木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

《レ・ミゼラブル》

2013-02-01 01:22:19 | 日記


『レ・ミゼラブル』(2012年イギリス)

皆さん、確かに歌えてます。
が、しか~し。
聞き惚れるほどでないのが残念。

ジャン・バルジャン役のヒュー・ジャックマン。
「彼を家に」を高音で歌いきったのには、さすがに驚いたが。
コルム・ウィルキンソンほどの美声ではないので、うっとりは出来ず。
その代わりと言っては何ですが、熱演で泣かせてくれます。

ジャベール役のラッセル・クロウ。
声は良いのに、特に低音と声量に恵まれているも、活かしきれてない感じ。
教えられた通りに正しく歌おうとしすぎか?

ファンテーヌ役のアン・ハサウェイは底力で逃げ切ってます。
まさに入魂の演技。
涙いっぱいの大きな瞳が威力を発揮。
アップの甲斐がありましたな。

マリウス役のエディ・レッドメインは、美しいんでちょっとビビりました。
相変わらず演技は上手い。
今回、表現力で逃げ切りました~。

コゼット役のアマンダは愛くるしい。
アップでも欠点なんぞ見当たらん。
ソプラノは歌いづらそう。

テナルディエ夫婦、サシャとヘレナは二人して器用。
動き回りながら、小ネタをはさみながら、実に良くやってます。
健闘賞といったところか。

そして、
ホントに歌が上手い人がふたり。
エポニーヌ役のサマンサ・バークス。
アンジョルラス役のアーロン・トヴェイト。
歌える人、歌いこなれてる人。
無理なく歌う姿は、安心して観てられる。
声の安定感バツグンのふたり。
これでこそ、心おきなく楽しめるってもんよ。
ガブローシュ役も◎。

素晴らしい名曲の数々を贅沢な映像で送る。
この映画が、初めてのミュージカル版『レ・ミゼラブル』な人を充分魅了するはず。
ファンを増やすであろう事は明らか。
ただ、曲が気に入らない人にとっては退屈な2時間半になるでしょー。

これ以上望めないほどの豪華版ではあるが。
オリジナル・ロンドン・キャスト(CD)の美声&高音に慣れ親しんだ身としては、
少なくとも、私にとっての『レ・ミゼラブル』では無い、としか言いようがない。
映画キャストの熱演ゆえに、ちと心苦しいが。。。
褒め称えるほどの芸術作品では無いっす。


『レ・ミゼラブル』(2012年イギリス)
監督:トム・フーパー、原作:ヴィクトル・ユゴー
作詞:ハーバート・クレッツマー、作曲:クロード=ミシェル・シェーンベルク
出演:ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライド、エディ・レッドメイン
ヘレナ・ボナム=カーター、サシャ・バロン・コーエン、サマンサ・バークス、アーロン・トヴェイト、イザベル・アレン