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孤独と絆、感傷と熱き血の幻想小説 A L P H E L I O N(アルフェリオン) |
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第59話「北方の王者」(その1)更新! 2024/08/29
拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、 ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら! |
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小説目次 | 最新(第59)話| あらすじ | 登場人物 | 15分で分かるアルフェリオン | ||||
若干詩的な主人公の妄想

彼の心の中での独り言の場面ですね。かなり屈折した話ですが、そんなルキアンを傲慢な世間知らずだとか、かわいそうなヒトだとか、単純に笑ったりできるのでしょうか・・・。
それから、これ、一応は巨大ロボット戦闘物の小説です。時々、とてもそうは見えないシーンが続きますが(^_^;)。
◇
一瞬、ソーナの美しい横顔が、ルキアンの脳裏に思い浮かんで消えた。
燦々と日差しの降り注ぐ浜辺で、手を取り合って歩く《二人》の姿。
《独り》、取り残され、波打ち際の残響だけがルキアンの耳に淡々と響く。
レマール海の静かな湾内に、単調なリズムで寄せては返す波。
その皮肉な穏やかさにルキアンは思ったものだ。
世間的に見れば衣食住には困らず、決して不幸ではないけれど、
だからといって幸福だと心から笑ったことなど一度もない、
自分の日々のようだと。
《不幸でないこと》と《幸せであること》はまったく別物なのではないか。
何不自由ない生活の中で、息苦しさだけを感じ続けて人生を終える人もいる。
悲惨な暮らしの果てに、この世を去るときに笑っていられる人もいる。
たとえ苦しいことがあっても、自分が《不幸》だと嘆くことがあっても、
それと同時に《幸福》だと感じられる人が側にいて、
そう感じられる時があって。
それが一番大切な問題ではないのだろうか。
幸せの数と不幸せの数との間には、決まった相関なんてまったくない。
いずれか片方が多い人も居れば、両方とも多い波乱に満ちた人も居る。
幸福か不幸かなど、所詮は主観的なものだという話もある。
だけど僕には、どちらもない。
生まれてこなければよかったとは絶対に思っていない。
でも、生まれてきて良かったと思った瞬間もあまり記憶にない。
これを傲慢だとか、寂しい人だとか、世の中は笑うのだろう。
生きたくても生きられない人がいるのに、と人は言う。
そう告げられると僕の感情は揺さぶられる。
だけど、倫理的な問題はともかく、それは本当は話のすり替えだ。
頭では理解できても、一時の感情は動いても、
僕の《現実》には刺さらない。心の底までは決して照らせない。
いずれにしても、このままではいけないのだと。
ルキアンはよく思ったものだ。
ともかく動かなければ、《ここ》を出なければ。
《この日常を越え出なければ》。
◇
しかしそんな理由で、巨大ロボットのパイロットになった主人公って、どこかにいましたっけ? いや、それだけが理由ではないにしても。
以上
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