<PL総括>
文責:PL(Y)
本山行は北海道らしい秋晴れで快適に活動することができた。懸念事項の一つであるヒグマについても熊鈴と話し声などで逃げたのか、遭遇は全くなかった。水についてはやはり涸れており少人数だったので何とかなったが、部の活動としては8月上旬に行ったほうが良いと感じた。今回PLとして計画段階からかなり含みを持たせた行動計画としており、荒天の場合や、ケガの場合など様々な想定をしていたが、良い想定の上から2番目の活動をすることができた。自身の活動の集大成として今までの経験から事前準備と当日の臨機応変な判断が活動を円滑に進めることができ、念願のかつてボツになった大雪山十勝岳縦走を2年越しに達成することができた。また、今回の山行に同行してくれた2回生Tについてはとても頼りになるメンバーであった。モチベーションも高く、体力も十分にあるので次年度の活動にも期待が持てた。願わくは部員全員に熱意が伝染するような活躍をしてほしいと考える。
この活動報告書が将来の部の活動の参考になれば幸いである。
<活動後の感想>
文責:PL(Y)
1,2日目は神戸から旭川までの移動であった。舞鶴深夜発のフェリーに乗船し、約20時間かけて北海道小樽まで向かった。神戸からのセットバスプランと学割を併用することで片道10000円でツーリストA席を取ることができる。このプランは1週間前までの予約が必須なので帰りの予約は日程を用検討する必要がある。ツーリスト席は広めのベッドで、ザックも置けて快適に過ごすことができた。下船後は電車を乗り継いで旭川駅まで向かった。旭川駅構内は夜間閉鎖なので駅寝はできない。
3日目は旭川駅からバスに乗って旭岳ロープウェイに向かった。微風の気温20度以下で活動した。大雪山は日本アルプスとは別ベクトルの大地の雄大さを味わうことができた。白雲岳避難小屋は有人小屋で、水が豊富にありトイレもある。ただし、使用済みロールの持ち帰りは留意すべきである。夜の星空は一見の価値がある。
4日目は前日に熊の目撃情報があった高根ヶ原を通り、忠別岳まで向かった。それまでは、熊どころか人にも会わず、北海道の大自然を独り占めすることができた。そこから化雲岳までのルートは木道となっており、雄大な大自然を噛みしめながらテンポよく進むことができた。化雲岳で休憩を取りながら、今後の天候と体調を確認し、予定であったヒサゴ沼避難小屋ではなく、その先のトムラウシ南沼野営指定地まで向かうことにした。トムラウシまでの鞍部付近で大阪大学ワンダーフォーゲル部とすれ違った。9人*3パーティーで行動しており、トムラウシ温泉から旭岳までの縦走とのことであった。南沼は水が枯れているとの情報をいただいた。トムラウシの上りは岩塊地帯であり、かなりの疲労がたまったため、トムラウシ山頂経由ではなくトラバースルートを通り、南沼でテントを設営した。北沼で浄水器を使い取水した。夜から明け方にかけて前線の通過により荒天が予想されたのでテントを念入りに設営して嵐に備えた。
5日目は午前中から晴れの予報であったが、明け方まで暴風雨であり、行程が10時間のルートであり、疲労もたまっていたことから休息日とした。そのため9時まで、13,4時間ほど睡眠をとった。このことから前日の活動の疲労だけでなく長距離移動や旭川野宿などによってかなり疲れていたことがわかる。雨が止みテントから出ると、南沼が復活しており、水場が復活していた。
休息日はトムラウシ山頂でリラックスしたり、コーヒーを飲んだり、テントや物を乾かしながらくつろいだ。また、この先のルートでは水確保が期待できないため、2日分以上の水を汲み、靴ズレ処置を行い、次の日に備えた。
6日目は少し雲があるが晴れで、三川台までは快適に歩くことができた。しかし、双子池まではハイマツや笹薮が登山道を覆いつくしており、半袖では擦り傷が絶えず、ザックの外付けはよく引っかかった。ザックの横や下にマットをつけているとズタズタになるので後ろにつけるなどの工夫が必要である。
