角灯と砂時計 

その手に持つのは、角灯(ランタン)か、砂時計か。
第9番アルカナ「隠者」の、その俗世を生きる知恵を、私にも。

#125 確かに「問題はない」のですが・・・

2016-03-20 06:46:47 | 「国」を想う
〈文部科学省によると、同社の歴史教科書の採択数は全国で約5700冊(占有率0・5%)。業界では「参入組にとって障壁が特に高い教科書業界では異例の部数」(教科書関係者)と受け止められ、「執筆者らの人的ネットワークで採択が広がった」(業界関係者)との見方もある〉
(産経ニュース:灘、筑駒、麻布など有名校がなぜ? 唯一慰安婦記述の中学歴史教科書「学び舎」、30校超で採択
 →http://www.sankei.com/life/news/160319/lif1603190015-n1.html

んだそうで、

「学び舎」が発行した中学社会/歴史的分野の教科書、
『ともに学ぶ人間の歴史』、
平成28年度採択に関するニュースです。

〈採択したのは少なくとも国立5校、私立30校以上〉
これが、多いんだか少ないんだか、

記事にあるとおり、
率で言えば、ほんの0.5%ではあるのだけれど、

一昔前(!)に、
「新しい歴史教科書をつくる会」
が新規参入した時のことを思うと、
やっぱり多いのかな。

〈採択理由について、奈良教育大付属中の担当者は、「物語風に書かれ、内容も詳しい。慰安婦の記述などで話題になったが、検定を通っており、許容される内容だと考える」としている〉

〈私立では灘中が「検定を通っている教科書であり、理由を公表する必要はないと考えている」。麻布中は「回答を控える」とした上で「慰安婦の記述で選んだということは全くない」とした〉

と、いうことなんですが、

たしかに「検定を通っている」んです。
つまり、国が認めた許容範囲内の教科書だということです。
そこまでは、ま、仕方ない、と言うしかありません。

ちなみに、この教科書、
展示会で、私も実際に見たんですけど、
「案外、悪くないな」なんて思っちゃったんですよね。

〈現場発「教室から生まれた教科書」〉
(学び舎ホームページ→http://manabisha.com/
という謳い文句についても、
「ああ、そうかもね」という感じでした。

ちなみに、その編集方針を見ると、

1.現場の教師がつくった、教室から生まれる教科書です。
 
2.子どもの発想を生かし、歴史研究の成果に裏づけられた教科書です。
 
3.授業の可能性を広げる大判教科書です。
① しっかり読み解ける大きな絵・写真や地図をページのトップにのせます。
② 子どもたちが興味を持ち追求したくなる歴史場面を焦点化し、具体的に描きます。
③ 入門期の1学年の学習から公民的分野への橋渡しとなる3学年の学習まで、子どもたちの成長と学習の積み重ねを考慮しています。
④ 時間的にも空間的にも広がりのある学習ができるように、本文以外のページを工夫します。

(学び舎:学ぶ会 歴史教科書 編集方針と魅力
 →http://manabisha.com/k-miryoku/k-miryoku.html

と、いうことで、
概ね、そういう仕上がりになってました。

が!

決して、決して、
その内容まで買っているわけではないので、
皆さん、誤解のないように。

歴史教科書をどのように評価するか、
というのは、伝えるのが実に難しいんですが、

結局、
限られた文字数、ページ数で、
歴史上の何を取り上げ、何を削っているか、
そこに尽きるんです。

つまり、
個々の記述を云々しても、
そこは「検定を通っている」わけで、

全体を読んで、
その取捨選択におけるバランス感覚の良し悪しを、
ソコを教えてソコは教えないということの当否を、

甚だ面倒なんだけれど、
そういうことを脇に置いてインスタントに批判してしまったら、
それはそれで、やっぱり教育的態度じゃない、
という気もします。

あくまでも私の意見ですが、
歴史的事実関係以前の問題として、

中学校の教室で、
戦場における慰安婦、
すなわち売春婦の存在を取り上げるということ自体、

もう、それだけで、
教科書としてのバランスを逸しています。

そういう感覚的なところは、
検定意見の付けようがない部分なんです。

「検定を通っている」から、それでOK、
教科書全体のバランスよりも人間関係(!)、

(明言してはいないけれど、するわけもないけれど)
そういう理由で教科書を選んでしまうところが、
「教育問題」の根の深さかなあと、

何だか、ちょっと冷えた思いがします。


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