犬がおるので。

老犬から子犬まで。犬の面倒をみる暮らし。

国内バイリンガル

2015年08月13日 | おせわがかり日誌


標準語は使えるし、

相手によっては完全に標準語で話をするけれども、

頭の中は常に西のことばである。




たとえば電車の中で聴こえてくる人々の話を聞いていると。

”もしかして彼女は俺のことを好きなのではないか?”

という妄想にとらわれている大学生風の男には、

その隣の友人の表情を読みながら、

「ないない(手を振る)それはない」

と遮り、おしゃべりおばばーずの、延々と続く、介入しすぎな身内の噂話、

"だからあたしいってやったのよ~”なところで、

「きょうみみにちよう~」

と耳をふさぎ、対面に座る、赤ら顔おじじーずの、

"あの部長のあのやり方がどうにも我慢ならん"的な、

ろれつの回らない社内愚痴話(面と向かって言えへんのやろ)の、

"だから俺は言ってやったんだよ(うそいいな)"なところで、

「ここやのうて会社で言い(バシ!)」

とダメ出し。



真夜中の散歩で見かけた酔っ払いには、

「ひゃああのおっちゃん道路で寝たはるわ」

と驚き、別れ話中のふたりのそばを歩くとき、

男の苦しい言い訳を小耳にはさめば、

「無理やと思うで、その設定は」

と首を振る。



頭の中は西の風が吹いている。

とはいえ、両親ともに東国の人間で、生粋の関西人ではないため、

どこかゆるいマイルドヤンキーならぬマイルドウエスタンである。




だけど西で育ってよかったなと思うことは、

これまで数回かかってきた「○○詐欺」な電話には、

一度も騙されなかったことである。

すべてを撃退したった。

ちなみに一度目の詐欺まがいはこんな具合。

『わたしは医療機関のものだが、あんたの夫の検診で重い病気の疑いがあって、先進医療がどうのこうの、振り込め』

「健康診断はどこでやったんですか?」

『都内だ』

「プップ(笑う)うちの亭主の勤務地は東京やないで、なにゆうとんねん、おっさん」

『・・・』

ブチッ!・・・ツーツーツー

切られてしまってから、次はなんていうつもりだったのか気になり、失敗した、と思った。

もう少し引き伸ばしてやればよかった。それにしてもこの電話をかけてきたおじさんは、末端も末端で、ずぶの素人っぽかった。

演技がどうにもならんくらい下手。で、もうひとつはこうである。

『弁護士だが、夫の両親が霊感商法で騙されて高額の商品を買ってしまったので、お金を取り返してあげる、振り込め』

「・・・はあ?夫の両親?なんかの間違いとちゃいますか?数年前に亡くならはった(大嘘)んやけど、お宅ら、どちらさん?名前いうて」

『・・・』

ブチッ!・・・ツーツーツー

もうひとつは内容も忘れた。夫の不祥事がらみの振り込め、だった気がする。

もちろんそれも一発で撃退した。

再三、防災放送がかかり、今日、○○市で振り込め詐欺の電話がありました、ご注意ください、というのだけれど、

「こんなもん、ひっかかるほうがおかしいで」と、頭の中で独り言をいうのである。

西は被害が少ないというのは実感をもって頷ける話。





野球観てるとき、野球のこと考えているときもそうである。

たいてい一軍のことを考えているのに頭の中はウェスタン。

ひゃー鳥谷かっこええなあ!とか、マートン様様や~、とか。



おまけにこないだ肉子ちゃんを読んだばかりなので、

頭の中にとどまらず、家では完全に西のことばづかい。

「ゴメスひげ伸ばしたはるわ」

「藤浪また背えのびたんちゃうか」

「しもた!雄星いつ投げたん?」

「あした大谷やんなあ?」

「ハマは番長か」

うさん臭そうに、うざったそうに、夫がするのは完全に無視して、どんどん独り言。

しゃーないやんなあ。

浮かんだことばをいちいち標準語に変換するの、ごっつめんどくさいんじゃ。