昨日の休息のおかげで双子池までコースタイムよりもかなり速いペースで着くことができたため、無補給の縦走を目指すべく、美瑛富士避難小屋まで向かうこととした (双子池で泊まると7日目に十勝岳に向かえず、尚且つ水が枯渇するため吹上温泉へ水を補給してから8日目に十勝岳にピストンする計画であった)。オプタテシケ山の上りは7日目の分の水も持っており、水ボッカ状態だったためかなりしんどかったが、急登を終えた先の景色に圧倒された。オプタテシケまでの稜線は今までの疲労を消し飛ばしてくれる絶景で、山頂では旭岳・トムラウシ・十勝岳・富良野岳などの十勝・大雪山が一望できる展望スポットであった。その後は十勝岳エリアに来たことによって、土曜日であったことで登山者が多く、美瑛富士避難小屋の小さなテントサイトのいいスペースは埋まっており、夕方には満杯になっていた。
7日目は湿気を多く含む濃霧であったが、予定通り行動を開始した。美瑛岳までの上りでは西からの強風に体を煽られながらかなりの時間をかけて歩いた。活動中は10度を下回る中、湿気によって濡れた雨具が風で体を冷やしていくのを我慢しながら歩いた。濃霧でルートから外れたりしたが、次第に湿気が和らぎ雲の隙間から青空が見えだしたことに希望を見出しながら体感風速30m/sの爆風のなか十勝岳山頂についた。そこから上富良野岳を目指し、進んでいくと雲が消え去り快晴となった。上富良野岳までの稜線は細尾根が2つあり通行には注意が必要であった。その後十勝岳温泉まで下山し、活動を終了した。
終始活動時20度以下、夜間5度と防寒対策はある程度必要であるが過ごしやすい気候で6日間の予定であった行動計画も実質4日で消化することができ、とても満足のいく山行であった。大雪山の魅力は写真では表せないほど雄大で素晴らしいので是非興味のある方は行ってもらいたいと思う。
<反省と改善>
文責:SL2回生T
(反省)
風が強いタイミングでの行動の際にバランスを崩し、転倒しかけるようなことが 何度かあった。
(改善)
歩行技術の上達、悪天候時の行動の判断
<行動日程>
文責:SL2回生T
9月4日
時間 |
場所・行動内容 |
所要時間 |
9:30 |
姿見駅・行動開始 |
|
9:55 |
姿見の池・ダウン1 |
0:25 |
10:00 |
同上・出発 |
0:05 |
10:55 |
2020地点・ダウン2 |
0:55 |
11:00 |
同上・出発 |
0:05 |
11:45 |
旭岳・ダウン3 |
0:45 |
12:00 |
同上・出発 |
0:15 |
12:50 |
間宮岳分岐ダウン4 |
0:50 |
12:55 |
同上・出発 |
0:05 |
13:35 |
北海岳・ダウン5 |
0:40 |
13:50 |
同上・出発 |
0:15 |
14:40 |
白雲分岐・ダウン6 |
0:50 |
14:45 |
同上・出発 |
0:05 |
15:00 |
白雲岳・ダウン7 |
0:15 |
15:05 |
同上・出発 |
0:05 |
15:20 |
白雲分岐 |
0:15 |
15:40 |
白雲岳避難小屋・行動終了 |
0:20 |
9月5日
時間 |
場所・行動内容 |
所要時間 |
3:00 |
起床 |
|
4:20 |
白雲岳避難小屋・行動開始 |
1:20 |
5:55 |
平ヶ岳・ダウン1 |
1:35 |
6:05 |
同上・出発 |
0:10 |
7:05 |
忠別沼・ダウン2 |
1:00 |
7:10 |
同上・出発 |
0:05 |
8:00 |
忠別岳・ダウン3 |
0:50 |
8:20 |
同上・出発 |
0:20 |
9:10 |
忠別岳避難小屋分岐・ダウン4 |
0:50 |
9:20 |
同上・出発 |
0:10 |
10:00 |
五色岳・ダウン5 |
0:40 |
10:10 |
同上・出発 |
0:10 |
11:20 |
化雲岳・ダウン6 |
1:10 |
11:40 |
同上・出発 |
0:20 |
12:40 |
天沼・ダウン7 |
1:00 |
12:50 |
同上・出発 |
0:10 |
14:40 |
北沼・ダウン8、水汲み |
1:50 |
15:00 |
同上・出発 |
0:20 |
15:30 |
南沼キャンプ場・行動終了 |
0:30 |
9月6日(休息日)
時間 |
場所・行動内容 |
所要時間 |
9:00 |
起床 |
|
9:35 |
南沼キャンプ場・行動開始 |
0:35 |
9:50 |
トムラウシ山 |
0:15 |
10:05 |
南沼キャンプ場・行動終了 |
0:15 |
9月7日
時間 |
