昔々、たいそう働き者の男がいた。天の神様は彼にほうびを授けようと、
水をたたえた桶を使者に託し、その男に届けるように命じた。
使者は桶を担いで天界から降りて行ったが、なにしろ長い道中「チョット一休み」と、
大きな百日紅(サルスベリ)の木陰で横になったところ、うっかりと寝入ってしまった。
そこへ木の上からヘビがシュルシュル。その尻尾が桶にあたり倒れた桶からこぼれ出た水を
かぶったヘビとさるすべりは脱皮をし始めた。
天から授けられた水は「若返りの水」であった。
ヘビと百日紅は、働き者の男の代わりに永遠の若さを得ることになった。
桶に少しだけ残った「若水」その後、天の神様はこれを年に一度、大晦日の深夜に各集落に
くばるこにしたとさ。「永遠の若さを得たヘビと百日紅」という沖縄の昔話。
昔は年が明けて最初に井戸から汲んできた水をヒヌカン様、ご先祖様に
供える習慣があった。この水のことを「若水」という。
この若水のことを「スディ水」ともいう。「スデル」とはヘビの脱皮や雛の孵化のように、
再生と新生を意味する言葉。そのことから若水には若返りの効果があると伝えられている。
若水を中指で取り、相手の眉間に軽く3回つけると若返るそうだ。
現在は井戸ではなく、元日の朝一番にコップに汲む水道水が若水となっている。