犬がおるので。

老犬から子犬まで。犬の面倒をみる暮らし。

おとうさんが帰ってくると。

2015年08月30日 | おせわがかり日誌


それはある日の夜のことじゃった。

おとうさんは会社に何日も泊まり込みしていたのだが、

着替えと入浴のために一時帰宅をし、用事を済ませている間に、

犬たちを散歩させて、ごはんを食べさせて、

お父さんの支度ができたら、会社に逆戻り(送迎つき)、というような夜じゃった。




オレコの散歩と食事が終わって、こんちゃんを連れて行った。

雨続で、散歩が短い日もあったため、やや運動不足。

その夜は雨が降ってなかったし、新規開拓だーといって、

普段行かない道へ行き、1時間近くお散歩して、

さあ、家に帰りましょう、と、いつもの交差点へ来たら・・・

いつもはおとなしく、私が動くまで、そばでぴったり、

「止まれ」ができているこんちゃんなのだが、

交差点でぴょんぴょんはねて、道路に飛び出してしまいそう。


 え?なに?どうしたの?


なにかハイテンションになっているのはわかるが、

それがなぜなのかわからなかったため、不安になって、

というのも、諸事情につき、ここのところハーネスはやめていて

オレコだったら勢いでぶちっと切ってしまいそうな、

リードと首輪を使っていたので、こんなに暴れると外れるかも、

車道に飛び出して、轢かれてしまうかも、と、不安になったのだ。

しゃがんで、こんちゃんの体を抱え、青信号になるのを待った。

青信号になると、勢いよく飛び出し、そのまま走って家まで帰った。

こんなこと、あったっけ?いや、なかったよ




どうしたのかな、という?な気持ちのまま、こんちゃんを抱えて、

エレベーターに乗り、自宅のあるフロアにつくと、扉が開くなり、


 わしおりる わしおりるんじゃから
 だっこやめて もうおろして!おろしてったら!


と、体をよじって暴れる。

毎度毎度散歩のたびに、家の前につくとやるのだが、

こんなエレベータがつくなり、身をよじられておりたがるのは初めてだ。


 ええ?なに?どうした?


またもや?に包まれて、それでも廊下は共有部分だから、

落とさぬようにしっかり抱っこして、家まで連れ帰った。

玄関に入るなり、だだだだだーとリビングまでかけていき、

だだだだだだだだだー、だだだだだだだだだー、と、

廊下とリビングを行ったり来たりする。

いつもなら自分の部屋に突進して、お水を飲むとか、

部屋をぐちゃぐちゃにしてしまうとか、そういうかんじなのだが、今夜は違った。

リビングにはオレコとお父さんがいて、お父さんが、

「こんちゃん、おかえりー、帰ってきたのー」

と言っている。驚くことにこんちゃんは、勢い余ってオレコにも体当たり。

そんなことされたことがないオレコは目を白黒させて、ちょっとびっくり。

「こんちゃんへん、おかしい、怖い」

と、お父さんの後ろに隠れてしまった。

「なんだろう、今日、変なんだよ、こんちゃん」

と言いながら、にこにこした顔をお父さんに向けたまま、

いったり来たりするこんちゃんを見て、


 これはもしかしてお父さんが帰ってきたのがうれしくて、

 お父さんが家にいるのがうれしくて?なの?



という考えが浮かんで、ぴこーん、と、ランプがついた。

はー。なっとく歴史館。それであんなに喜んだわけか~。

家が近くなったとわかる交差点でぴょんぴょん飛び跳ね、

走って家に帰ったのも、お父さんに会いたかったからなんだ。

経験から、このあとお父さんが会社に戻るということは、ふたりともわかっている。

オレコはだから、散歩もそわそわ、ことあるごとにすぐに帰ろうとしたし、

こんちゃんはいつもなら散歩に出かけるとき、ごはんのときが、

テンションマックスゾーンのはずなのに、今夜はリビングと廊下を行ったり来たりしながら、

じーっとお父さんを見つめる、なんていうオプションがついていた。

自分とお父さんの時間が(オレコより)少ないことをわかっていたのだろう。

だからなおのこと、お父さんに会いたかったんだね、こんちゃん。



あーあ。ついにこんちゃんまでお父さん子になってしまったか。

まあ、犬いのちの人だから、いずれそうなるとわかっていたけれど。





24時間365日営業のお世話係のお母さんを飛び越して、

お世話(殆ど)しないお父さんラブを募らせる、我が家のおふたりよ。

お母さんはちょっとばかりさびしいけど、かなりうれしいですよ。



ちょっとばかりさびしいですけども。