場所・行動内容 |
所要時間 |
2:30 |
起床 |
|
3:30 |
南沼キャンプ場・行動開始 |
1:00 |
6:00 |
ツリガネ山取付1510地点・ダウン1 |
2:30 |
6:10 |
同上・出発 |
0:10 |
6:50 |
ツリガネの肩・ダウン2 |
0:40 |
7:00 |
同上・出発 |
0:10 |
7:55 |
コスマヌプリ取付1540地点・ダウン3 |
0:55 |
8:05 |
同上・出発 |
0:10 |
9:00 |
美真岳・ダウン4 |
0:55 |
9:15 |
同上・出発 |
0:15 |
10:10 |
双子池・ダウン5 |
0:55 |
10:25 |
同上・出発 |
0:15 |
12:10 |
オプタテシケ岳・ダウン6 |
1:45 |
13:00 |
同上・出発 |
0:50 |
14:40 |
美瑛富士避難小屋・ダウン7 |
1:40 |
14:55 |
同上・出発 |
0:15 |
15:50 |
美瑛富士・ダウン8 |
0:55 |
16:05 |
同上・出発 |
0:15 |
16:45 |
美瑛富士避難小屋・行動終了 |
0:40 |
9月8日
時間 |
場所・行動内容 |
所要時間 |
3:30 |
起床 |
|
4:30 |
美瑛富士避難小屋・行動開始 |
1:00 |
6:30 |
美瑛岳山頂直下・ダウン1 |
2:00 |
6:40 |
同上・出発 |
0:10 |
9:10 |
新得コース分岐手前1970地点・ダウン2 |
2:30 |
9:20 |
同上・出発 |
0:10 |
10:45 |
上ホロカメツトク避難小屋・ダウン3 |
1:25 |
11:00 |
同上・出発 |
0:15 |
13:40 |
十勝温泉・下山 |
2:40 |
<気象報告>
文責:SL2回生T
1日目は行動中常に晴れていた。午後になると雲量は増えてきたが、天気が崩れることはなかった。
2日目も行動中は常に晴れていた。その影響で水場が枯れていることが多く、水の入手に苦労した。
3日目は0:00~8:00にかけて激しい雨と風が吹いていた。ただ、朝になるにつれ落ち着いていき、10時ごろには晴れになった。
4日目も終始天気が良かった。途中一時的にガスがかかることもあったがすぐに晴れ、大雪山の大絶景を存分に堪能することができた。
5日目は朝方からガスっており、風も非常に強かった。雨は降っていなかったが、湿度は非常に高く、レインウェアはびしょびしょになった。特に美瑛岳を登っているときは前に進むのも困難な風で、30キロのザックを背負っていても体を持っていかれることが何度もあった。おそらく20m/s以上の風であったのではないだろうか。午後になると風は強いままであったが雲は抜けていき、11:00ごろにはきれいな青空を見ることができた。
日時 |
天気 |
気温 |
風向 |
風力 |
雲量 |
地点 |
9月4日 |
快晴 |
12℃ |
東 |
4 |
1 |
旭岳 |
9月5日 |
晴れ |
13℃ |
南東 |
5 |
6 |
化雲岳 |
9月6日 |
晴れ |
10℃ |
西 |
5 |
5 |
トムラウシ山 |
9月7日 |
晴れ |
12℃ |
北西 |
6 |
5 |
オプタテシケ岳 |
9月8日 |
曇り |
9℃ |
南西 |
8 |
10 |
十勝岳 |
<食糧計画>
文責:SL2回生T
9月4日
夕食 キノコパスタとツナを1人2人前ずつ食した。コッヘルをきれいにするためにスープも飲んだ。
9月5日
朝食 どん兵衛を1人1つずつ食した。
夕食 アルファ米に大盛りのカレーを入れて食した。コッヘルをきれいにするためにスープも飲んだ。
9月6日
朝食 どん兵衛を1人1つずつ食した。
夕食 バジルのパスタとツナを1人2人前ずつ食した。コッヘルをきれいにするためにスープも飲んだ。
9月7日
朝食 カレーメシを各自食した。
夕食 アルファ米にマーボー春雨3人前を入れて食した。
9月8日
朝食 カレーメシを各自食した。
<衛生報告>
文責:SL2回生T
靴擦れをしたため個人のキズパワーパッドを使用した。
<装備報告>
文責:SL2回生T
ガス缶を大1個使用した。テント内に敷くシートが一つしかなかったのでもう一つ持っていく必要があると感じた。