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天下騒乱その1  原作者池宮彰一郎氏と司馬遼太郎さん

2018年10月30日 | ドラマ
テレビ東京の「再放送」で「天下騒乱 徳川三代の陰謀」が放映されています。古典的ないい作品です。少なくとも古い人間にとってはそうです。

原作者は池宮彰一郎さんの「天下騒乱 鍵谷の辻」のようです。

そういえばこの作品(TVの方)、後半はやたらと鍵谷の辻に時間が割かれて「面白くなくなり」ます。前半はおもしろいのですが。

さて原作者の池宮彰一郎氏。なにかと司馬遼太郎さんの作品との「かぶり」が指摘され、盗作とまで言われてしまったようです。

私は「島津奔る」しか読んだことがありませんが、司馬さんの「関ケ原」と「かぶっている」とは「ほとんど感じません」でした。

細かく調べれば、文章の酷似とかがあるのかも知れません。ただ司馬さんの作品は「ほとんど古典的名著」と言ってよいわけで、それを真似たからと言って盗作とまで言わなくてもいいように感じます。

NHKの大河だって、司馬さん原作でなくとも、「明らかに司馬作品からの流用」と思われるシーンがいくつもあります。

そもそも「小説とは以前に書かれた小説のとの対話」という性格をもっています。たいていは「批判的対話」ですが、「同意的対話」だってあるはずです。「同意的対話」も対話の一形態には違いありません。リスペクトと言ってもいいでしょう。

「そもそものそもそも」

司馬さんの作品だって全てがオリジナルではないのです。これは批判ではありません。私は司馬さんの大ファンです。

例えば「義経」。なぜ司馬さんは頼朝でも北条義時でもなく「義経」を描いたのでしょう。それは「義経記」という古典作品があるからです。

古典のもつ歴史に耐えて語り伝えられた力をご存知だったと思います。

司馬さんの「新史太閤記」は甫庵太閤記や川角太閤記の「盗作」でしょうか。違います。リスペクトです。

「国盗り物語後編信長編」は「信長公記」の「盗作」でしょうか。新選組ものは子母澤寛氏の作品の盗作でしょうか。

むろん「斎藤道三」を初めとして、司馬さんのオリジナル性が極めて高い作品もあります。龍馬だって司馬さんの「竜馬がゆく」が書かれるまでは、大人気のキャラではなかったのです。

坂本龍馬は司馬さんの力8割、武田鉄矢の力2割で有名になった気がします。

話を最初にもどしますが、小説とは他の作品との対話であり、池宮氏の作品を「盗作」と騒ぎ立てる必要はあまりないように思います。



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