☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『オペレーション・ワルキューレ』(2004)

2014年05月28日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『オペレーション・ワルキューレ』(2004)

監督:ヨー・バイアー
クラウス・フォン・シュタウフェンベルク:セバスチャン・コッホ
ヘニング・フォン・トレスコウ:ウルリッヒ・トゥクル

【作品概要】
(原題: Stauffenberg)は、2004年にドイツの公共放送ARDが製作したテレビ映画(テレビドラマ)。
1944年7月20日のヒトラー暗殺未遂及び反ナチスクーデター未遂事件を、ヒトラー暗殺未遂の実行犯であるクラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐の視点から描く。(Wikipediaより)


【感想レビュー】
ワルキューレをモチーフにした作品の比較第二作目。
『ワルキューレ』もまずまず良かったのですが、やはり、本作の方がしっくりきました!

ドイツ本国のテレビ映画という事ですが、当たり前だけどドイツ語だし…。
予算も『ワルキューレ』より全然少なそうだけど、質素な映像や美術などがかえって妙にリアル感をもたらしている。
冒頭の入り方は、とっても良かったです!その後すぐに、1933年だったかな…のワーグナーの演奏会のシーンが入って、まだまだドイツも、シュタウフェンベルク大佐もキラキラしていた頃のシーンがじわじわ効いてくるので、とっても良かったです。

ドイツ本国では、シュタウフェンベルク大佐は英雄なのですが、美化し過ぎていない感じも良かったです。
一人の人間として、きちんと軍人の一面も家庭人の一面も描かれているし、妻の想いも、掘り下げられていました。
『ワルキューレ』にはその部分がちょっと足りなかったように思いました。特に妻の想いが。なので、大佐が美化されているように感じたのです。

ドイツ本国で英雄といえど、ドイツの戦争責任を考えた時に、ドイツの良心をあまり本国で美化し過ぎるのはどうなのか…という問題もありそうな気がします…。
ポーランドのとある女性が、大量虐殺を見た話を訴えるシーンを一つとっても、そういった背景が垣間見えます。

キラキラした時代は、戦争と共に消え去り、同時に人々の輝きも奪っていった。
この作品での、シュタウフェンベルク大佐の最期の言葉は、『神聖なるドイツよ 万歳』。

『ワルキューレ』(2008)

2014年05月28日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『ワルキューレ』(2008)

監督:ブライアン・シンガー
クラウス・フォン・シュタウフェンベルグ大佐:トム・クルーズ
ヘニング・フォン・トレスコウ少将 :ケネス・ブラナー
オルブリヒト将軍:ビル・ナイ
フロム将軍:トム・ウィルキンソン

【作品概要】
トム・クルーズが祖国を愛するがゆえに、独裁者ヒトラーの暗殺を企てた実在の人物、シュタウフェンベルク大佐に扮した歴史ドラマ。
北アフリカ戦線でシュタウフェンベルク大佐は、連合軍の爆撃を受け、重傷を負う。
左目、右手、左手の薬指と小指を失った彼は、ベルリンに戻るとレジスタンスに加わった。


【感想レビュー】
“ワルキューレ”とタイトルに付いている三作品を見比べてみようと思いたち…まずは一作目。トム・クルーズ主演の『ワルキューレ』から。
舞台はドイツの敗戦が色濃くなったきた第二次世界大戦末期。
相当に予算がかかっていそうなシーンが盛りだくさん
空撮シーンのバリエーションの豊富さは、緊迫したシーンの合間のちょっとした息抜きになりました。
隙のない映像の綺麗さも印象的です。
ナチス・ドイツの将校達の軍服姿の撮り方に、何か少しナルシスト的な感じもしつつ…。
たまらない緊迫感を呑み込むかのような喫煙シーンの多さに、クーデターを起こす彼らの緊張感が伝わってきます。
映画全体としては、この暗殺計画を丁寧に描いた印象です。

けれども、アメリカ人のトム・クルーズがドイツ人を演じる事、さらに英語でドイツ人を演じる事に、なんだかなぁ…な感も否めなかった…。
トム・クルーズが演じているからなのかは分からないけれども、シュタウフェンベルク大佐もちょっとナルシスト気味に描かれているかなぁ…と思いました。

クーデターは狭義的には失敗。失敗してしまうと、うまく事が運ばなかった様々な要素を虚しく感じ、こんなあっけない計画だったのかと稚拙にさえ思えてきてしまうから哀しい…。でも、広義的には、軍内部のレジスタンスに大きな意味があったし、事実、彼はドイツの英雄になったのである。

この作品でのシュタウフェンベルク大佐の最期の言葉は、『ドイツよ 永遠なれ!』。