犬によってはすごい子もいるみたいだけれど、
うちの犬たちのよだれ問題で頭を痛めたことはなかった。
ないのだが、オレコは、おいしいおやつをもらい、
食べるのを我慢して、あっちこっち隠そうと奮闘している間に、
たらー、っと出てくるし、お父さんからの指令で、
「待て」の間ごはんを我慢しているとき、
たらりーっと、出てくることがある。
んだけれど、ぼたぼた垂れるほどではない。
こんちゃんも似たようなものだった。
ところが。
我が家の掃除は週末に掃除機をかけ、
平日はクイックルワイパーを何度も何度も、
毛がなくなるまで、というパターンなのだけど、
クイックルワイパーというのは、水に弱いんだね。
水が落ちていると、ほこりやら犬の毛やら、
そこにくっついてしまうの。
だからいつも、水の仕事(洗い物)をする前に、
お掃除をするように、順序については特に、
気を付けているんだけど、あるとき、
お掃除をしていると、身に覚えのない水滴あとがあって、
ワイパーがつっかかり、水滴あとに汚れがくっついてしまう。
というようなことが数回あった。
おかしいな。
水を落とすようなことなんてしていない。
なのになんだこの水滴は。
そういう疑問はあったのだけど、
平日のルーチンワークをこなそうとするとき、
ミステリーの謎を解決するのに頭を使う時間はなくて、
まあいいか、さっさ、と掃除を終わらせるのが最善。
ルーチンワークが終わり、さて寝ましょうか、
と横になり、ふと布団の中で「あ」と思い出す。
「あの一滴はいったいなんだったんだろう?」
もしかしてどこか水漏れとか?
誰かおしっこ我慢できなくて無意識にぽとりとか?(いやーん)
無意識の鼻水たらりーんとか?(げ~)
うう~ん。どういうことなんだろう?
でも眠れなくなるほどではないので、すぐ意識が遠のいてしまう。
そんなこんなで忘れて、しばらくたった日のこと。
夫がけらけら楽しそうに笑っているので、
藤岡弘、のつもりで、どうした~?、とリビングに駆け込んだ(意味なし)ら、
けらけらけらけら笑いながら、これ、これ、なんだと思う?といって、床を指さす。
そこには、あ、一滴の滴。
『あー。これ。掃除のときいつも気になってたやつー、どないしたん、これ~?』
『こんちゃんがね、こんちゃんがきて、じーっとこっちみて、ぽと、って、落としていった』
けらけらけらけら。食べ物もないのになんで、と笑っていた。
『あんたがおいしそうに見えたんちゃうの』
と言って、その場は終わったが、別に笑うほどのことでもない。
こんちゃんの口からぽとりと落ちた瞬間が面白かったのかもしれないが、
人間何日も徹夜をすれば、少々おかしくなるので、それで笑ってるんだろう。
わたしはむしろ、こんちゃんの口の中やからだに異変があったのかな、
と気になり、憂鬱な気持ちになった。
これまで、こんなことはなかった。
夏になって、毛が落ちて薄くなったからかもしれないけど、
全体的にほっそりしてしまったように見えるし、
白髪が増えたような気がするし、目の奥の白いのも、色が濃くなってる気がする。
この夏で、老化が進んだような気がした。
そんな気持ちがあったので、よだれも老化にかかわってるんだと思い込み、
ちょっと暗い気持ちになったのだ。
あとで調べてみると、やはり老化には関係あるのだけれど、こういうことだった。
人間の場合は、暑ければ自然と汗腺から汗となって、体温調節をしていますが、
高齢犬・老犬の場合は、汗をかく機能が優れていないため、よだれを出して体温調節や
体内の水分量の調節をおこなっています。
高齢犬・老犬の場合は、汗をかく機能が優れていないため、よだれを出して体温調節や
体内の水分量の調節をおこなっています。
つまりハアハアすることで、舌からの気化熱を利用して、体温調節をしているというわけ。
こんちゃんは24時間エアコン稼働の部屋にいて、常に27℃の国にいるので、熱中症になることはない。
でもベッドに飛び上がって横たわったり、床にごろんしたり、
オレコのように涼しさを求めて自由に動くことができない。
人では、室内での高齢者の熱中症が増えていますが、動物も同様です。高齢動物は寝ていることが多いですが、体温を調整する機能が低いために、毛皮に暖かい空気がたまり、体液が蒸散して、あまり水をとらずに脱水して、熱中症になってしまいます。高齢動物は室内にいても、注意をしてください。
— 藤井動物病院 (@FujiiACC) 2015, 8月 9
そのため体温調節がうまくできていないようで、眠って体温が高くなると、
暑くなって、ハアハア呼吸が荒くなり、お水をちゃぷちゃぷ飲み、
家中をあちこち涼しい場所を求めて移動する。
そしてぽとり。滴を落としていく。
暑い日の夜の散歩での注意点ですが、食事をして散歩して多量に水を飲むと、特に大型犬や高齢犬では、胃拡張胃捻転症候群という致命的な症状を起こすことがあり、数時間で命取りになることがありますので注意をしてください。夜の散歩の直前には食事を与えないようにし、朝食に重点を置きましょう。
— 藤井動物病院 (@FujiiACC) 2015, 8月 10
しょっちゅう排尿ができれば、体温も低くなるはずなので、
室内トイレでできたらいいんだけど、意外にがんこ爺さんで、
1日2回の散歩で排尿するシステムが良いらしく、その点は譲らない。
じゃあ外に何度でも散歩に行けば、といっても、
それは時間の関係で無理だったり、今の時期、
外に散歩に行けば、外気と運動で体が熱くなるので、
余計にハアハアするから、悪循環ということもある。
じゃあ温度を低くしてやったら?
という人もいるかもしれないけども、
あんまり気温が低くなりすぎると、気管支が刺激されるのか、
今度はぜんそくのような咳が出て、ぜーはーぜーはしてしまい、
これがまた、こんちゃんにはよくないのだ。
こんちゃんの居室を26℃の国にしたところ、
留守の間に冷えすぎて、咳が止まらなくなってしまった。
オレコも原因不明の大腸炎になったばかりだし、
27℃以下はやめておいたほうがよさそうだ。
夏は犬が痒がるので、シャンプーをされる方が多いですが、ぬるめのお湯で洗って、ドライヤーも低温で乾かしてあげて下さい。体が温まるとかえって痒くなります。また顔の周りを乾かす時に、眼に熱風があたり、角膜を痛めて傷つけて来院される方が多いです。顔周りは冷風の弱かタオルで乾かして下さい。
— 藤井動物病院 (@FujiiACC) 2015, 8月 5
それならせっせとシャンプーしたら?と言いたいところだが、
被毛のためにも、皮膚のためにも、
シャンプーをせっせとしすぎるのはどうだ?ということがいえそうだ。
なにはともあれ、お掃除のときの謎の一滴が、
こんちゃんのかわいい「体温調節のしずく」ということがわかり、
夫のまさかのおもらしの一滴でなかったことに、心安らいでいる。
しかし、はあはあいうのは心臓に負担がかかることなので、
なんとかならないかな、と、また、試行錯誤を始めている。