木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

『ソラリスの陽のもとに』

2013-02-07 23:41:11 | 日記


「ソラリスの陽のもとに」スタニスワフ・レム

こむつかしそう、と思いきや、
読みやすい。

惑星ソラリスの広大な海。
思考する海との、未知との遭遇。

ソラリスの研究を続ける人類。
新たにクルーに加わったケルビン博士。
到着早々、宇宙ステーションの様子がおかしい。
そして、ある朝目覚めると、亡き妻が目の前に…


まったくコミュニケーションが取れない知的物質に手をやく人類。
発見から、探索、研究の歴史をはさみつつ。
ものすごく、ラブストーリー。

人間の脳内まで観察しているらしい不気味な海。
何を考えているのか、まるで謎。
そして得体の知れない、かつての身近な人物。
彼女では無いけれど、彼女そのもの…
精神的に追い詰められるクルーたち。

もはや、サイコサスペンス。
その上、切ない愛の物語。
物質は違っても、愛は存在するんですな。


何度でも繰り返される複製。
まるでソラリスが人間を実験しているよう。
人間だって、研究と言えば同じ事をさんざ繰り返し、記録し、分析するが…
知能はあっても、意思の疎通が図れない恐ろしさ、不気味さ。
タコ足の宇宙人の方が、よっぽどコミュニケーションとれそう。

他の学者たちの前に現れた人物が気になってしょーがない。
どういう関係だった人なのか、分からないのが、残念。


タルコフスキー監督版、『惑星ソラリス』(1972年)は、
地球恋しい~という映画だと思った記憶が…
かなり昔に観たので、詳細は覚えてないけど。
地球に対する望郷を描いた作品だと思ったような…

ソダーバーグ監督バージョンの『ソラリス』(2002年)は
予告編が良かった事しか、覚えてない始末。
本編観たはずなんだがなぁ。。。

なんか映画だけだと、理解及ばずな点が多いなぁ。
SFは特にそうなのかもしらんが。
原作読んで改めて映画観たら、違う感想になるな。