角灯と砂時計 

その手に持つのは、角灯(ランタン)か、砂時計か。
第9番アルカナ「隠者」の、その俗世を生きる知恵を、私にも。

#257 福田康夫さん。何についても他人事、とっても「いい人」な元総理

2018-07-15 06:19:34 | 政界人間模様
福田康夫 内閣総理大臣就任記者会見



 それから、私の内閣はどういう内閣かということになるんですけれども、これは私は冗談で「背水の陣内閣」というふうに言っております。一歩でも間違えれば、それは自民党が政権を失う。そういう可能性のある内閣だ。こう思っておりますので、それだけに私どもは緊張した日々を送らなければいけない。そういう自覚を持っております。

*首相官邸:福田内閣総理大臣記者会見 平成19年9月25日
http://www.kantei.go.jp/jp/hukudaspeech/2007/09/25press.html


に始まり、


 他人事のようにというふうにあなたはおっしゃったけれども、私は自分自身を客観的に見ることはできるんです。あなたと違うんです。そういうことも併せ考えていただきたいと思います。

*首相官邸:福田内閣総理大臣記者会見 平成20年9月1日
http://www.kantei.go.jp/jp/hukudaspeech/2008/09/01kaiken.html


で終わった福田康夫内閣。

平成19年(2007)9月26日から平成20年(2008年)9月24日まで、ほぼ1年という在任期間であり、歴代内閣の中で最も印象に残っていないという、そういう印象だけの内閣です。

でも、それでも「元総理」なんです。困ったことに。
言っちゃ何ですけど、鳩山さんやら、菅さんやらが「元総理」っていうのと同じくらい困ってしまいます。



その福田元総理、何を思ったのか先頃中国に出かけて行ったそうで、【福田元総理 南京記念館の訪問「展示内容の修正評価」「鳩山元首相のときとは展示物違う」】というタイトルで産経新聞にインタビュー記事が載ってました。

先週のことですし、ネットでもちょっとした話題になったので、ご存知の方も多いと思いますが、その内容について、前回の「否定と肯定」からの流れで、改めて茶々を入れてみようと思います。



(南京事件があったとされる37~38年の後だったにもかかわらず)現地の中国人は非常に親切にしてくれたんだな。あのときの南京に対するあこがれというか望郷というか、そうした思いが以前からあったんです。

いやいや、憧れてる場合ではなく、そこで、ひょっとしたら「南京事件」なんて無かったからじゃないのかって疑問も持っていただけると良いんですけどね。


旧陸軍が焼却し地中に埋めた資料を掘り起こして残った部分をつなぎ合わせたり、当時の従軍兵の日記を集めたりした内容で、やはり旧日本軍が中国人を殺したことは事実なんだなあと。行こうという思いを強くしたわけです。

個々の事件として「中国人を殺した」ことがあったであろうことは、ワタクシも否定はしません。けどね、そこから、何故に南京記念館に行こうという思いを強くするのかは、正直、理解不能です。


時間の都合上、すべてを見学することはできなかったが、写真や文書を中心とする実物主義というか記録主義という感じで、納得できるようなものが多く、説得力はあったと思う。

そ、そんな簡単に認めないでくださいよ。その「写真や文書」が歴史学者の検証に耐えうるかどうかが問題なんですから。


記念館の館長は、南京の城内の人だけでなく、そこに至るまで日本軍が戦争しながら殺害した人も30万人に入っているというふうな感じの説明をしていた。30万人は南京市内にいた人だけではないというような説明だったね。

ちょっと待ったー! 

「南京陥落時にその市内で30万人虐殺された」というのが南京大虐殺だったんですよね? いつの間にそんな「30万人ありき」の定義にすり替わっていたんですか? でもって、何故に貴方はその説明をあっさり受け入れちゃうんですか?


(現地では)事実を事実として記録する努力をするのであれば、それは評価するという趣旨のことは言いました。(現地メディアが「日本人も記念館を訪問し、歴史を理解すべきだ」と発言したと報じたが)そこまで言ったかはよく覚えていないな。

出たな、ザ・他人事発言。


昨年秋の中国共産党大会での習氏(党総書記)のスピーチ以来、中国の日本に対する対応は変わったんです。「新型国際関係」という考えの下、拡張主義は取らない、各国と友好的にいく、運命共同体をつくると。他国と協調し、利益を共有していかないと「一帯一路」構想は完成しない。そうした方針で中国は外交を進めている。

だからね「運命共同体」とか「一帯一路」とか、そこに組み込まれること自体が危険なんでございますよ。


記念館の展示内容を修正したのも、こうした一環なのでしょう。修正する努力をしているのであれば認めてあげないといけないし、素直に評価してあげないといけない。そういう姿勢は必要ではないか。

何ともかんとも、いい人ですなあ。けどさ、南京大虐殺があったというところを変えないために、その定義をちょこちょこ修正されても、それはひとつも認められませんね。もっと根本のところで「南京陥落時にその市内で30万人虐殺された」なんて事実は無かった、というふうに修正していただかないと。


鳩山由紀夫元首相らのときとは記念館の展示物が違うし、おかしなことをするとかいう特別の気持ちをもって行ったわけではない。そこは分かってほしいんです。

いやいや、要するに中国政府のプロパガンダ施設でしかないところへと、日本国の元総理がのこのこと出かけていくこと自体が「おかしなこと」ですから。


30万人が犠牲になったというのは、ちょっと多すぎると思っていました。それでも、向こうが30万人の被害者が出たというのであれば、そこは受け入れてですね…、信じる信じないは別だが、1万でも2万でも3万でも5万でも不法に殺害してしまったということについては、日本国民として謝らなければいけないところじゃないかな。それをしてはいけないというのなら、その理由をきちんと説明しなきゃいけないな。

前言撤回。福田康夫さんは悪い人です。認めていないのに受け入れたフリをする、信用してはいけない人です。「1万でも2万でも3万でも5万でも」同じ重さで謝れるという、恐ろしく不誠実な人です。


30万人がどうのこうのという議論を続けていると、満州事変や盧溝橋事件以来の中国側の犠牲者が1千万人なのか、2千万人なのかみたいな話になってしまい、取り返しのつかない議論になりかねない。それを恐れているわけです。

要らん心配でしょう。そこは、それこそは、歴史学者が緻密な検証をして積み上げていってくれれば良いのです。


今年に入っての北朝鮮の変化は、なぜでしょうね。自分では分かりませんね。日朝協議の見通しはどうか。これも、現在やっている人に聞いてもらった方がいい。

ザ・他人事発言、ツー。


日朝会談直前の田中氏の北朝鮮側との2回分の交渉記録が外務省に残っていないとされているが、そういう話は聞いていない。田中氏は北朝鮮との交渉では随時報告してくれたから、いちいち文書を見る必要がなかったのでね。

ザ・他人事発言、スリー。


・・・とまあ、凄いインタビュー記事でした。あっけらかんも、ここまでくると立派です。

全文はこちら*Web産経ニュース:福田康夫元首相 南京記念館の訪問「展示内容の修正評価」「鳩山元首相のときとは展示物違う」
http://www.sankei.com/politics/news/180704/plt1807040007-n1.html



場合によっては貧乏くじかもしれんよ

安倍さんが病に倒れた時、そんなことを言いながら総裁選に出馬した福田さん。彼が総理大臣になった事自体が、国民(少なくともワタクシ)にとっての貧乏くじでした。

「元総理」の肩書、国民投票で剥奪したりできないものかしら?


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