秋が更けるころ私は急にいそがしくなりました。ならペンギンランドの制作があったからです。よせばいいのに慣れないグッズ制作にのめりこんでしまい、気が付けば11月下旬。
やばい!と慌てて下絵の準備に取り掛かりました。
まずは本を読みました。(ここから?笑)
原田マハさんの「楽園のカンヴァス」です。
「夢」を制作中のアンリ・ルソーやピカソなど19世紀の画家の世界とその作品を取りまく現代の学芸員やコレクターの少しサスペンスじみたお話です。
前から読もうと思っていたのですが、なかなか意を決せず、このタイミングを逃すまいと思いました。
とにかく面白い。一気に読みました。物語とはわかっていても、さすが美術館勤務経験のある原田マハさん。美術大好き人間としてはぐいぐい引き込まれます。ソファに寝そべっている女性とルソーの恋の話なんて、その結末までそうあってほしいと思いました。
なので、新しく描く壁画ではルソー本人を登場させようと思いました。
元々の私の『ルソー「夢」×ペンギン』と壁画の画面の大きさは縦横の比率が違います。拡大しても横の長さが足りません。なので、本来の私の絵は壁画の中央におき、ジャングルを左右に広げることにしました。
ただジャングルを広げただけでは面白くないので、ペンギンの配置を変えようとも迷いましたが、変えてしまうと自分の元の絵とは違うものになるので、そこはやはり変えたくない。
そこで左右に広がったところは、本来ルソーが「夢」で描いた動物たちや蛇使いを再配置することにしました。
ほかのルソー作品からもいろんなところを抜粋して配置しました。
手を洗いながら社員さんが壁画を見て、ジャングルに潜むいろんなものを探すのも絶対楽しいと想像しました。
(いくらサンコーインダストリー株式会社さんのマークがペンギンでも、社員さんすべてがペンギンラブではないでしょうし)
で、ついでにルソーおじさんの登場です。以前描いた目がペンシリーズ「私自身:肖像=風景(アンリ・ルソー)」(別名 ルソーおじさん、ペンギン好きをはじめました)から拝借です。今回はかわいい雛たちを引き連れることにしました。
ソファーに座ったペンギンから、妖しい目線が届いているけれど、ルソーおじさんはシャイなので目が合わせられないという設定にして、すこし恥ずかしげに避けるように配置しました。
ベレー帽のアデリーだけが目線を合わせています。
今回の壁画は、2008年に描いた時とは解釈も少し違う『ルソー「夢」×ペンギン』となります。
さて、先日サンコーインダストリー株式会社の社長さんからむちゃぶりがきました。
とあるキャラを絵にひそませることになりました。
どんなキャラが追加されるかはどうぞお楽しみに。
どう描こうかとすごく悩んでいます(笑)
原田マハ「楽園のカンヴァス」(2012年発行)新潮社