うちの老犬じゃまかわいい。
洗濯物を干しているとベランダについてこようとする。
うちはなんていうの避難ばしごがあるので、
その扉が鉄板でできていて、ふつうは乗らないものなんだが、
そこへ平気で肉球を載せたりするものだから、焦る。
目玉焼き焼けるかってーほどあちいんだぞ!
少しも目が離せないのは幼児なみ。
犬たち夏の昼間のベランダは禁止しているんだが、
洗濯物を干そうとすると、「わしもわしも」と、
ひとの足元からお構いなく出ようとする。
だめですってば!
バシャバシャと顔を洗っていると、開いた足の間に座る。
化粧をしてるといつのまにか真後ろのバスマットに座り込んでいて、
終わって移動するときに踏みつけそうになる。
だめですってば!
家族の誰かが出かけるときに足元から「じゃあわしも」と出ていこうとする。
だめですってば!
どこへ行くにもついていき、ものすごくじゃまだと思う場所に陣取る。
そして動かない。どいてといってもきいてもらえない。
仕方がないので移動すると、その移動先についてくる。
そしてぴたっと動かない。むむむむむ。
だめですってば!
じゃまなことこの上ない。
だけどもそれがかわいいんですけどさ。
オレコは「ばっかじゃな~い」というかんじ。
本当は自分もしたいけど怒られるのがいやだなあ、とか、
じゃまするのはいけないことなんだ、とか、思慮深いようだ。
オレコのこういうところは素晴らしいね!と褒めたくもあり、
窮屈そうで不憫でもあるのだが、初めのおうちが厳しかったようで、
そういうふうな性格になっているみたいだった。三つ子の魂百まで。
しかし老犬はそんなこたーかまうこっちゃ~ない。
我が道を行きたがる。
だめですってば!
だけども、それでもいいかなー。
だって、じゃまだけどかわいいんだもの。
じゃまかわいいんだもの。