朝、漁協の浮桟橋にはダイビングショップの
空気ボンベがショップごとにズラリと並べて置いてある。
それとは別に使用済みの空気ボンベが5本ずつ離れたところに
置かれている。
これはダイビングショップの空気ボンベではなく
潜り漁で昨晩使用した空気ボンベである。
夕方に積み込んで今日の漁場まで船で行き錨をおろして
船の周辺を潜って魚を捕る。
上がって移動して潜ること一晩に5回繰り返して潜る。
5本目に海から上がってくる頃には夜明け出す頃だろう。
毎朝、桟橋に置かれてあるボンベを見て
「よくやっているなぁ」と思う。
夜に空気ボンベを背負ってモリで魚を捕る漁師のことを沖縄では
「電灯潜り」と呼ぶ。
片手に水中銃、もう片手に電灯(水中ライト)を持って潜るので
「電気潜り」ともいう。
昔は昼に長い水中銃を持って潜っていた。
魚の需要が増えて夜に潜るようになった。
これが電灯潜りの始まり。
一隻の船に4〜5人の潜りが乗り込み、漁場につけば各自潜る。
魚を捕って上がれば船が迎えにくる。
潜りは船代としてボンベ1本分千円 一晩に4本潜るので
4千円(当時の値段)。
捕ってきた魚は翌日の朝のセリに並べて、その日の午後には
代金が振り込まれていた。
(現在は1週間に一度) お金が無くなれば海に行くという生活だった。
博打っぽい漁なので、沖縄にはギャンブル場はないが、
ギャンブル場にぃる面々が潜り漁師とよく言われた。
月のうち漁に出るのは7日ほど。
金が無くなれば海に行くというそんな生活を長く続けてきた。
今は一人一人一隻で、錨を打って潜っているそうだ。