169706
今は以前と違って、関節リウマチの治療は「寛解」を目指し、そして実際に寛解に達することが珍しくなくなっている状況ですが(しかしながら、そうは言ってもやはりなかなか治療が今ひとつ効かない患者さんも一定の数いらっしゃるのがまだまだ・・というところですが)、寛解に達した後に治療をどうしていくかということについては、いまだ試行錯誤というところではないかと思います。
今回は、寛解を長期に維持できている患者さんで、バイオを減らしたり止めたりして、その後の経過を2年間追跡してみたという報告です。
調査対象は143人(91%がTNF阻害薬、9%がTNF阻害薬以外のバイオを使用し、DAS28-CRP 2.8以下でレントゲン上、前年に骨病変の進行がみられなかったリウマチ患者さんです。
バイオは、まず標準治療量の2/3に減量、16週間後に1/2に減らし、さらに寛解が維持されていれば、32週間でバイオを中止。
その間に再燃や骨病変進行がみられた場合には減量を中止して1ステップ前の量に戻し、その後は減量しないというプロトコールです。
141名が2年間追跡調査された結果、2年目において、87名 (62%)がバイオ減量成功。 26名 (18%) は2/3量、39名 (28%) は1/2量、そして22名 (16%) はバイオ中止。
一方で、54 名 (38%)は減量前の当初の量を継続されていました。
レントゲンで骨病変が進んでいたのは9名 (7%)と、一部の方のみでした。
バイオ減量がうまくいくかどうかの予測因子は、その前のバイオ使用が1剤以下、男性、MRIを用いたベースの関節炎スコアが低かったことなど。
バイオ中止についてはIgM-RF(リウマチ因子)が陰性であることが予測因子として指摘されました。
ということで、
だいたい2/3の患者さんで生物学的製剤は減量でき、一部では中止も可能であったという結果でした。
もちろん、これを参考に、実際には個々の患者さんの状況に沿った治療を考えていくことになりますが、いずれにしても、リウマチを治療するに当たっては、なるべく早い段階で寛解を導入することが、後々のためにも重要・・ということですね。