ぼくちゃんが幼少期に子守唄のようによく聞いた
昔ばなしがあった。
おふくろさんの大好きなキッチョンの天のぼり。
それを話すとき、今想えばおふくろさんの目はなぜかうるんで
遠い故郷を見ているようだった。
その視野にはこよなく愛した故郷の村。大分県の杵築の風景が
浮かんでいたに違いない。
キッチョンはね、天に昇る網はしごに足かけて登り始めたその時、
村人がキッチョンさん危ないから行かないでと一斉に止めた。
そうか、そんならや~めた、お別れのお祝儀だけ貰って、、、
そこがハイライトで熱がこもっていて今も忘れられない。
母は17歳で看護婦見習いの地元医師が募集しているのを知って
大連くんだりまで行ったのだった。
それを知った時、幼心で忖度もなく、ふと聞いてしまった。
母さんが大連に来るとき誰も止めなかったの?
母の答えは無かった。そしてそれ以降、
キッチョンの話は二度と聞くことは無かった。
引き揚げ者の苦難の中で、喘息の持病の元
61歳で母は天のぼりの網はしごを登って行き、
遂に聞くことは出来なかった。
故郷をこよなく愛した自慢話も墓に持って入り、
墓参りで聞くしかない。
別府霊園の杵築に向った墓で、ご近所の墓に
故郷の自慢話に花を咲かせているだろうか。
晩秋を 錦飾れぬ 母想う
昔ばなしがあった。
おふくろさんの大好きなキッチョンの天のぼり。
それを話すとき、今想えばおふくろさんの目はなぜかうるんで
遠い故郷を見ているようだった。
その視野にはこよなく愛した故郷の村。大分県の杵築の風景が
浮かんでいたに違いない。
キッチョンはね、天に昇る網はしごに足かけて登り始めたその時、
村人がキッチョンさん危ないから行かないでと一斉に止めた。
そうか、そんならや~めた、お別れのお祝儀だけ貰って、、、
そこがハイライトで熱がこもっていて今も忘れられない。
母は17歳で看護婦見習いの地元医師が募集しているのを知って
大連くんだりまで行ったのだった。
それを知った時、幼心で忖度もなく、ふと聞いてしまった。
母さんが大連に来るとき誰も止めなかったの?
母の答えは無かった。そしてそれ以降、
キッチョンの話は二度と聞くことは無かった。
引き揚げ者の苦難の中で、喘息の持病の元
61歳で母は天のぼりの網はしごを登って行き、
遂に聞くことは出来なかった。
故郷をこよなく愛した自慢話も墓に持って入り、
墓参りで聞くしかない。
別府霊園の杵築に向った墓で、ご近所の墓に
故郷の自慢話に花を咲かせているだろうか。
晩秋を 錦飾れぬ 母想う