宝塚歌劇団は乙女に夢を売るお仕事でしたが、戦時下におきましては、そう甘い事も言っておられません。芸能面から政府の意志伝達に協力して、戦意高揚を図ることが任務となったのは仕方ないことでございます。
この写真はブロマイドではなくて、絵葉書であります。裏面には宝塚歌劇団の銘が入っております。この御写真の方は勿論、組長クラスの男役の方でございます。この服は何の服かという疑問が当然出てまいります。この服は軍服ではなくて、民間人の為の「国民服」であろうと思います。国民服を普及させたい政府の宣伝に沿って、主役の男役の方がこのような凛々しい御姿になって舞台に登場したものと拝察いたしました。