☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『共喰い』(2013)

2014年05月07日 | 邦画(1990年以降)
『共喰い』(2013)

監督:青山真治
遠馬:菅田将暉
千種:木下美咲
琴子:篠原友希子
遠馬の父:光石研
仁子:田中裕子

【作品概要】
作家・田中慎弥の第146回芥川賞に輝いた同名小説を、『東京公園』の青山真治監督が映画化した人間ドラマ。山口県下関市を舞台に、行為の際に女性を殴る性癖を持つ父親と、そんな父親の血を持つ事にいらだちを募らせる高校生とのひと夏の物語が展開する。


【感想レビュー】
これも、観よう観ようと思って、劇場を見逃した作品です。
冒頭の、下関市の彼らの住むとある地域についての語りがとても良くて、スーッと作品に入っていけました

戦後の復興から、そこだけ取り残された地域が舞台。
この語りがあるだけで、ある家族がここに住み着いたルーツに思いを馳せる事ができます。人に歴史あり。
昨年観た、『ペコロスの母に会いにゆく』も、そういった描写が良かったのだよなぁ…などと偉そうに独りごちてみる
そして‼田中裕子さんの魚の鱗を落としているところの横姿が…、もう魚屋を長年営んでいる人にしか見えない…凄い…

光石研さんも菅田将暉さんも、演技が好きな俳優さんです!嬉しく観ました

小説が原作の作品は、何かこう、やはり観る方のハードルが上がると思うのですが、私は映画を観る前に読むのは好きではありません。(原作を元々読んでいた場合は、もちろん仕方ありません。)
頭の中で、色々補ってしまいそうですし、読んだイメージと違うところを、あーだこーだ考えてしまうのも残念ですし嫌なのです。

それに!原作がいくら小説であっても、映像なら映像の素晴らしさがあると思っているのです

この作品も、映像ならではの水の見せ方の多様さに魅了されました(汗も含めて…)
それは、質感だったり、音だったり、その両方だったり

そして、女性を殴りながら行為をする性癖ですが…。作品のテーマがテーマなだけに、そういう描写も沢山あるのですが、そういう事だけでなしに、観終わった後に残るのは、女性の怖さ……。
うーん、“男性側から見る女性の怖さ”…と言った方がいいかもしれません

幼なじみの彼女、母親、同居人の父親の彼女。
出てくる女性が、それぞれ底知れないものを秘めている感じ。
それは、男性が感じる女性への畏怖のようなものかもしれません。
少し…女性が都合がいいように描かれている気がしなくもないのですが…、そこは男性側から捉えたと考えれば合点がいくというか…

その辺りはまぁよくて(私の中では)、それに加えて、映像の美しさに惚れ惚れとしました

思えば『EUREKA』も、映像が素晴らしくて、長いのにジーッと観れたのであった…

そして、作品が素晴らしいと、やはり原作も読みたくなってしまうのであった